バリュエーションチェックの重要性

企業収益が短期間で大きく伸びることはあまり期待できませんが、株価は日々変動しています。ということは、短期間で見ますと株価が収益と比べて割高になったり割安になったりしていることになります。短期的にはPER変化などのバリュエーション（投資価値評価）の調整がリターンを大きく左右します。
一方、中長期での利益成長を株価上昇で享受するためにもバリュエーションの確認はとても重要です。大幅に割高な水準で買ってしまって、利益が伸びたにも関わらずバリュエーション調整によって株価が下落してしまうという事態を避けるためにも必ず確認したいポイントです。
バリュエーション(投資価値評価)を確認する場合に参考となる指標としては、PER(株価収益率)の他に、PBR（株価純資産倍率）、PSR（株価売上高倍率）、PCFR（株価キャッシュフロー倍率）、配当利回り、などがあります。
次頁では配当利回りでのバリュエーションチェックの例を取り上げます。

世界高配当公益株式の配当利回りでバリュエーションチェック

世界高配当公益株式の配当利回りでバリュエーションの確認をしてみましょう(図表2)。過去の実績では、世界国債の利回りとの利回り差異が大きい（配当利回りが債券利回りより高い）時には世界高配当公益株式の方により投資妙味がありました（割安）。世界高配当公益株式が債券よりも買われ易い傾向となり、その後株価は利回り差異が縮小し低水準をつけるまで上昇する傾向が見られました。逆に、利回り差異が小さい（あるいはマイナスの）時には世界高配当公益株式の方の投資魅力が少なくなり（割高）、世界高配当公益株式が売られ易い傾向となったことから、その後株価は利回り差異が拡大し高水準をつけるまで下落する傾向が見られました。このように高配当公益株式に投資する場合は、配当利回りと債券利回りの差異に着目することがバリュエーションチェックの有効的手段の一つと考えられます。