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- 8月3日の次回JMMCが重要な理由
米国のジョー・バイデン大統領が中東を歴訪、7月15日にはサウジアラビアのサルマン国王、ムハマンド皇太子と会談した。原油価格が高止まりするなか、同大統領はサウジアラビアの増産に強い期待感を示している。この会談を受け、OPECプラスが8月3日に開催する共同市場監視委員会(JMMC)がどのような結論となるのか、今後の原油市況に大きな影響を及ぼすだろう。
バイデン大統領中東訪問:原油価格安定化への大きな賭け
私は米国の原油供給増加に関して打てる手を全て打っており、近く実現するだろう。サウジも今日の議論を通じてその緊急性を共有しており、今後数週間以内にさらなる措置が採られると期待している、
サウジアラビアとの首脳会談後、バイデン大統領は同国が「数週間以内」に原油増産へ向けた何らかの行動を採ると示唆した。これは、8月3日に開催されるOPECプラスの共同市場監視委員会を強く意識した発言だろう。
バイデン大統領が13日からの中東歴訪の最後にサウジアラビアを訪れたことに関し、米国内では厳しい見方が少なくないようだ。2018年10月2日、イスタンブールのサウジアラビア総領事館においてジャーナリストのジャマル・カショギ氏が失踪した事件に関し、米国の情報当局はムハマンド皇太子の関与を指摘している。バイデン大統領自身も同国を厳しく批判してきた。そうしたなか、インフレ圧力を通じて米国の民意に強く影響する原油価格の安定を優先した会談と言えよう。
バイデン大統領の賭けが成果を挙げるか否かは、8月3日の次回JMMCの結果に懸かっていると言っても過言ではない。OPEC13ヶ国、非OPEC産油国10ヶ国で構成されるOPECプラスは、昨年の世界産油量の59.6%を占めている(図表1)。その動向が原油市況に与える影響は極めて大きい。
複雑な分断の構図:西側先進国vs.資源国
JMMCが米国の思惑通りの結果となるかは、全く余談を許さない。そもそも、2016年12月にOPECプラスが設立されたのは、シェール革命で石油、天然ガスを大幅に増産する米国へ対抗するためだった。また、非OPECの代表格はロシアである。サウジアラビアとロシアは、原油価格の高値維持に関して利害が概ね一致しているだろう。
拒否権を持つロシアがウクライナへ侵攻したことにより、国連安保理は機能しなくなった。そこで、米国を中心とする西側諸国は国連総会決議を活用している。3回目となった4月7日のロシアを国連人権理事会において資格停止にする決議では、有力産油国の多くが棄権、もしくは反対した(図表2)。
これは、現在の国際社会の分断が、米中両国の覇権争いのみならず、西側先進国と資源国との対立であることを示唆している。バラク・オバマ、ドナルド・トランプ両大統領の下、米国のエネルギー政策は迷走し、その影響も否定できない。
首脳会談後、増産への期待を示したバイデン大統領に対し、サウジアラビアは公式には明確な見解を示さなかった。同国の本音は、8月3日のJMMCで見えてくるだろう。その結論によって、原油価格は上にも下にも大きく動き得る。国際政治とエネルギー価格については、引き続き注意が必要だ。
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