- Article Title
- 米銀行の破綻連鎖の影響|相対的にうまく乗り越えられると考えられるグローバル優良企業
●米銀行が相次いで経営破綻。大幅な利上げを受けて財務状況が悪化したことや信用不安の高まりから預金流出が加速したことなどが背景
●銀行の収益悪化は、融資姿勢の厳格化につながり、その結果として借り手である企業が資金調達難に陥る懸念も
●グローバル優良企業は、良好な企業のファンダメンタルズを有しており、こうした難局も相対的にうまく乗り越えられると考えられる
米銀行が相次いで経営破綻
2023年3月10日、テクノロジーやライフサイエンス分野のスタートアップ企業向けの銀行業務に強みを持つシリコンバレー銀行が経営破綻し、米連邦預金保険公社(FDIC)の管理下に置かれることとなりました。破綻の規模は、2008年のワシントン・ミューチュアルに次ぐ米国史上2番目の大きさとなりました。急激な物価上昇を抑え込むため、米連邦準備制度理事会(FRB)が大幅な利上げを行ってきたことにより、同行が保有する米国債などの資産に大きな含み損が発生していたことに加えて、信用不安から預金の流出が加速したことなどが、経営破綻の引き金となりました。
また3月9日には暗号資産関連企業との取引が多い米銀持ち株会社シルバーゲート・キャピタルが自主清算を決定、さらに12日には、同じく暗号資産関連企業を多く顧客として抱えるシグネチャー銀行も事業停止となりました。
銀行が相次いで経営破綻したことに対して、米金融当局は預金者保護や金融機関向けの緊急融資枠の設定などにより、信用不安の拡大を阻止する構えを示し、事態の鎮静化を図っています。
企業の資金調達難につながる恐れも
大幅な利上げを受けて保有する資産に含み損が発生している状況は、他行も同様です。また、景気減速・後退の影響を受けて、不良債権が増加することを想定し、各行は貸倒引当金を積み増しています。金利上昇による金利収入増加の一方で、銀行の収益を押し下げつつあります。
銀行が自身の収益が悪化し、融資姿勢をより厳格化すれば、信用収縮が起きる可能性もあります。
資金の借り手である企業の中には、銀行の融資姿勢厳格化により、資金調達が難しくなる企業も出てくる可能性があります。景気後退による業績悪化と資金調達難で、資金繰りに行き詰まり、最悪の場合は経営破綻に陥ることもありえます。
このようなかたちで、負の影響が広域に波及していく可能性もゼロではないため、当面は一連の状況を慎重に注視していく必要があると考えられます。
グローバル優良企業は、難局も相対的にうまく切り抜けられる可能性
当ファンドは、高い競争優位性をもつグローバル優良企業の株式に投資を行っています。ピクテでは、グローバル優良企業には5つの強みがあると考えています。
資金調達においては、事業基盤が強固であることなどが評価され、相対的に有利な条件で資金を調達することができると考えられます。資金力を背景に、優れた開発力、価格競争力、ブランド力、マーケティング力を生み出し、それらが相俟って、相対的に高い競争優位性を発揮し、中長期的にみると市場平均を上回る成長が期待できると考えられます。
コロナ禍では景気下支えのために大規模な金融緩和が行われ、実際に景気は回復に向かいました。こうした局面では、大きな債務を抱え、本来は存続することが難しいような企業(いわゆるゾンビ企業)も生きながらえることができました。
しかし、米国をはじめとした主要中央銀行は金融引き締めに転じ、大幅な利上げを続けてきたことにより、足元では景気が冷え込みつつあることも懸念されています。ゾンビ企業をはじめ企業のファンダメンタルズ(基礎的条件)が脆弱な企業の問題点が明らかとなり、こうした企業は苦境に立たされる可能性が高まると考えれます。
こうした市場環境を考慮すると、株式投資においては、銘柄選別の重要性がいっそう増していると考えられます。高い競争優位性をもつグローバル優良企業の株式は、有望な投資対象の1つであると考えられます。
なお、当ファンドにおける2023年2月末時点の組入51銘柄のうち、銀行銘柄は米国の大手銀行1銘柄のみの組入れでした。
※2023年3月14日発行のピクテ・グローバル・マクロウォッチ「シリコンバレー銀行の破綻から今後の投資環境を考え直す」も併せてご覧ください。
※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。
当資料をご利用にあたっての注意事項等
●当資料はピクテ・ジャパン株式会社が作成した販売用資料であり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。取得の申込みにあたっては、販売会社よりお渡しする最新の投資信託説明書(交付目論見書)等の内容を必ずご確認の上、ご自身でご判断ください。
●投資信託は、値動きのある有価証券等(外貨建資産に投資する場合は、為替変動リスクもあります)に投資いたしますので、基準価額は変動します。したがって、投資者の皆さまの投資元本が保証されているものではなく、基準価額の下落により、損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。
●当資料に記載された過去の実績は、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。
●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。
MSCI指数は、MSCIが開発した指数です。同指数に対する著作権、知的所有権その他一切の権利はMSCIに帰属します。またMSCIは、同指数の内容を変更する権利および公表を停止する権利を有しています。