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- 中国、これからの指標が早くも気になる
中国の1-3月期GDP成長率は市場予想を上回りました。中国では新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するゼロコロナ政策が足元で経済活動を制限しています。その印象からすると1-3月期GDPは弱い数字が想定されますが、意外と強かったのは1-2月の回復が堅調であったからと見られます。しかし3月の中国経済指標は先行きの課題を示唆していると見られます。
中国主要経済統計:1-3月期のGDP成長率は市場予想、前期を上回る
中国国家統計局が2022年4月18日に発表した1-3月期のGDP(国内総生産)は物価の変動を除いた実質で前年同期比4.8%増と、市場予想の4.2%増、前期の4.0%増を上回りました(図表1参照)。
同日に公表された月次の経済統計では3月の固定資産投資は年初来前年比で9.3%増と堅調でした。このうちインフラ投資は8.5%と回復傾向です(図表2参照)。また、鉱工業生産は前年同月比5.0%増と、市場予想の4.0%増を上回りました。一方、3月の小売売上高は、前年同月比でマイナス3.5%と市場予想のマイナス3.0%を上回る減少となりました(図表3参照)。
どこに注目すべきか:中国GDP、失業率、ゼロコロナ政策、都市封鎖
中国のゼロコロナ政策を年初来で振り返ると1-3月までは北京冬季五輪や全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の開催を受けある程度実施されていました。しかし、この時期の動向を示す1-2月の経済指標は概ね堅調でした。
しかし3月下旬から導入されたゼロコロナ政策は大都市上海を含むうえ、当初の予定を延期して現在も継続しています。今後、ゼロコロナ政策による景気悪化が懸念されます。
このような時期に公表された1-3月期のGDP成長率は意外と底堅かったと見られます。この底堅さを支えたのは投資や生産活動です。過剰投資の温床として抑制されてきた固定資産投資の一部、特にインフラ投資が回復傾向です。
また、鉱工業生産も5.0%増と、市場予想を上回りました。ただ、鉱工業生産と合わせてみる必要がある電力生産は3月が前年比0.2%と減速している点は気がかりです。
なお、固定資産投のうち不動産については、住宅投資に対する消極姿勢から回復は鈍くなっています。
中国の1-3月期のGDP成長率はゼロコロナ政策が拡大するまでの堅調な生産活動や固定資産の回復に下支えられたと見られる一方、3月月次データには中国経済の今後の課題が浮き彫りとなっています。
ゼロコロナ政策の影響もあり、生産活動は既に減速の兆しがあることは電力生産で指摘した通りです。この政策がいつまで続くのかは想定できませんが、少なくとも4月の経済指標の下押し圧力になると思われます。加えてもっとも懸念されるのが個人消費です。小売売上高は前年同月比マイナス3.5%と急速に悪化しています(図表3参照)。なお、中国のインフレ率は緩やかながら上昇しており、実質ベースの小売売上高はさらに下回る点に注意が必要です。
また、調査ベースの失業率は3月が5.8%と上昇しています。中国の雇用状況の悪化は報道などでも伝えられておりゼロコロナ政策による経済活動の制限が雇用の先行きを不透明にすることも懸念されます。
中国人民銀行(中央銀行)は15日、市中銀行の預金準備率を0.25%引き下げると発表しました。ただ、引き下げ幅は小出しの印象です。また市場の関心が高いゼロコロナ政策の修正は今のところ限定的です。当局の対応が中国の今後の経済指標にどのように影響するのかが気になります。
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