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- 実践的基礎知識 金融/経済史編( 12 )<バブル崩壊から金融再編④>
バブル崩壊から金融再編(1991年〜2003年)④
ユーロはヨーロッパの共通通貨であり、現在EU加盟国中19カ国で使用されています。1999年に決済用の仮想通貨として導入され、2002年に現金通貨のユーロが誕生しました。共通通貨導入の背景には、ヨーロッパ全体をあたかも一つの国のようにし、域内の自由な往来、自由貿易、共通通貨を持とうという考え方からきています。
ユーロの誕生
ユーロはヨーロッパの共通通貨であり、2018年12末現在、EU加盟国中19カ国で使用されています。1999年に決済用の仮想通貨として導入され、2002年に現金通貨のユーロが誕生しました。共通通貨導入の背景には、ヨーロッパ全体をあたかも一つの国のようにし、域内の自由な往来、自由貿易、共通通貨を持とうという考え方からきています。
これは、ヨーロッパが1900年代に二度の世界大戦の戦場となって大変な被害を受けたことから、もう二度と戦争を繰り返さない、そのためにはヨーロッパが一つの国になろうという考え方が大きな支えとなっています。一方、第二次世界大戦後、自由主義陣営の盟主はアメリカであり、また日本も高度経済成長によってヨーロッパ諸国を抜いて世界第二位の経済大国になりました。アメリカや日本に経済的に対抗するためにも、ヨーロッパが一丸となる必要がありました。
ユーロ非加盟国
ユーロ加盟国は増え続けていますが、最初から加盟していない国もあります、代表例がイギリスです。もともとイギリスの通貨であるポンドは世界の基軸通貨でしたが、第二次世界大戦後その地位は失われました。ヨーロッパ統合への機運が高まるなか、統一通貨ユーロ導入に備えるため1979年に「欧州為替相場メカニズム(ERM)」という、為替相場の変動を抑える制度が導入されました。イギリスは1990年にこの制度に加盟しましたが、1992年に脱退を余儀なくされました。ERMに参加した当時のイギリスは景気後退局面でしたが、1990年のドイツ統一によって東ドイツへの投資が拡大したことから、ヨーロッパの金利は上昇傾向となりました。ERMで欧州通貨と連動しているポンドの金利も上げざるを得なくなり、景気後退にも関らず金利上昇による通貨高の状況となりました。
この状況に目をつけたのがヘッジファンドでした。ヘッジファンド勢はポンドの為替レートが実力以上に高止まりしていると考えてポンドを売り浴びせました。イギリスの中央銀行であるイングランド銀行は、ポンドを買い支えるとともに公定歩合を1日に2度引き上げ(10%→12%→15%)たりもしましたが、ポンド売りの圧力に対抗できずイギリスはERMから脱退するとともに変動相場制に移行しました。このいわゆる「ポンド危機」の経験から、イギリスは共通通貨ユーロには参加していません。
この時に大きなヘッジファンドを率いていたのがアメリカ人の投資家ジョージ・ソロスでした。彼はイングランド銀行に勝った男として有名になり、その後のアジア通貨危機でもアジアの通貨を売り叩きました。イギリス以外にも、ユーロに加盟してない国にノルウェーがあります。(通貨:クローネ)ノルウェーは産油国であり、原油取引は米ドル建てのためユーロには参加していません。その他、スウェーデンやデンマークはドイツやフランスといった大国が牛耳るユーロへの参加は国民投票で否決されました。なおこの他にも、財政上やインフレ率の問題からチェコ、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、ポーランドといった国は参加に至っていません。
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