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メキシコ追加関税発動下での新興国株投資戦略
2025/03/07

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概要

●米トランプ2.0政権下でメキシコからの輸入品に対して追加関税が発動
●米国の追加関税の影響が相対的に少ない国の銘柄に注目
●メキシコに対する追加関税に関しては、今後交渉で回避される可能性に投資機会を探る



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■ 米トランプ2.0政権下でメキシコからの輸入品に対して追加関税が発動

米トランプ政権は、不法移民と合成麻薬フェンタニルの流入を理由に「国家非常事態」を宣言し、3月4日、カナダとメキシコからの輸入品に対して25%の追加関税を発動しました。中国に対しては追加関税を20%に引き上げました。その他の国に関しても、貿易相手国が高い関税を課している場合、その国からの輸入品への関税を同じ水準に引き上げる「相互関税」について、4月2日に発動すると言及しました。各国は対応策を検討しており、今後、関税回避に向けて交渉が進むと考えられます。

 

■ 米国の追加関税の影響が相対的に少ない国の銘柄に注目

米国は、貿易赤字を問題視しており、メキシコ、中国、カナダなどの米国への輸入に占める割合が大きい国ほど貿易戦争の標的になり易いとみられます(下図参照)。

追加関税の影響に関しては、その国のGDPに占める米国への輸出の割合が高い国ほどマイナスの影響が大きくなります。当ファンドの組入上位3ヵ国(2025年2月末現在)では、アラブ首長国連邦(UAE)、インド、ブラジルのGDPに占める米国への輸出の割合(2023年)はそれぞれ、1.2%、2.1%、1.7%と低い水準です。なお、新興国全体での米国への輸出割合は1999年末の25%をピークに2024年11月の16%まで低下する一方、新興国域内での貿易は同23%から46%まで拡大し、米国への輸出依存度は低下しています。こうした環境下、米国の追加関税の影響が相対的に小さい国は、高い関税回避の動きの恩恵や、相対的な経済の堅調さが注目される可能性も考えられます。当ファンドでは、トランプ政権の政策動向を注視しながら銘柄を選別して行く方針です。 

※コメント内の数値の出所は、ブルームバーグ、国際通貨基金(IMF)、CIEC

 

■ メキシコに対する追加関税に関しては、今後交渉で回避される可能性に投資機会を探る

メキシコは、米国にとっては輸入だけでなく、輸出でも割合が高く、米国の輸出企業は北米自由貿易協定(NAFTA)による低関税の恩恵を受けてきました。米国は農産物や自動車部品などをメキシコに多く輸出しています。このため対抗関税を懸念する産業や一次品や完成品をメキシコから輸入し、販売している米国企業などからの反発も大きく、中国とは異なり、今後は、メキシコの不法移民や合成麻薬への対応に関してさらなる対応を引き出しつつ、交渉が進む可能性があると考えられます。追加関税発動後、3月5日には、メキシコから部品などを輸入している米自動車3社の要請で、北米産と認定される自動車の輸入について追加関税を1ヵ月間猶予することが決定されています。

トランプ第一次政権下でも、今回同様にメキシコに対し追加関税を掲げたため、当初同国の株価は下落しましたが、その後、追加関税を回避したことを受け、株価は反発しました。今回も、関税への影響が懸念される中、株価は軟調に推移してきました。しかしながら、今後、追加関税に関する交渉が進展し、追加関税が回避される動きが見られた場合には、株価は反発する可能性もあるとみています。加えて、メキシコの株価収益率(PER)はトランプ第一次政権下では、他の新興国や過去平均よりも高い水準でしたが、足元では、相対的に低い水準となっており、株価のサポート材料になるものと期待されます。

 

■ 当ファンドの投資戦略~米追加関税の影響が相対的に少ない国の銘柄に注目

当ファンドでは、新興国の労働人口増加国の株式市場の銘柄について、詳細な分析を行い、バリュエーション(投資価値評価)等を勘案し、中長期的な業績成長が期待される銘柄を選別しています。

現在は、インド、ブラジル、アラブ首長国連邦(UAE)、南アフリカなど、追加関税や地政学リスクなど、経済の分断の影響が相対的に少なく、かつ経済成長見通しが比較的高い市場に注目しています。

インドは、2024年に総選挙を終え、2025年は政治的な動向は比較的安定したものになると予想されます。地方政府においてポピュリスト的な施策が行われる可能性があり、消費関連セクターなどを中心に恩恵を受けるとみています。バリュエーション(投資価値評価)は過度な割高感がなく、株価が適正な水準にあると考えられる優良企業を厳選して投資を行っています。

ブラジルの貿易黒字は歴史的な高水準となっており、中国の政策転換や商品市況の底打ちへの期待などがみられるなか、バリュエーションは割安な水準にあることから、銘柄を厳選して投資しています。

アラブ首長国連邦(UAE)は2019年に導入された外国人の中長期滞在と不動産所有を認めるゴールデンビザ制度などの恩恵が大きい不動産、金融、航空関連などの銘柄を中心に注目しています。

南アフリカは、市場寄りの新連立政権発足後、電力供給の改善が進み、インフレ率も低下していることから、消費関連銘柄中心に注目しています。

メキシコに関しては、米国の追加関税の影響が懸念されますが、今後の交渉次第では取り下げられる可能性もありえるなか、株価の調整でバリュエーション(投資価値評価)の魅力が高まっていることから、取り下げられた場合には株価は大きく上昇する可能性もあるとみています。このため、一定の組入比率を維持しながら、慎重に投資機会を捉えていく方針です。 

 

■ 2025年の新興国の労働人口増加国の株式市場は底堅く推移するとみる

新興国の労働人口増加国の経済および株式市場の見通しについては、若い豊富な労働力がドライバーとなり、今後も中長期的に高い成長が期待できるとの見方に変更はありません。一方で、短期的には米国のトランプ政権による追加関税などの政策や地政学リスクの高止まりなどを背景に、株価の変動が大きくなる可能性には留意する必要があると考えます。

こうした中、新興国の労働人口増加国の株式市場は、以下の理由で、2025年は底堅く推移する可能性があると考えています。

1)新興国の経済成長性は依然として先進国よりも相対的に高い

2)世界の主要中央銀行は金利を引き下げる余地があり、世界経済を下支えするものと期待される

3)労働人口増加国のなかでは、インド、ブラジル、アラブ首長国連邦(UAE)、南アフリカなどの国は相対的に米国への貿易の依存度が小さい。米国の関税大幅引き上げの対象とならなかった国は、対象国を回避する貿易の流れの変化などにより、漁夫の利を得る可能性がある 

4)投資対象の労働人口増加国の多くは株式のバリュエーション(投資価値評価)が魅力的な水準

労働人口の増加という独自の成長ドライバーを有している国は、今後も中長期的な成長が期待できるとみており、株式市場の調整局面は、中長期的な投資機会を提供するものとみています。

 

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります

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