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- 2ヵ月をきった南ア総選挙の勘所
汚職疑惑に対する批判を受け辞任したズマ前大統領の後任である南アのラマポーザ大統領は、早くも選挙に直面することになります。ラマポーザ大統領は就任後、汚職への対応や、構造改革を推進していますが、支持率は伸び悩んでいます。総選挙で与党ANCが過半数を確保すると見ていますが、少なくとも結果を見るまで通貨ランドの軟調な動きも想定されます。
南アフリカ大統領選挙:ラマポーザ大統領が5月8日の総選挙実施を表明
南アフリカ(南ア)のラマポーザ大統領は2019年2月7日の議会施政方針演説で、5月8日に総選挙を実施すると表明しました。アパルトヘイト(人種隔離)撤廃後の1994年に行われた全人種選挙から一貫して政権を維持してきた与党アフリカ民族会議(ANC)への支持はかろうじて過半を維持するも、勢いは低下傾向です(図表1参照)。
なお、南アフリカの18年10-12月期のGDP(国内総生産)成長率は前期比年率1.4%増と、市場予想(1.2%増)を上回るも前四半期(2.6%)を下回りました(図表2参照)。
どこに注目すべきか:南アGDP、総選挙、ANC、EFF、失業率
汚職疑惑に対する批判を受け18年2月に辞任したズマ前大統領の任期を受け継ぐ形で就任した南アのラマポーザ大統領は、早くも選挙に直面することになります。ラマポーザ大統領は就任後、汚職への対応や、構造改革を推進していますが、支持率は伸び悩んでいます。総選挙で与党ANCが過半数を確保すると見ていますが、少なくとも結果を見るまで通貨ランドの軟調な動きも想定されます。
ラマポーザ大統領が就任してからの約1年の実績を見ると、汚職への対応、公務員の賃金抑制などによる緊縮財政、投資適格格付けの維持(就任後、主な格付け会社から格下げが無い)、国営電力会社改革の提案をしています。さらに経済格差是正を目的に少数派の白人が大半を所有する土地の無償収用と黒人への再配分に意欲を示しています。
しかし、世論調査を見ると、与党ANCの支持率は伸び悩んでいます。一方で、反ANCの受け皿のひとつとなっているのが民主同盟(DA)です。
また、ANCの青年同盟から派生、若年層の支持が高い経済自由の戦士(EFF)は着実に支持を拡大しています。
反対に、ANCに対する支持が伸び悩む背景として、経済不振が考えられます。もっとも、就任直後のテクニカルな景気後退(18年1-3、4-6月期)は100年に一度の干ばつが背景で、現政権に不運な面もあります。
より深刻なのは、失業率です。例えば18年10-12月期も27.1%と高水準での推移となっています。現地の調査会社(Afric)のレポートで政権に期待する政策(複数回答)を見ても汚職(39.1%)や犯罪(35.8%)よりも、失業対策(73.2%)への期待が高くなっています(図表2参照)。失業対策を訴えるEFFの選挙公約に比べ、幅広く改革を進めるANCのアピールが弱いという印象があるようです。
また、ラマポーザ大統領の息子への汚職企業との関連疑惑などもセンチメントに影響したかもしれません。
さりとて、ANCの人気は底堅い面もあり、今度の総選挙で過半数を確保する可能性は高いと見られています。ただ、南ア議会の定数400に対し、ANCは現在249議席を獲得していますが、現段階の支持率から判断して、過半数は確保しても大幅に議席数を減らす懸念はあります。議席数の減少は求心力の低下、そのため構造改革の停滞が懸念されており、通貨ランドの回復が鈍い背景と見られます。
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