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- 米ISM景況指数、経済再開を受け急回復の注意点
6月の米ISM景況指数は製造業、非製造業ともに50を上回る結果となり、景気の底打ちをうかがわせる数字となっています。想定を超えた金融・財政政策による支援と、経済活動再開を反映した動きと見られます。内容的にポジティブな面も見られますが、なお持続性に課題は残ると思われます。
米ISM景況指数:製造業、非製造業共に50を超えて、前月に比べ改善を示唆
米サプライマネジメント協会(ISM)が2020年7月1日に発表した6月の米ISM製造業景況指数は52.6と、市場予想の(49.8)、前月(43.1)を上回りました(図表1参照)。
また、7月6日に発表された6月の米ISM非製造業景況指数は57.1で、市場予想(50.2)、前月(45.4)を大幅に上回りました。同指数は50が景気の拡大・縮小の目安です。
どこに注目すべきか:米ISM景況指数、新規受注、入荷遅延、雇用
6月の米ISM景況指数は製造業、非製造業ともに50を上回る結果となり、景気の底打ちをうかがわせる数字となっています。想定を超えた金融・財政政策による支援と、経済活動再開を反映した動きと見られます。内容的にポジティブな面も見られますが、なお持続性に課題は残ると思われます。
まず、指数の構成要因から、プラス面を振り返ります。製造業を例に取ると、回復を実感するのは新規受注や生産指数です(図表2参照)。製造業の新規受注は56.4と前月から24.6ポイント改善し、生産も57.3と、5月から24.1ポイントも改善しました(図表2参照)。米国では一部の州で5月月初から経済活動が再開したことを受け、6月にかけて製造業に活気が戻ってきたことがうかがえます。
同じ傾向は非製造業にも見られます。非製造業の6月の景況指数は66.0と5月の41.0から急回復しました。また当面の需要を示唆する新規受注も61.6と5月の41.9を大幅に上回りました。金融・財政施策の支援と経済活動再開は、想定以上に改善に寄与した可能性も考えられます。
6月の製造業指数では入荷遅延が低下しました。通常、入荷遅延指数の上昇は景気改善(多忙による配送遅延)で、反対に低下は活況の低下を示します。しかし、コロナ感染拡大の下では、物流システムの機能低下の代替指数と見なされており、当該指数の低下は経済活動の改善を示唆すると考えられていますが、6月の入荷遅延指数は56.9と前月から急低下しました(図表2参照)。米国のビジネス環境が正常化に向かっている兆しの可能性も考えられます。
ISMのレポートには調査に協力した方からの代表的なコメントも紹介されています。やはり回復は想定以上という声がある中、今後に慎重な声も見られます。
例えば、コロナの感染再拡大を懸念する声もあります。またISMによると回答の多くは米国の感染再拡大により経済活動の一部制限が再び実施される前に送られたという点に注意は必要です。構成指数では、雇用は製造業、非製造業共に、改善はしていますが水準は低くなっています。経済活動再開を受け、6月の雇用統計でも短期的な雇用者数の増加は見られました。しかし縮小した米国雇用市場がコロナ以前に戻る、本格的な回復には時間がかかるように思われます。
一部に見られる大恐慌を引き合いにだすような悲観的見方はやや行き過ぎと思いますが、過度に楽観的な見方には警戒感も必要と思われます。
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