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- 大統領選挙、民主党は候補も決まっていませんが
米大統領選に向けた民主党の候補者が、徐々に絞られてきているようです。民主党の候補者選びではバイデン氏がリードを保っていますが、反ウォールストリートなどと称されるウォーレン氏が人気を集めています。ウォーレン氏はプライベートエクイティについて批判的なことで知られていますが、何を問題としているのかを政策提案「経済的愛国主義」などを下に振り返ります。
米国大統領選挙:20人もいた民主党の候補が徐々に絞られつつある模様
米民主党は2019年9月12日に、2020年米大統領選のテレビ討論会を開催しました。米メディアではエリザベスウォーレン上院議員の評価が高かった模様です。
政治専門サイトのポリティコによると、討論会後に実施した世論調査で各候補の支持率を見ると、バイデン前副大統領が31%と依然リードしながら、左派の論客で知られるウォーレン氏が25%と差を縮めました(図表1参照)。
次の点に注目:民主党候補、プライベートエクイティ、提案
米大統領選に向けた民主党の候補者が徐々に絞られ始めています。民主党候補者としてバイデン氏がリードを保っていますが、反ウォールストリートなどと称されるウォーレン氏の人気が高まっています。ウォーレン氏はプライベートエクイティに批判的なことで知られています。何を問題としているのかを政策提案「経済的愛国主義」などを基に振り返ります。
ウォーレン氏はプライベートエクイティについて、会社を買収し「最後の一滴まで血を絞り取り、その企業が倒れても富を増やして立ち去る吸血鬼のようにしばしば振る舞う」とまで表現しています。選挙を意識した表現という面があるのかもしれませんが、改革への決意は強いと見るべきでしょう。
過去においても議会でプライベートエクイティ改革が提案されたケースはあります。例えば、07年には上院でキャリードインタレストの改善が検討されましたが、法案には至っていません。また、12年の大統領選挙では共和党候補ロムニー前マサチューセッツ州知事が大手プライベートエクイティ出身であることから、対立候補が経歴を攻撃したことなどはありますが、いずれも影響は限定的でした。
しかし、まだ予想には早過ぎますが、仮にウォーレン氏が民主党の候補、大統領となれば、プライベートエクイティへの風向きは今までと違った展開となることも想定されます。
具体策はわかりませんが、ウォーレン氏がメスを入れそうな分野をウォーレン氏が提案した「経済的愛国主義」や「ウォールストリート改革」などを参照して振り返ります。
提案の一つは、プライベートエクイティに(救済)買収した企業の年金債務にも責任をもたせることです。過去、小売セクターなどでプライベートエクイティが救済買収したケースでは、買収された企業の雇用者は、勤続に見合った退職金などの対価を得ることなく会社を辞めたと指摘しています。その上で、ウォーレン氏はプライベートエクイティに年金債務に責任を負うことを義務付けています。
また、買収した企業の業績が改善した場合に、プライベートエクイティが、その企業に高額な配当支払いを求めることにも制限をすべきと考えているようです。
税制面でも優遇を終わらせたいと考えているようです。買収した企業とプライベートエクイティの利益を連動させた「成功報酬」に関連した税制優遇措置も終わらせたい考えです。また、プライベートエクイティが受け取るモニタリング費用などの内容開示を求めています。
ウォーレン氏の提案の特色は、過去の事例をベースに改善点を提示しています。年金がもらえなかったケースや、高額なモニタリングを支払ったケースなどです。ただ、事例は極端なケースが選ばれている可能性も考えられ、さらなる検討は必要と思われます。
日本でも企業再編にプライベートエクイティの活用が拡大しているように、プライベートエクイティに対する理解はある程度高いように思われます。ウォーレン氏もプライベートエクイティ廃止のような提案でなく、同氏が考えるところの、もうけ過ぎを是正してあるべき姿に戻したい考えが基本のようです。であるなら、米国に所得格差への懸念が見られる中、政治的に支持が集まる可能性を無視すべきでないと思います。
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