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- 2021年7月の基準価額動向と運用方針
2021年7月のノアリザーブ1年の基準価額は上昇しました。米国の早期金融引き締めに対する懸念が後退する中、先進国の株式や債券が上昇しました。一方、新興国株式は中国の規制強化への懸念などから下落しました。金は前月の大幅下落から反発しました。為替は主要通貨に対して円が上昇しました。資産配分は株式の組入れの一部を債券にシフトしました。
2021年7月の基準価額は上昇
2021年7月30日のノアリザーブ1年の基準価額は、前月末比で+72円の12,816円となりました。同期間の主な変動要因は株式が+6円、債券が+71円、金が+44円、為替が-35円でした。基準価額は前月末比+0.56%の上昇となりました(図表①参照)。なお、円資産の比率は、前月末より上昇し59.8%となりました。
運用方針:株式を引き下げた一方、債券を引き上げ
当月の投資行動は、資産配分では株式の組入れを引き下げ、債券の組入れを引き上げました。
株式部分では、中国の規制強化の動きを受けて同国株式市場を中心に先行き不透明感が強まったことなどから中国株式や新興国株式を一部売却しました。また、世界経済の景気回復ペースが緩やかになるとの見通しのもとで、世界バリュー株式の組入れの一部を世界高配当公益株式にシフトしました。また、世界環境関連株式やピクテ・テーマ戦略株式の組入れを引き下げてリスクを削減した一方、その一部をセキュリティ関連企業株式や米国半導体株式ETFにシフトし、グロース株式におけるリスクを分散しました。その他、スイス株式ETFをピクテが運用するスイス株式にシフトするなどしました。債券部分では、長期金利の低下圧力の強まりなどを背景に米国超長期国債ETFを新たに購入し、ポートフォリオの金利感応度を高めました。また、利回り水準が魅力的な短期新興国社債に追加で投資しました。
ファンドのリスク(価格変動)は新型コロナウイルス感染拡大前の水準まで低下
ノアリザーブ1年の設定来のリスクは、株式等と比較すると相対的に低位に推移してきました。リスク(価格変動)水準は、新型コロナウイルスの影響で先行き不透明感が高まった2020年3月に急上昇しましたが、足元では新型コロナウイルス感染拡大前の水準まで低下しています(図表②参照)。
ノアリザーブ1年と主要資産の騰落率
2021年7月は、米国株式や金、先進国の国債は上昇しました(円ベース)。一方、新興国株式や日本株式などは下落しました(円ベース)。このような状況下、ノアリザーブ1年の基準価額は上昇しました(図表③参照) 。
世界の株式市場は米国の早期金融引き締めに対する懸念が後退する中、米国株式や欧州株式などが上昇しました。一方、新興国株式は中国の規制強化を巡る懸念などから下落しました。金は6月の大幅下落から反発しました。
今後の運用方針~現状のリスク水準を維持しつつ、徐々に保守的なスタンスに
今後の運用方針については、やや警戒感を強めながらも現状のリスク水準を維持する方針です。
世界経済は、欧米を中心に経済再開に向けた強い動きが続いているものの、景気拡大の勢いは次第に緩やかになってきており、企業業績にもピークアウト感が見られます。また、新型コロナウイルスのデルタ変異株の感染拡大や中国の規制強化の動きなどを受けて市場の先行き不透明感が高まっています。したがって、現時点では株式市場に対して弱気になる必要はないものの、当面は株式の中立的なスタンスを維持し、各動向を注視していく方針です。債券については、金利低下が急ピッチで進んだものの、景気拡大ペースの鈍化に伴ってイールドカーブのフラット化が進む余地は残っていると考えられるため、米国国債を中心に買い場を探る方針です。また、金については、インフレ懸念が市場に織り込まれつつある一方、中国が預金準備率を引き下げるなど、緩和方向へと舵を切る動きもあることを考慮し、現状の組入比率を維持する方針です。
当面の変動には注意が必要
ノアリザーブ1年は、市場環境の見通しに変化がある場合、「円安、インフレに備える局面」、「円高に備える局面」、「金利上昇に備える局面」など市場の様々な局面に応じて資産配分の変更を行います。世界ではワクチン接種が拡大しているものの、新型コロナウイルスはデルタ変異株による感染拡大が続いており、依然として先行きに不透明感があります。また、マクロ経済や米国金利などの動向が株式や債券、金、為替に大きな影響を与える可能性があります。市場の動きに配慮しつつ、引き続きバランスの取れたファンド運営を心がける方針です。
株式:ニュートラル継続
【地域・市場別では欧州株式とスイス株式の見通しが改善】
ユーロ圏では、ワクチン接種が順調に進み、各国政府が都市封鎖(ロックダウン)を解除していることから、株式市場の見通しが改善しています。
ユーロ圏は、米国に代わって、コロナ危機からの景気回復を主導しています。域内の事業活動は拡大を続けており、人の移動を表す指標は、既に、コロナ前の水準を回復しています。
欧州株式は、今後予想される実質金利の上昇からも恩恵を受けることが期待されます。
これは、実質金利の上昇局面で良好なリターンを上げる傾向が強い金融株等、バリュー株の欧州の株価指数に占める比率が高いからです。
これらを根拠に、欧州株式については見通しが改善していると考えます。
同時に、スイス株式についても見通しは良好であると考えます。スイス市場では、強気相場の中盤で良好なリターンを上げる傾向が強い優良銘柄(クオリティ銘柄)が多数あるためです。
一方で、米国株式の見通しについては、やや慎重に見ています。S&P500種株価指数は、堅調な企業業績を受け、2020年末以降で15%以上も上昇していますが、既に過去最高水準に達した利益率には上昇余地が小さいことから、下期に上期同様の上昇が実現する公算は極めて小さいと考えます。
ピクテのモデルは、米国株式のPERが年末までに15%程度低下する可能性を示唆しています。
中古車等、新型コロナウイルス感染が拡大する環境下で価格が上昇しやすい品目によるインフレ圧力の強まりが懸念されており、こうした状況が長期化すれば、インフレ期待に変化が見られる可能性も考えられます。また、このことは、金融緩和の早期縮小を、FRBに促す可能性もあると考えます。
【業種別では、金融と不動産は良好な見通しである、一般消費財・サービスに対しては慎重な見通し】
バリュエーションの割安感が際立つ不動産セクターと金融セクターが魅力的であると考える一方で、一般消費財・サービスセクターは慎重な見通しを継続します。
債券・為替:米国国債を中立、中国国債をやや良好な見通しに変更
【米国国債を中立に】
7月に利回りが急低下(債券価格は上昇)したことから、米国国債の見通しは中立と考えます。
利回りの低下は、当初は、米国の経済成長がピークを迎えるという兆候に反応したものでしたが、その後は、景気先行指数が直近のピークから小幅に低下したことや、新型コロナウイルスのデルタ株の感染拡大を巡る懸念が強まったことが、一段の低下を促しました。
7月末時点で1.2%台で推移する米国10年国債利回りは、米国の経済活動の勢いの鈍化を勘案しても、低過ぎると考えます。ピクテのこうした見方は、債券市場の上昇相場がショートポジションの巻き戻しというテクニカル要因を一因としていることからも裏付けられます。投資家の大半は、景気回復とロックダウンの解除を受け、米国国債を中心に、債券を空売りしていました。従って、債券利回りが低下(債券価格が上昇)し始めた時点で、ショートポジションを構築していた多くの投資家がポジション巻き戻しの買いに走って、上昇相場を煽る結果となり、債券価格を経済ファンダメンタルズとは相容れない水準に押し上げたとみています。
FRBが金融引き締めの開始を検討していると考えられる局面で実質利回りが過去最低水準を更新したことも、投資家に、市場の割高感を確信させるきっかけとなりました。
【中国国債はやや良好な見通しに】
中国国債については、良好な見通しからやや良好な見通しに引き下げました。
中国経済は、鉱工業生産、建設活動などがいずれも3年平均を下回り、ピークを打ったことが明らかです。また、中国人民銀行は、先般、国内銀行に対して預金準備率の50ベーシスポイント(0.5%)の引き下げを発表しており、利払いコストの引き下げと景気浮揚を図って、今後、緩和バイアスを強めていくことを示唆しています。
しかしながら、中国10年国債利回りは3%を割り込んでおり、特に、規制当局の締め付けが今後の資金流入に影響を及ぼす可能性を勘案すると、投資妙味が薄れています。
【割安感が際立つ日本円】
ピクテのモデルでは、先進10ヵ国の通貨の中で、円が最も割安です。米ドル高は、ショートポジションの巻き戻しに因るものです。また、英ポンドの割高感は解消されています。
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