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- メキシコ中銀、米国との微妙な別れ
メキシコ中銀は過去数年、経済的に結びつきの強い米国の金融政策を概ね追随する運営を行ってきました。そのような中で、10月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、据え置き姿勢が明確となりました。しかし、メキシコ中銀は慎重ながら、利下げ姿勢を維持する可能性があるとみています。
メキシコ中銀:市場予想通り、3会合連続で利下げ、2名はより大幅な利下げを求める
メキシコ銀行(中央銀行)は2019年11月14日の金融政策決定会合で、市場予想通り政策金利を7.75%から0.25%引き下げ7.50%としました。メキシコ中銀は今年8月におよそ5年ぶりに利下げを実施して以降、3会合連続で政策金利を引き下げています(図表1参照)。
なお、今回の金融政策決定会合では、前回会合同様に0.25%の利下げに対し2名のメンバーが反対票を投じ、0.5%の利下げを求めました。
どこに注目すべきか:メキシコ金融政策、ペソ安、FOMC、インフレ率
メキシコ中銀は過去数年、経済的に結びつきの強い米国の金融政策を概ね追随する運営を行ってきました。そのような中で、10月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、据え置き姿勢が明確となりました。しかしメキシコ中銀は慎重ながら、利下げ姿勢を維持する可能性があるとみています。
まず、メキシコ中銀の金融政策運営を振り返ると、米国を念頭に入れていることは明らかです。例えば、15年には、メキシコ中銀は既に公表していた金融政策決定会合の日程を、FOMCの後に変更しています。FOMCの結果を見てから金融政策を決めるという色合いが出されました。米国と異なる方向で金融政策を決定すると、ペソ安、それに伴うインフレ率上昇が懸念されたため、米国を常に意識しています。
また、15年以降の運営でも、ペソ防衛を意識して、米国が利上げしたとき追随する一方、米連邦準備制度理事会(FRB)が据え置いても、メキシコ中銀は利上げを選択する傾向があり、メキシコの引き上げ度合いが高くなっています。
メキシコ中銀の今後を占います。10月のFOMCでFRBは金融政策の据え置きを示唆したと見られますが、メキシコは米国に追随するよりも、利下げを模索する可能性があると見られます。
まず、消費者物価指数(CPI)を見ると、前年比7%近辺まで上昇した頃と異なり、足元は3%と、メキシコ中銀のインフレ目標にまで低下しています。CPIの動向からは、利下げ継続を維持しやすいと見られます(図表2参照)。
インフレ率低下だけなら良いのですが、メキシコのGDP(国内総生産)は大幅に低下し、前年同期比でマイナス圏で推移しています。米中貿易戦争の影響に加え、恐らく過去の引き締めが景気を冷やしたことも要因の一つと思われます。
政策委員会のバイアスも、やや緩和的と見られます。今回の投票でも5人の政策委員のうち3人が0.25%、2人が0.5%の利下げを支持しているからです。
メキシコ中銀は、一方で慎重姿勢も示しています。米国、カナダとの新協定(USMCA)が米議会で批准されるのかを見守る必要があることや、多額の債務に苦しむ国営石油会社の財務状況が格付けに影響する懸念もあるからです。
したがって、メキシコ中銀は米国が政策金利据え置きの中でも利下げを継続する姿勢ながら、インフレ率やペソの動向などに注意を払い慎重に対応する展開を想定しています。
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