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- 2020年12月の基準価額動向と運用方針
2020年12月のノアリザーブ1年の基準価額は上昇しました。新型コロナウイルスのワクチン接種開始や米国の追加経済対策期待などを背景に、引き続きリスク資産に資金が流入し株式市場は上昇しました。また金は11月の下落から反発しました。資産配分は、株式や金の組入れを引き上げ、債券の組入れを引き下げました。
2020年12月の基準価額は上昇
2020年12月30日のノアリザーブ1年の基準価額は、前月末比で+214円の12,207円となりました。同期間の主な変動要因は、株式が+154円、債券が+13円、金が+65円、為替が-6円でした。基準価額は前月末比+1.78%の上昇となっています(図表①参照)。なお、円資産の比率は、前月末より上昇し62.0%となりました。
運用方針:株式や金を引き上げ、債券を削減
当月の投資行動は、株式や金の組入れを引き上げ、債券の組入れを削減しました。
株式部分では低金利環境の長期化も見込まれる中、複数の成長テーマに投資するテーマ戦略株式を中心に株式の組み入れを引き上げました。また、コア・エクイティ・ファンドや世界ウォーター関連株式の一部を同銘柄にシフトすることで株式部分の分散を強化しました。
債券部分では、スプレッドの縮小を受けて社債の割高感が強まっていることなどから、世界サスティナブル企業債券やユーロ建て債券などの組入れを削減しました。
金は反転の兆しも見られ始めたことから組入れを引き上げました。
ファンドのリスク(価格変動)は新型コロナウイルス感染拡大前の水準まで低下
ノアリザーブ1年の設定来のリスクは、株式等と比較すると相対的に低位に推移してきました。当ファンドのリスク(価格変動)水準は、新型コロナウイルスの影響で金融市場の価格変動が大きくなった3月以降、高い水準にありましたが、足元ではほぼ新型コロナウイルス感染拡大前の水準まで低下しました。(図表②参照)
ノアリザーブ1年と主要資産の騰落率
2020年12月は、世界の株式市場は11月に続き上昇しました。また世界国債とドル建て新興国国債も上昇しました。金についても11月の下落から反発しました。
このような状況下、ノアリザーブの基準価額(分配金再投資後)は上昇しました。(図表③参照)
新型コロナウイルスのワクチン接種開始を受けて株式は上昇しました。債券は新型コロナの変異ウイルスへの懸念などを背景に上昇しました。
今後の運用方針~引き続きポートフォリオの景気感応度を高める方針
今後の運用方針については、引き続きポートフォリオの景気感応度を高めていく方針です。
製造業主導の景気回復局面入りの兆候や、新型コロナウイルスのワクチン接種の進展など、世界経済の潮目の変化が見られ始めています。また、米国ではバイデン氏の大統領就任が確実視される中、大型景気対策への期待が強まることで、割安・景気敏感株に有利となる一方、コロナ禍で選好されてきたハイテク株は、バリュエーションが割高な上に政策変更のリスクを受けやすいと思われます。このため、当ポートフォリオでは、現金比率を引き下げ、割安・景気敏感株の組入比率の引上げを検討します。一方、ディフェンシブな戦略の組入比率は削減することを検討します。
また、債券部分では、インフレが昂進するリスクもあることなどから、物価連動国債などを選好する他、相対的に高い利回りや分散効果が期待される中国債券などにも注目していきます。
当面の変動には注意が必要
ノアリザーブ1年は、市場環境の見通しに変化がある場合、「円安、インフレに備える局面」、「円高に備える局面」、「金利上昇に備える局面」など市場の様々な局面に応じて資産配分の変更を行います。
ワクチンの接種は始まったものの新型コロナウイルスの感染動向や世界経済などについて依然として先行きに不透明感が見られる中、株式や為替市場の変動率が大きくなる可能性があります。市場の動きに配慮しつつ、引き続きバランスの取れたファンド運営を心がける方針です。
株式:景気回復の恩恵を受ける新興国とりわけアジア市場
【引き続きアジア新興国や日本の株式市場に明るい見通し】
中国の経済活動はコロナ禍前のトレンド水準を回復しており、名目輸出も高水準にあります。新興国とりわけアジアの新興国が、中国経済の力強い回復の恩恵を引き続き享受すると考えます。加えて、日本も堅調なアジア経済と世界貿易回復の恩恵を享受することが予想されます。政府は12月8日、事業規模を7,000億ドル(73.6兆円)程度とする第3次追加経済対策を閣議決定しており、消費需要の喚起が期待されます。以上から、ひきつづき新興国と日本を強気にみています。
【業種別では、景気敏感セクターがけん引役に】
2021年の株式市場では景気敏感セクターがけん引役になると見ており、(景気変動の影響を受け難い)ディフェンシブ・セクターの組入れの引き下げが理に適うと考えます。従って、ディフェンシブ・セクターの構成比率が最も高いスイス株式をニュートラルに引き下げました。
景気敏感セクターの中でも、世界貿易や設備投資の回復から恩恵を受けることが期待される資本財・サービスや素材セクターを選好します。情報技術(IT)セクターは2020年に大幅に上昇したことを勘案すると、先行きにはあまり期待が持てないと考えます。また、欧米等で規制強化が予想されています。英国が、新しい競争法を施行し、大手IT各社に、グローバルベースの年間売上の最大10%に相当する罰金を課す可能性があることに加え、ユーロ圏は反トラスト法の度重なる違反に対して、企業分割を求めるとの脅しをかけています。
【米国株式の割高感を警戒】
米国株式に関しては、12ヵ月先予想PERは、1999年に一時的に付けた約23倍に達しており、割高感が強まっているように思われます。米国市場では新株発行が特に活況を呈しており、市場の過熱感が強まるリスクが示唆されます。加えて、グローバル経済がロックダウン解除を経て回復していく状況では、米国市場は(既に割高感の目立っている)テクノロジー・セクターの組入れ比率が高いことから、向かい風を受けることとなると考えています。従って、米国株式のアンダーウェイトを継続します。
債券・為替:引き続き注目を集める新興国債券市場
【インカム収益獲得において新興国債券に投資妙味】
マイナス利回りで取引されているグローバル債券の時価総額は約18兆ドルと過去最高を更新し、米国を除く世界の全ての国のGDPの規模を上回っています。
こうしたなかで、新興国債券全般、とりわけ中国国債が、プラスの実質利回りの源泉として傑出しています。直近の経済統計から確認されるのは、中国経済が極めて堅調だということです。全ての産業セクターがコロナ禍前の活動の水準を回復し、(世界貿易に占める中国貿易の比率は過去最高水準に達するなど)輸出が急増する一方で、インフレは抑制されています。加えて、中国10年国債の米国10年国債に対するスプレッドは過去最高水準に達していることから、人民元建て債券に対して強気な姿勢を維持しています。
【新興国通貨の割安感が現地通貨建て新興国債券の支援要因に】
新興国通貨がドルに対して割安な水準にあると考えており、新興国通貨が今後数ヵ月のうちに上昇すれば、向こう数ヵ月、現地通貨建て新興国債券価格の押し上げ要因となると考えています。従って、現地通貨建て新興国債券にも注目しています。
【利回り水準面から、スイス国債を敬遠】
ソブリン債では、スイス債券は相対的に魅力が薄いとみています。平均利回りが、経済・医療危機のさなかの3月半ばに-0.6%に低下し、以降低水準で推移しており、経済・医療両面とも改善が進んだ現状ではこうした利回り水準は正当化されないと考えます。
【先進国社債に先行き不安】
先進国社債の先行きは微妙です。今後の流動性の状況は現状ほど良好とは限らず、超緩和的な金融政策の恩恵を大きく受けてきた社債は苦戦を強いられる可能性があると考えます。特にハイイールド債には極めて慎重な姿勢を維持します。景気循環の現在の局面では格下げ等、信用の悪化が珍しくないことに加え、債券の新規発行が相次いでいるからです。
一方で、先行きが最も明るいと考えるのは、財政刺激策と金融緩和策双方の恩恵を受けることが予想される米国投資適格社債だと考えています。追加の財政刺激策が近日中にも発表され、新型コロナウイルス感染者の急増による経済への打撃が相殺されると予想していることが同資産クラスにとっての支援要因になる可能性があると考えています。
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