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- 米国主要データ(雇用とISM製造業)のメッセージ
主要データである米国雇用統計と、ISM製造業総合景況指数が1日に同時に公表されました。市場の反応を見ると、景気後退の懸念が若干後退したとして、米株式市場は上昇し、米国債利回りも上昇しました。市場の反応の背景に地政学リスクの低下が含まれている可能性はありますが、今回のデータは景気の底堅さを示唆する面もあるように思われます。
米10月雇用統計:非農業部門雇用者数は市場予想を上回る12.8万人増
米労働省は2019年11月1日に10月の雇用統計を公表しました。非農業部門雇用者数は前月比12.8万人と市場予想(8.5万人)を上回りました。前月は18万人と速報値の13.6万人から上方修正されました。
家計調査に基づく10月の失業率は3.6%と、市場予想(3.6%)に一致し、前月(3.5%)を上回りました。ただ労働参加率は63.3%に上昇しました(図表1参照)。
なお、同日に米供給管理協会(ISM)が公表した10月のISM製造業総合景況指数は48.3と、市場予想(48.9)を下回りましたが、前月(47.8)は上回りました(図表2参照)。
どこに注目すべきか:雇用者数、失業率、労働参加率、新規受注
主要データである米国雇用統計と、ISM製造業総合景況指数が1日に同時に公表されました。市場の反応を見ると、景気後退の懸念が若干後退したとして、米株式市場は上昇し、米国債利回りも上昇(価格は下落)しました。市場の反応の背景に地政学リスクの低下が含まれている可能性はありますが、次の点で、今回のデータは景気の底堅さを示唆する面もあるように思われます。
まず、非農業部門雇用者数は前月比は12.8万人と水準は低いながら、市場予想を上回りました。水準が低いのは10月に大手自動車会社のストライキ(4万人以上)と国勢調査に関連した臨時職員の雇用終了(2万人)の影響があります。ストライキ参加者は「就業者」としてカウントされないため、これらの要因を考えれば、単純に低い水準とは言えず、ストライキ分などを考慮すれば、堅調とも見られます。
また、過去2ヵ月の雇用者は合計9.5万人上方修正され、その結果3ヵ月平均は17.6万人と堅調な水準です。
失業率は3.6%と上昇していますが、労働参加率の上昇に伴う質の良い上昇と見ています。労働参加率の上昇は、雇用市場に参加する意欲の改善を示唆する一方で、失業率を上昇させたと見られます。この労働参加率の改善を支えたのは主に、女性(生産年齢25~54歳)で、その10月の参加率は76.6%と上昇しました。同指標は男性が前月と変わらずであったことに比べ堅調です。労働市場に回帰する動きと見るならば、雇用市場に改善余地があるのかもしれません。
次に、雇用統計を離れ、ISM製造業総合景況指数について述べると、市場予想を下回ったものの、明るい面もあると見ています。理由は、同指数の構成指数を見ると、先行きを示唆する新規受注指数や、前回不安が高まった雇用指数には改善が見られたからです(図表2参照)。新規受注指数や雇用指数の改善の持続性は見守る必要もありますが、構成指数の一部は底打ちも示唆されています。
一方、ISM製造業総合景況指数の下押し圧力となったのは主に生産指数で、低下傾向が続きました。気がかりな点ではありますが、低下が続いた背景は先の大手自動車会社のストライキが原因の可能性もあり、ストライキ終息により生産活動の底打感が多少強まるかも知れません。
今回の主要データが米国の景気回復を強く示唆するとは思えませんが、底堅さを確認する内容とは見ています。
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