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- ZEW景気期待指数が示唆するユーロ圏景気の今後
ユーロ圏経済は少なくとも22年前半は比較的堅調に推移してきましたが、今後悪化が見込まれています。先行きを示すセンチメント(期待)指数の一部は過去の景気悪化時期(リーマンショックや欧州債務危機、コロナショック)に相当する悪化を示唆しています。欧州連合(EU)などにエネルギー危機対応を検討する動きも見られますが、時間は限られているようです。
ユーロ圏経済指標:足元の堅調さに反し、センチメントは悪化
欧州経済研究センター(ZEW)が2022年10月18日に発表した10月ドイツ景気期待指数はマイナス59.2と、市場予想のマイナス66.5、前月のマイナス61.9は上回りました(図表1参照)。市場予想ほどには悪化しなかったものの、極めて低い水準での推移となっています。
ユーロ圏の7-9月期GDP(国内総生産)は10月31日に発表される予定です(図表2参照)。4-6月期GDP成長率は前期比で0.8%増、前年同期比では4.1%増でした。一方、これから発表される7-9月期のGDP成長率について、市場では、前期比でゼロ%程度を見込んでいます。
どこに注目すべきか:ユーロ圏、センチメント指数、マイナス成長
ユーロ圏の景気の先行きに対する不安が高まっています。もっとも、4-6月期のGDP成長率は前年比で4.1%増と(思った以上に)堅調でした。景気悪化要因として、2月にロシアがウクライナに軍事侵攻したことの影響が懸念されました。また、主要貿易相手国である中国の景気が軟調であったこと、半導体や部品等の供給制約により自動車生産が昨年から減少傾向であったことも下押し圧力と見られていました。
しかしながら、ユーロ圏の経済は22年前半は底堅く推移しました。財政政策などの効果も想定されますが、主要な下支え要因として、コロナウイルスの感染拡大が落ち着いたことによる経済再開の寄与が大きいとみられます。例えば、ドイツでは3月18日にコロナ関連規制が解除され、買物時のワクチン接種証明書の提示が不要となったり、大規模イベントの開催も解禁されました。フランスも3月からマスク着用義務が撤廃されるなど経済活動の再開が欧州で進みました。南欧では観光産業が回復し、例えばスペインのホテルの稼働率はコロナ前の水準をほぼ回復しています(図表3参照)。
しかしながら、ZEW景気期待指数にあるように、ユーロ圏のセンチメントは過去の景気後退期に匹敵する水準にまで悪化しています。中国などの景気回復が鈍いこと、前年比で10%にまで上昇したユーロ圏の高インフレによる消費意欲の低下も懸念されます。インフレ抑制に向けた欧州中央銀行(ECB)の利上げが年内は継続が見込まれ、コスト上昇が景気を下押しすると見られます。さらに、状況を悪化させる要因としては、欧州がエネルギー供給源として深く依存してきたロシアからの天然ガス供給などがこの冬を通じて停止されるリスクが高まっていることです。ドイツが原子力発電所の全3基を来年4月まで稼働させる(1基は年内運転終了予定であった)とするなど、ロシアの天然ガス供給停止を前提にする姿勢と見られます。経済への影響は必至で、弊社でもユーロ圏の23年の成長見通しを、足元1%弱引き下げました。インフレ、金利高、エネルギー不安を受け22年10-12月期からのユーロ圏経済のマイナス成長を見込んでいます。
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