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- 米国株式投資戦略 企業景況感の悪化が如実に表れた速報指標
トランプ米大統領が制裁関税第3弾を発動し、さらに制裁関税第4弾の発動も示唆して以降、おそらく最も速報性の高い米国5月PMI(購買担当景気指数)が5月23日に発表されました。内容は大方の予想よりも悪い内容で、特に米国製造業PMIは116か月ぶりの低水準となりました。PMIは景気先行性の高い指標であるため、景気の下振れリスクが高まっていると言えます。
企業景況感が大幅に悪化
5月23日に米国5月PMI(速報値)が発表されました。このPMI(購買担当景気指数)はIHS Markitが企業を対象に毎月行われる調査結果に基づいており、生産高や新規受注、在庫水準、雇用状況、購買価格などについて業界横断的にヒアリングを行って算出されます。PMIは0から100の間で変動し、50.0は「前月から横ばい」を表し、50.0を超えると前月比で改善、50.0未満は悪化や減少を表します。つまり、景況感の改善と悪化の分かれ目は50.0となります。直近発表された米国5月PMI(速報値)は、5月13日から5月22日の調査結果に基づいているため、米中貿易戦争の悪化(制裁関税第3弾発動とファーウェイ規制強化等)を反映した最新の経済指標と言えます。PMIは製造業とサービス業ごとに算出されますが、いずれの指数も前月から大幅な低下となりました。5月米国製造業PMI(速報値)は50.6と市場予想の52.6を下回り、前月の52.6からも大きく低下した一方、5月米国サービス業PMI(速報値)も50.9と市場予想の53.5を下回り、こちらも前月の53.0から急低下しました。Markitによれば、この水準は実質GDP成長率(年率換算)で+1.2%に相当するため、2019年1‐3月期実質GDP成長率の速報値である+3.2%(前期比年率、季調済み)からは急減速となります。米中貿易戦争は製造業だけでなく、サービス業にも悪影響を及ぼしていると言えます。
制裁関税は米国家計も圧迫
NY連銀によれば、2018年に発動された制裁関税は、米国家計に対して年間414ドルのコストアップにつながったと試算しています。さらに、今年5月に発動された制裁関税第3弾によって、米国家計に対する年間コストは831ドルに増加することが見込まれています。コストアップは消費意欲を減退させるだけでなく、物価上昇圧力にもつながるため、米国株式市場にとってますます逆風となります(NY連銀は10%の追加関税引き上げによって、輸入が43%減少したとも試算)。米中貿易戦争の長期化が想定される中、今後もマクロ経済指標に対しては下振れ圧力がかかることが予想されます。米国株式市場は適温相場等を背景に年初来で大きく上昇しただけに、その反動安が警戒されます。
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