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重要な経済指標とは(4)⽶雇⽤統計とは
2017/08/21

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概要

●⽶雇⽤統計とは、⽶国の労働省が毎⽉発表する、⽶国の雇⽤状況を調査した経済指標を指します。
●⽶雇⽤統計の中で最も注目される指標が、非農業部門雇⽤者数と失業率の2つです。FRB(⽶連邦準備制度理事会)も、⾦融政策の変更を⾏う際などに重要なデータの1つとして確認するものです。また、⾦融市場等に対しても大きな影響を与える指標です。




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⽶雇⽤統計の内容

そもそも雇用と労働は家計に収⼊をもたらし、その収⼊の一部が支出にまわり、米国のGDPの大半を占める個人消費支出を形成します。ですから雇用情勢というのは、経済の状態を確認するうえで最も重要な指標と⾔えます。

米労働省・労働統計局が発表する雇用統計の内容は、失業率と非農業部門雇用者数を始めとして多岐に渡ります。実例として、2017年8月4⽇(米東部標準時)発表の7月の雇用統計の内容(抜粋)を⾒ていきましょう。

①まず最初に、非農業部門雇用者数が前月比209千人増加、失業率は4.3%と前月と比べて小幅に減少しました。

②失業率について:

・失業率4.3%、失業者数7,000千人となり、両者とも最近小幅な動きとなっています。

・主要な労働者グループ毎の失業率は、成人男性は4.0%、成人⼥性は4.0%、十代は13.2%、白人3.8%、⿊人7.4%、アジア系3.8%、ヒスパニック5.1%となっていて、7月に大きな変化はありませんでした。

・⻑期失業者(27週間以上失業)は、やや増加して1,800千人となり失業者全体の25.9%を占めています。

・労働参加率(注1)は62.9%であり、昨年来小動きに留まっています。また、全人⼝における実際に雇用されている者の比率は60.2%で、昨年来0.4%の上昇となっています。

・パートタイムで勤務する者(注2)は5,300千人であり、7月に変化はありませんでした。

・求職意欲喪失労働者(注3)は1,600千人となり、年初より321千人減少しています。このうち、就業意欲喪失者(注4)は536千人で、人数に変化はありません。

③非農業部門雇用者数について:

・7月は、209千人増加しました。雇用者数は、飲食業、プロフェッショナル・サービス(注5)、ヘルスケア部門の伸びが顕著でした。

・7月に飲食業は53千人増加して、年初来313千人の伸びとなっています。プロフェッショナル・サービスも月間49千人増えて、過去12カ月平均して同様な伸びとなっています。ヘルスケアの伸びは39千人で、過去1年間で327千人増えました。

注1:⽣産年齢人⼝(16歳以上の人⼝から働けない人を除いた者)に占める労働⼒人⼝(⽣産年齢人⼝のうち働く意思を表明している者)の比率を表したもの。

注2 :フルタイムの職を希望しながら、パートタイムで勤務している者を含みます。

注3 :就職する意思があり過去12カ月の間求職活動をしていたものの、過去4週間は求職活動をやめていた者。

注4:求職意欲喪失労働者のうち、失業状態の⻑期化によって求職活動の意欲を失った者。

注5:弁護士、会計士、コンサルタントといった専門職を指します。

④週労働時間:

・7月は、全体として34.5時間で変化はありませんでした。

⑤時間あたり平均賃⾦:

・全体として9セント上昇して、26.36ドルとなりました。年初来65セント上昇、もしくは2.5%の伸び率となりました。

調査方法

失業率は、全米約6万世帯を調査対象としています。非農業部門雇用者数は、全米147千の企業や政府機関などに対して⾏われる、およそ634千件の給与支払い帳簿を基に集計します。

結果は、失業率、非農業部門雇用者数、建設業雇用者数、製造業雇用者数、小売業雇用者数、⾦融機関雇用者数、週労働時間、時間当たり平均賃⾦といった、多岐にわたる項目の数値が発表されます。

発表時間は、毎月第一⾦曜⽇の米東部時間午前8時30分となっています。

(⽇本では、米夏時間では21時30分、米冬時間では22時30分となります)

非農業部門雇⽤者数

非農業部門雇用者数とは、自営業や農業従事者を除いた雇用者数のことで、米景気動向との関連性が非常に高いため注目されています。一般的に、自営業や農業の従事者は景気の良し悪しに余り影響を受けません。一⽅、製造業やサービス業は、アメリカの景気動向を端的に表しています。なぜならば、⽇本とは異なり、アメリカでは景気が悪化するとすぐレイオフ(一時解雇)をする傾向にあるためです。

今回は209千人増と、市場予想の183千人を上回る結果となりました。そのため、雇用統計発表時点では、米株式市場は新高値を更新し、FRBのバランスシート縮小と12月の追加利上げ予測が強まる結果となりました。

失業率

失業率とは、失業者を労働⼒人⼝(雇用者と失業者の合計)で割ったものです。非農業部門雇用者数ほどではないものの、注目度が高い経済指標のひとつです。昨年5月以降、失業率は5%割れの⽔準が定着し、今年5月同様4.3%となりましたが、これは2001年5月以来16年振りの低⽔準です。なお、1948年以降失業率が最も低かったのは1953年5月〜6月の2.5%、最も高かったのが1982年11月〜12月の10.8%でした。



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