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重要な経済指標とは(8)ECB政策理事会
2017/10/30

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概要

●ECBとは欧州中央銀⾏(European Central Bank)の略で、単⼀通貨ユーロを採⽤しているユーロ圏の⾦融政策を担う中央銀⾏のことです。EU(欧州連合)の主要機関のひとつであり、非ユーロ圏の中央銀⾏とも連携しています。
●ECB政策理事会とは、ECBの最高意思決定機関のことで、原則として6週間に⼀回のペースで開催されます。会議の後に発表される政策⾦利の上げ下げをはじめとする⾦融政策や、議事要旨、総裁発言に世界中が注目しています。




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欧州の中央銀⾏制度とは

1.ESCB(欧州中央銀⾏制度)

・ESCBとは、ECB(欧州中央銀⾏)とEU(欧州連合)加盟の全28カ国の中央銀⾏で構成される、EUの⾦融政策を担う枠組みのことです。ECBの意思決定機関である政策委員会と役員会によって運営されています。

・政策目的は、第一義的に物価の安定を目指し、この目的に反しない範囲でEU諸国の全般的な経済成⻑や雇⽤の拡⼤を⽀持します。現在EU諸国は、ユーロ参加19カ国(*注1)と非参加9カ国(*注2)から構成されています。・ESCBの一般理事会は、ECB総裁および副総裁、ユーロ圏・非ユーロ圏の中央銀⾏総裁(28名)から構成されていて、ユーロ圏と非ユーロ圏の中央銀⾏の協⼒の場となっています。

*注1 ユーロ参加国:アイルランド、イタリア、エストニア、オーストリア、オランダ、キプロス、ギリシャ、スペイン、スロバキア、スロベニア、ドイツ、フィンランド、フランス、ベルギー、ポルトガル、マルタ、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルグ

*注2 ユーロ非参加国:イギリス(EUからの離脱交渉中)、クロアチア、スウェーデン、スロバキア、チェコ、デンマーク、ブルガリア、ポーランド、ルーマニア

2.ユーロシステム

・ユーロ非参加の中央銀⾏を除いた、ECBおよびユーロ参加中央銀⾏を合わせてユーロシステムと呼びユーロ圏の単一⾦融政策を決定し実施します。

3.ECB(欧州中央銀⾏)

・ECBは、1998年6月1⽇に設⽴され、本店をドイツのフランクフルトに置いています。ECBの業務の目的は物価の安定であり、ユーロ圏の消費者物価指数の前年⽐伸び率が「2%をやや下回る⽔準」になるよう様々な政策や調整を⾏います。

・政策理事会は、ECBの最高意思決定機関であり、ECB総裁及び副総裁を含む役員理事会の6名と、ユーロに参加している19カ国の中央銀⾏総裁で構成されています。この政策理事会では、主要政策⾦利(*注3)の決定、⾦融政策の策定、政策遂⾏に必要な指針の作成などを⾏います。

*注3政策⾦利:ECBの政策⾦利とは、以下の3種類の⾦利を指します。

①「市場介⼊⾦利(Refinancing Rate)」:一般的な政策⾦利のことで、各国中央銀⾏とその国の⾦融機関との資⾦の貸し借りを⾏う場合の⾦利。

②「限界貸出ファシリティ(Marginal Lending Rate)」:ECBの⾦融機関に対するオーバーナイトの貸出⾦利であり、他で資⾦調達できない場合に頼るため市場⾦利の上限として機能。

③「預⾦ファシリティ(Deposit Facility Rate)」:⾦融機関の余剰資⾦をオーバーナイトで預け⼊れる際の⾦利のことで、実質的に市場⾦利の下限として機能。

ECBの政策理事会とは

政策理事会はECBの最高意思決定機関として、さまざまな政策を⾏う機関です。参加者は、ECBの役員会のメンバー(6人)とユーロ圏の中央銀⾏の総裁(19人)となっていて、現在、⾦融政策に関する会合は6週間に一回開催されています。現在の役員会は、マリオ・ドラギ総裁以下、ポルトガル、ドイツ、フランス、ルクセンブルグ、ベルギーの各中央銀⾏の出⾝者で構成されています。

採決については輪番制を採⽤していて、中央銀⾏総裁19人で15票として投票権が順番に回ってくるようにしています。但し、ドイツやフランスといった⼤国は、採決に参加する頻度が⼩国よりも高まるように配慮されています。政策理事会後には総裁の会⾒が開かれるとともに、議事要旨も公表され、総裁発⾔を⽂書で補⾜しています。

最近の政策理事会でのポイント

1.マイナス⾦利政策の導⼊:2014年6月5⽇

ECBは、2014年6月の政策理事会においてマイナス⾦利導⼊による追加緩和を決定しました。具体的には、預⾦ファシリティの⾦利をゼロ%から、初めてマイナス0.10%に引き下げました。同様に、市場介⼊⾦利を0.1%引き下げて0.15%に、限界貸出ファシリティ⾦利も0.75%から0.40%に引き下げました。

2.量的緩和政策の縮⼩⽅針:2017年9月7⽇、10月26⽇

ECBは、超低⾦利政策を維持しつつ量的緩和政策の縮⼩に着⼿する⽅針を出しました。ドラギ総裁は、9月の政策理事会後の記者会⾒において、この政策変更は「おそらく10月に着⼿する」と発⾔しました。ECBの⾦融緩和策は、①マイナス⾦利などの超低⾦利政策、②量的緩和政策、③⾦融緩和を相当の期間続ける、という3つの柱があります。

ECBは、現状毎月600億ユーロ(約7.8兆円)のペースで国債等の資産を購⼊しています。10月の政策理事会において、量的緩和策の縮⼩を決定しました。現在の購⼊スケジュールは今年の12月末まで継続し、来年1月から月額300億ユーロ(3.9兆円)に半減し、9月まで継続することとしました。



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