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金融/経済史編(19)
2021/01/22

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概要

エピローグ
前回まで18回に亘って、第二次世界大戦以降の約70年間の出来事を振り返ってきました。例えば、ブレトン・ウッズ体制やニクソン・ショックといった、今や歴史の教科書でしか見られないようなことも含まれています。しかし、その当時の決定事項が、現在の為替や株式市場などに未だに影響を与え続けています。最初に述べた温故知新と言う言葉、昔の出来事を学んで今そして未来に生かすということを、常に心掛けていきましょう。




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国のエゴはなくならない?

第二次世界大戦後、唯一の超大国として、またブ レトン・ウッズ体制の盟主として君臨してきたアメリ カも、わずか20数年後のニクソン・ショックで自ら盟 主の座を降りざるをえませんでした。その後冷戦終 結という勝利を手にしたものの、プラザ合意やレー ガノミクスで遮二無二自国の利益確保に邁進しま した。このように、国土、資源、人口に恵まれた超 大国といえども、一カ国ではなかなかうまく経済成 長が見込めない情勢になってきました。 それならば、更に国際協調を進めるべきなのか、 一つのソリューションが欧州連合(EU)と統一通貨 ユーロです。もう二度と世界大戦を起こさないこと、 アメリカや日本に対抗するためには大同団結が必 要という理想を追求しました。ところが最近になっ て、自国の利益を優先して、EUやユーロから離脱 しようとする国の動きが目立ってきました。2016年 にイギリスがEUからの離脱(ブレグジット)を国民投 票で決定しました。フランスやイタリアといったEU の中核である諸国でも、反EUを掲げる国粋主義政 党が支持を伸ばしつつあります。 2017年アメリカでは、協調路線と真っ向から対峙 するかのようにトランプ政権が誕生しました。これま での国際協調の流れ、例えば国際的な経済連携 を実現する環太平洋パートナーシップ協定(TPP) や、気候変動を抑制するパリ協定から離脱しまし た。このままいくと、アメリカにとって利益をもたらす 国とはつきあうものの、不利益をもたらす国は徹底 的に叩くといった状況に陥りかねません。 過激派組織イスラム国も生まれました。イスラム教 スンニ派が主体となって、2014年にイスラム教の指 導者の下で、イスラム原理主義に基くカリフ国家の 樹立を宣言しましたが、どの国も国家として承認し ていません。この組織は、他宗教はもちろんのこと 同じイスラム教でもスンニ派以外は全て敵と見なし て自爆テロなどを繰り返しています。一時期、シリ アとイラクにまたがって相当な領土を支配していま したが、アメリカをはじめとする多国籍軍によって 領土は縮小しつつあります。

新興国の時代が到来?

2019年4月時点における国際通貨基金(IMF)の 2019年の世界経済成長率見通しは3.3%、内訳 は先進国が1.8%、新興国が4.4%となっていま す。先進国の中で、アメリカは2.3%成長ですが、 ユーロ圏は1.3%、日本は1.0%成長に留まって います。一方、中国は6.3%、インドは7.3%の見 通しであり、アメリカの3倍程度の成長が見込まれ ます。2016年までマイナス成長であったブラジル とロシアも、プラス成長を維持しています。 今後の経済成長を支えるものとして、技術革新が ポイントかもしれません。人工知能(AI)の進展、ゲ ノム解析による遺伝子情報の利用、ロボット技術 の活用拡大などによって、従来では夢物語でし かなかったようなことまで現実化しつつあります。 このような最先端の技術と巨大な資本ストックを活 用することで、今後の日本の活路が見出せるので はないでしょうか。



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