1980年代以降、先進国国債の利回りは大きく低下してきました。かつては高い利回りによって「資産を成長させる」ための「育てる投資」としても活用できる先進国国債が存在しましたが、そのような国債がほとんど見当たらなくなった現在、「育てる投資」は株式を中心に考えていく必要があります。

先進国債券の利回り低下

先進国の成長率とインフレ率の低下に伴い、先進国国債の利回りは過去30年に渡って大きく低下してきました。中でも日本国債やドイツ国債の利回りは大きく低下し、10年債利回りまでマイナスになる事態となりました（図表1）。

債券利回りが高い状態から投資をスタートした場合、大きなインカムゲインが得られる上、利回りが低下すれば債券価格が上昇し、キャピタルゲインも期待できます。一方、債券利回りが低い状態から投資した場合、小さなインカムゲインしか得られないばかりか、利回りが上昇すれば債券価格が下落し、キャピタルロスの懸念も生じます。

外債投資のリスク・リターンのバランス悪化

自国の国債利回りの低下を踏まえ、少しでも利回りの高い先進国国債に投資したいと考えた場合、外債投資が選択肢の1つとして考えられますが、外債投資には為替変動リスクが伴います（図表2）。

債券の利回りが高く、大きなインカムゲインが期待できる場合には為替変動リスクとも十分に釣り合いますが、現在のように利回りが低い状況ではとても釣り合いません。

こうして、世界的な債券バブルとも言える時代が終わりを告げようとしています。リスクに見合う利回りを提供してくれなくなった債券から株式への資金シフトが起き始めており、今後もこうした動きは拡大していくものと考えられます。

かつては高い利回りによって「資産を成長させる」ための「育てる投資」としても活用できる先進国国債が存在しましたが、もはやそのような債券はほとんど見当たりません。これからの「育てる投資」は株式を中心に考えざるを得ないのです。また、債券からの資金シフトの中では、株式投資の中でも価格変動リスクが小さいものや、倒産リスクの低いもの、インカムゲインによるパフォーマンスの下支えが期待できるものが注目されると考えられます。