資産を成長させることを目的とした「育てる投資」の代表格はやはり先進国株式や世界高配当公益株式をはじめとする株式投資です。今回は、「育てる投資」を考えるうえで大切な株式投資のリターンの特性について解説します。

株式投資のリターンの特性
～キャピタルゲインとインカムゲイン～

株式投資のリターンは大きく分けて①キャピタルゲイン（値上がり益）と②インカムゲイン（配当収益）とに分けられます（図表1）。

配当収益が積み上がるには時間がかかるため、短期間のリターンにはあまり大きなインパクトを与えませんが、長期的に見ると非常に大きなインパクトがあります。配当収益は時間が経つにつれて積み上がっていき、中期的なリターンを下支えしてくれます。また、配当の原資となる企業収益が増えていくことで配当金額が増えることも期待できます。これは債券投資との大きな違いの１つです。

一方、キャピタルゲインを産み出す株価の変動は、1株当り利益の変化とPERの変化に分けることができます。企業の利益が変わらずに株価が刻一刻と変化するのはPERが変化しているということです。短期間では、企業利益が大幅に増加することはあまり期待しにくいですが、中長期的には大幅な利益増加も期待できます。このため、短期間の株価変動はPER変化のインパクトが非常に大きくなります。

長期投資ではインカムゲインが力強い下支えに

図表2は世界公益株式のリターンを、キャピタルゲイン（値上がり益）とインカムゲイン（配当収益）に要因分解したグラフです。

このグラフを見ると、キャピタルゲイン（値上がり益）は株価変動によって大きく変動していますが、インカムゲイン（配当収益）は長期投資することで着実に積み上がり、リターンを下支えしてくれていることが分かります。