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重要な経済指標とは(6)FOMCとは
2017/09/20

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概要

●米国のFOMCとはFederal Open Market Committeeの略で、日本語では連邦公開市場委員会といいます。通常、「エフ・オー・エム・シー」が開催されましたというように、略称で呼ばれています。
●FOMCでは、米国の政策⾦利、景況判断、今後の政策方針などが決定されます。約6週間ごとに年8回開催され、会議の後に発表される政策⾦利の上げ下げをはじめとする⾦融政策はもとより、声明、議事録、議⻑会⾒に世界中が注目しています。




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(The)FED,FRB,FOMCとは

米国の⾦融政策に関して、(The)FED,FRB,FOMCという⾔葉をよく聞くことがあります。いずれもFederal(連邦)から始まる米国政府関連の機関や会議を示しています。

・(The)FED(Federal Reserve System, 連邦準備制度)とは、1913年の連邦準備法に基いて創設された米国の中央銀⾏制度のことです。一般的にFED【フェド】,The Fed, FRSなどと略されています。

・FRB(Federal Reserve Board, 連邦準備制度理事会)は【エフ・アール・ビー】と呼ばれ、Fedの最高統括機関であり中央銀⾏に相当します。このFRBは、同じくFRBと略されるFederal Reserve Banksで構成されます。Federal Reserve Banksは(地区名)連邦準備銀⾏と呼ばれる12の地区(*注)の連邦準備銀⾏の集合体です。【エフ・アール・ビー】と区別するために、地区の連邦準備銀⾏のことを【ニューヨーク連銀】と地区名で呼ぶのが一般的です。

*12の地区:①ボストン(マサチューセッツ州)、②ニューヨーク(ニューヨーク州)、③フィラデルフィア(ペンシルベニア州)、④クリーブランド(オハイオ州)、⑤リッチモンド(バージニア州)、⑥アトランタ(ジョージア州)、⑦シカゴ(イリノイ州)、⑧セントルイス(ミズーリ州)、⑨ミネアポリス(ミネソタ州)、⑩カンザスシティ(ミズーリ州)、⑪ダラス(テキサス州)、⑫サンフランシスコ(カリフォルニア州)

・FOMC(Federal Open Market Committee, 連邦公開市場委員会)は、FRBが定期的に開く会合で、FRBの7⼈の理事と連邦準備銀⾏総裁5⼈(ニューヨーク連銀総裁と持ち回りで選ばれる他の地区の総裁4⼈)が議決権を持ちます。(他の連銀総裁は、議論への参加のみで議決権無し)

FOMCで何が決まるのか

FOMCでは、政策⾦利であるFF(フェデラル・ファンド)⾦利の誘導目標などの⾦融政策が決定されます。

・政策⾦利とは、中央銀⾏が景気やインフレの状況を⾒ながらアクセルとブレーキを使い分けるように、⾦融政策の引き締めと緩和のため上げ下げする⾦利です。利上げをすると引き締め、利下げをすると緩和となります。

・FRBは、短期⾦融市場に流通する資⾦の量を調節することによって、FF⾦利をコントロールします。

これを「公開市場操作」と呼び、具体的にはFRBが市中銀⾏の保有する有価証券や手形を売買することによって、短期⾦融市場に流通する資⾦量を調整します。そして、FF⾦利を一定⽔準に維持する際の目標となるのが政策⾦利であるFF⾦利の誘導目標で、この⽔準がFOMCで決定されます。

一般的に景気が悪い時にはFRBが政策⾦利を引き下げて、⾦融機関がより低い⾦利で資⾦を調達し、企業や個⼈に低い⾦利でお⾦を貸すことができます。すると、企業は設備投資などを活発化し、また個⼈も住宅投資等を積極化することによって景気が回復することが期待されます。逆に景気は良い時には、景気の過熱を抑えるために、政策⾦利の引き上げを⾏います。

2017年6月13、14⽇に開催されたFOMCにおいて、FRBは政策⾦利であるFF⾦利の誘導目標を1.0-1.25%に引き上げることを決定しました。これは、2015年12月にFRBが利上げに転じて以来、通算4回目の利上げとなります。

その他の発表事項

FOMCでは、政策⾦利の⽔準だけを協議するのではなくて、⾦融政策全般について幅広い話し合いが⾏われます。1977年の連邦準備改⾰法によって、FRBは「最大限の雇用、物価の安定、および⻑期⾦利の安定という目標を有効に達成するために必要な米国経済の⻑期的な⽣産拡大能⼒に⾒合った量的通貨、⾦融指標の⻑期的な伸びを維持するものとする」という法的使命を負っているため、失業率の⽔準やインフレ率にもしばしば⾔及します。このFOMCの協議の内容については、四半期ごとのFRB議⻑の記者会⾒や議事録の発表によって公表されます。

2017年7月25、26⽇に開催されたFOMCでは、以下の事項が決定されました:

①政策⾦利(FF⾦利)の誘導目標を1.0-1.25%で据え置くことを全会一致で決定、

②FRBの資産縮⼩(*注)については、「年内」から「⽐較的早期」に変更、

*注:FRBが現在保有する国債等の資産は、約4兆5千億ドル規模に膨れ上がっていることから、この資産を将来的に減らしていく⽅法、時期を議論している。

③経済⾒通しは、前回同様「労働市場は引き続き⼒強さを増し、経済は緩やかな成⻑を維持」と発表、

④物価については⼩幅に下⽅修正して、従来の「物価上昇率は、(FRBの目標である)+2%を幾分か下回っている」という表現から「幾分か」が削除。



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