- Article Title
- 重要な経済指標とは(4)⽶雇⽤統計とは
●⽶雇⽤統計とは、⽶国の労働省が毎⽉発表する、⽶国の雇⽤状況を調査した経済指標を指します。
●⽶雇⽤統計の中で最も注目される指標が、非農業部門雇⽤者数と失業率の2つです。FRB(⽶連邦準備制度理事会)も、⾦融政策の変更を⾏う際などに重要なデータの1つとして確認するものです。また、⾦融市場等に対しても大きな影響を与える指標です。
⽶雇⽤統計の内容
そもそも雇用と労働は家計に収⼊をもたらし、その収⼊の一部が支出にまわり、米国のGDPの大半を占める個人消費支出を形成します。ですから雇用情勢というのは、経済の状態を確認するうえで最も重要な指標と⾔えます。
米労働省・労働統計局が発表する雇用統計の内容は、失業率と非農業部門雇用者数を始めとして多岐に渡ります。実例として、2017年8月4⽇(米東部標準時)発表の7月の雇用統計の内容(抜粋)を⾒ていきましょう。
①まず最初に、非農業部門雇用者数が前月比209千人増加、失業率は4.3%と前月と比べて小幅に減少しました。
②失業率について:
・失業率4.3%、失業者数7,000千人となり、両者とも最近小幅な動きとなっています。
・主要な労働者グループ毎の失業率は、成人男性は4.0%、成人⼥性は4.0%、十代は13.2%、白人3.8%、⿊人7.4%、アジア系3.8%、ヒスパニック5.1%となっていて、7月に大きな変化はありませんでした。
・⻑期失業者(27週間以上失業)は、やや増加して1,800千人となり失業者全体の25.9%を占めています。
・労働参加率(注1)は62.9%であり、昨年来小動きに留まっています。また、全人⼝における実際に雇用されている者の比率は60.2%で、昨年来0.4%の上昇となっています。
・パートタイムで勤務する者(注2)は5,300千人であり、7月に変化はありませんでした。
・求職意欲喪失労働者(注3)は1,600千人となり、年初より321千人減少しています。このうち、就業意欲喪失者(注4)は536千人で、人数に変化はありません。
③非農業部門雇用者数について:
・7月は、209千人増加しました。雇用者数は、飲食業、プロフェッショナル・サービス(注5)、ヘルスケア部門の伸びが顕著でした。
・7月に飲食業は53千人増加して、年初来313千人の伸びとなっています。プロフェッショナル・サービスも月間49千人増えて、過去12カ月平均して同様な伸びとなっています。ヘルスケアの伸びは39千人で、過去1年間で327千人増えました。
注1:⽣産年齢人⼝(16歳以上の人⼝から働けない人を除いた者)に占める労働⼒人⼝(⽣産年齢人⼝のうち働く意思を表明している者)の比率を表したもの。
注2 :フルタイムの職を希望しながら、パートタイムで勤務している者を含みます。
注3 :就職する意思があり過去12カ月の間求職活動をしていたものの、過去4週間は求職活動をやめていた者。
注4:求職意欲喪失労働者のうち、失業状態の⻑期化によって求職活動の意欲を失った者。
注5:弁護士、会計士、コンサルタントといった専門職を指します。
④週労働時間:
・7月は、全体として34.5時間で変化はありませんでした。
⑤時間あたり平均賃⾦:
・全体として9セント上昇して、26.36ドルとなりました。年初来65セント上昇、もしくは2.5%の伸び率となりました。
調査方法
失業率は、全米約6万世帯を調査対象としています。非農業部門雇用者数は、全米147千の企業や政府機関などに対して⾏われる、およそ634千件の給与支払い帳簿を基に集計します。
結果は、失業率、非農業部門雇用者数、建設業雇用者数、製造業雇用者数、小売業雇用者数、⾦融機関雇用者数、週労働時間、時間当たり平均賃⾦といった、多岐にわたる項目の数値が発表されます。
発表時間は、毎月第一⾦曜⽇の米東部時間午前8時30分となっています。
(⽇本では、米夏時間では21時30分、米冬時間では22時30分となります)
非農業部門雇⽤者数
非農業部門雇用者数とは、自営業や農業従事者を除いた雇用者数のことで、米景気動向との関連性が非常に高いため注目されています。一般的に、自営業や農業の従事者は景気の良し悪しに余り影響を受けません。一⽅、製造業やサービス業は、アメリカの景気動向を端的に表しています。なぜならば、⽇本とは異なり、アメリカでは景気が悪化するとすぐレイオフ(一時解雇)をする傾向にあるためです。
今回は209千人増と、市場予想の183千人を上回る結果となりました。そのため、雇用統計発表時点では、米株式市場は新高値を更新し、FRBのバランスシート縮小と12月の追加利上げ予測が強まる結果となりました。
失業率
失業率とは、失業者を労働⼒人⼝(雇用者と失業者の合計)で割ったものです。非農業部門雇用者数ほどではないものの、注目度が高い経済指標のひとつです。昨年5月以降、失業率は5%割れの⽔準が定着し、今年5月同様4.3%となりましたが、これは2001年5月以来16年振りの低⽔準です。なお、1948年以降失業率が最も低かったのは1953年5月〜6月の2.5%、最も高かったのが1982年11月〜12月の10.8%でした。
●当資料はピクテ・ジャパン株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。
●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。
●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。
手数料およびリスクについてはこちら
関連記事
日付 | タイトル | タグ |
---|---|---|
日付
2017/06/27
|
タイトル 重要な経済指標とは(1)資産運⽤で押さえるべきデータ | タグ |
日付
2017/07/03
|
タイトル 重要な経済指標とは(2)景気動向指数とは | タグ |
日付
2017/07/18
|
タイトル 重要な経済指標とは(3)⽇銀短観とは | タグ |
日付
2017/09/07
|
タイトル 重要な経済指標とは(5)GDPとは | タグ |
日付
2017/09/20
|
タイトル 重要な経済指標とは(6)FOMCとは | タグ |
日付
2017/10/11
|
タイトル 重要な経済指標とは(7)⽇銀・⾦融政策決定会合 | タグ |
日付
2017/10/30
|
タイトル 重要な経済指標とは(8)ECB政策理事会 | タグ |
日付
2017/12/01
|
タイトル 重要な経済指標とは(9)米国小売売上⾼ | タグ |
日付
2017/12/20
|
タイトル 重要な経済指標とは(10)⽶消費者信頼感指数 | タグ |