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- 米国の連休中の動向を一気見
日本で大型連休となった過去10日程の米国の動向を経済指標、金融政策、政治の3つの切り口で振り返ります。経済指標からは減速傾向ながら米国景気に底堅さが見られます。FOMC前には利下げ期待もあった金融政策ですが、利下げ期待は後退しました。米中貿易交渉を巡り、政治が最も大きな不透明要因と見られます。
米国経済イベント:日本の大型連休の時期に米国では様々なイベントが見られた
日本の大型連休の頃、米国では主要な経済指標の公表や、米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され金融政策が公表されました(図表1参照)。
政治動向として注目されたのは、5日(日本時間6日)に米トランプ大統領がツイッターで、中国からの輸入品2000億ドルに対して関税を10%から25%に引き上げるとの警告です。米中貿易協議が継続する中での警告(その後、米国は関税引き上げを表明)を受け、今後の交渉の行方に懸念が高まりました。
どこに注目すべきか:1-3月期GDP、インフレ率、米中貿易交渉
過去10日間程の米国動向を経済指標、金融政策、政治の3つの切り口で振り返ります。経済指標には、減速傾向ながら米国景気に底堅さが見られます。FOMC前には利下げ期待もあった金融政策は、利下げ期待が後退しました。米中貿易交渉を巡り、政治が最も不透明要因と見られます。
まず経済指標ですが、1-3月のGDP(国内総生産)は堅調で、4月の雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比26.3万人増となるなど、ヘッドライン(見出しに使用される数字)は市場予想を上回り改善が見られました。ISM製造業景況指数などの例外を除けば、概ね堅調な印象を受けます。過去には米国の景気後退を懸念する声も一部にありましたが、プラス成長を確保する動きが当面想定されます。
ただ、経済指標の中身には注意が必要です。例えば、1-3月期GDPのプラスに寄与した項目は在庫投資と純輸出で、設備投資は前期から半減しており、個人消費も回復は鈍くなっているからです。
4月の雇用統計も、失業率は3.6%へ低下(改善)しています。しかし、労働参加率は前月の63.0%から、4月は62.8%へ低下しています。背景に非労働力人口の増加が示唆されており、質を伴わない失業率の改善であった可能性があります。また、平均時給は前月比0.2%と、プラスながら力強さに欠ける水準と見られます。
次に、金融政策はややタカ派(金融引締めを選好)寄りの印象です。FOMC前、市場の一部に利下げ期待が見られましたが、米連邦準備制度理事会(FRB)パウエル議長が現時点の据え置きを適切であり、いずれの方向にも動く強い論拠は見られないと述べたからです。
また、インフレ率の低下は一過性の可能性を示唆した点もややタカ派的(利下げ否定要因)と見ています。金融政策は当面(例えば年内)据え置きがメインシナリオと見ています。
最も不透明な要因として、米中貿易交渉に関連した政治動向が、今後の市場を左右する展開が想定されます。
米中通商交渉は中国からの輸入分の約2000億ドルに対し関税を10%から25%に引き上げる時期を延期させながら交渉を進めてきました。市場では交渉の進展によっては少なくとも現状維持、交渉が進展すれば関税引き下げを期待していました。しかし、交渉は(恐らく)中国の抵抗で難航も想定されます。米国当局は10日に関税引き上げを実施すると表明しました。ただ、中国の劉鶴副首相が9~10日にワシントンを訪れて協議に臨むことも予定通りとしており、中国と共に米国が交渉に対する強硬姿勢を強めた結果と見られます。
今後の注目は9~10日の閣僚級通商交渉で、一定の合意があれば市場に好都合ですが、仮に合意に至らなくても、協議継続であれば市場への影響はある程度抑制される可能性もあります。まずは今週の交渉に注目しています。
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