Article Title
日本の財政から投資の必要性が見えてくる① ~投資とお金について~
2024/05/30

Share

Line

LinkedIn

URLをコピー


概要

投資はお金を「増やす」ことを目的に行うものだけではなく、「価値を守る」ために行うものでもあります。




Article Body Text

■ 投資は必要か

投資は必要か、その答えは「お金を増やす必要があるか」と「お金の額面と価値どちらが大事か」によって変わってきます。今の日本は、高度経済成長時代と異なり、人口減少と少子高齢化とともに低成長時代に入りました。更に、日本は国(政府)の財政悪化と高齢化によって税負担・社会保険料負担が増えており、日本の構造的な問題が解決に向かわない限り、この傾向は続くことが予想されます(図表1)。所得の伸びが非消費支出の伸びを下回る状況が続くと、個人の手取り収入(可処分所得)の伸びも期待できません。よって、手取り収入の不足を補うため、これまで何とかして貯めてきたお金を増やし、不足分を補う方法を検討する必要性が高まっています。かつては銀行に預けておくだけで8%の金利がついた時代がありました(1974年の郵便貯金の金利は8%)。2024年現在、同じ郵便貯金の金利は0.02%まで低下しています。このような環境の中、なかなかお金が増えない円預金では不十分であり、別の方法でお金を増やす必要があります。その方法の一つが投資です。

注:住民税、勤労所得税、社会保険料を指します。

図表1:世帯所得と非消費支出(住民税・勤労所得税・社会保険料等)の推移

(年次、期間:家計所得の平均値・中央値1987年~2021年、非消費支出平均値1987年~2023年)


出所:家計所得は厚生労働省「国民生活基礎調査」、非消費支出は総務省「家計調査」のデータを基にピクテ・ジャパン作成

■ お金の額面と価値

「金利が低くても、少なくとも元本が減るわけではないのだから、預金で十分ではないか」と考える方もいらっしゃるでしょう。しかし、その「元本」とは「お金の額面」のことでしょうか、それとも「お金の価値」でしょうか。大卒初任給が月給100円だった時代の給料1ヶ月分の100円が、100円を下回らなければ良いと考えるなら、それは「お金の額面を重視する」ということです。大卒初任給の平均が22万円になったのだから当時の100円は22万円になっていなければならないと考えるなら、それは「お金の価値」を重視するということです。お金の価値は、モノやサービスとの交換比率、つまりモノやサービスの価格によって変わります。そして、モノやサービスの価格というのは「買いたい人(需要)」と「売りたい人(供給)」のバランスで決まります。モノやサービスの価格が変わるということは、裏を返せば、モノやサービスを手に入れる対価としての「お金の価値」も変わるということです。 

■ お金の価値を守るための投資

インフレとは、モノやサービスの価格が上がることを意味し、それによって、お金の価値は下がります。日本の政府や中央銀行は2%のインフレ目標の達成を目指していますが、構造的な問題が解決されなければ低成長が続く可能性があります。例えば、今100万円の車は前年比2%インフレが5年続くと、110万円になりますが、100万円を5年間預金においたままでは110万円に届かず、5年後同じ車を購入することができなくなります(図表2)。インフレ環境下において、「100万円が100万円であればいい」とお金の額面を重視するだけでは、モノやサービスを買う力を維持できません。投資は「お金を増やすために行うもの」でありますが、それと同時に、「お金の価値を減らさないために必要なもの」でもあるといえます。   


図表2:インフレとお金の価値について


 

 

 


●当資料はピクテ・ジャパン株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。
●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。
●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

手数料およびリスクについてはこちら



関連記事



ESG投資や新興国投資について学びたい方へ

コラム

もっと詳しく学びたい方へ

図解で学ぶ投資のトピック

投資の基礎を学びたい方へ

投資を始める前に知っておきたいこと