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- 2021年3月の基準価額動向と運用方針
2021年3月のノアリザーブ1年の基準価額は上昇しました。米国の大規模経済対策期待から先進国株式は上昇した一方、新興国株式は米国金利の上昇懸念などを受けて下落しました。また債券や金も景気回復期待、米金利上昇などから下落しました。一方、為替は円が主要通貨に対して下落しました。資産配分は、債券の組入れを削減し、株式、キャッシュの組入れを増やしました。
2021年3月の基準価額は小幅上昇
2021年3月31日のノアリザーブ1年の基準価額は、前月末比で+22円の12,352円となりました。同期間の主な変動要因は株式が-33円、債券が-33円、金が-21円、為替が+123円でした。基準価額は前月末比+0.18%の上昇となりました(図表①参照)。なお、円資産の比率は、前月末より低下し58.3%となりました。
運用方針:債券の組入れを削減し、株やキャッシュの組入れを拡大
当月の投資行動は、債券や金の組入れを削減し、キャッシュの組入れを増やしました。
債券部分では、米財政政策やワクチン接種の拡大などを背景に、米国を中心として長期金利の上昇圧力が高まったことから、米ドル建て公共債券や世界インフレ連動債などの組入れを一部削減し、金利感応度を引下げました。また、社債の割高感から世界サスティナブル企業債券を全売却するなどしました。株式部分では、米ドル高や米金利高が意識される中で新興国株式の組み入れを一部削減した一方、イールドカーブのスティープ化による恩恵を受けやすい世界金融株式を追加で買い増しました。また、ポートフォリオのディフェンシブ性を高めるため、コア・エクイティ・ファンドを通じて世界ディフェンシブ株式を追加購入したほか、スイス株式の組入れを拡大しました。その他、世界ウォーター株式を全売却するなどしました。
ファンドのリスク(価格変動)は新型コロナウイルス感染拡大前の水準まで低下
ノアリザーブ1年の設定来のリスクは、株式等と比較すると相対的に低位に推移してきました。当ファンドのリスク(価格変動)水準は、新型コロナウイルスの影響で先行き不透明感が高まった2020年3月に急上昇しましたが、足元ではほぼ新型コロナウイルス感染拡大前の水準まで低下しています(図表②参照)。
ノアリザーブ1年と主要資産の騰落率
2021年3月は、世界の株式市場は続伸しました。一方、金や新興国株式が下落しました(円ベース)。
このような状況下、ノアリザーブ1年の基準価額は小幅ながら上昇しました(図表③参照) 。
先進国の株式市場は米バイデン政権による大規模経済対策への期待などから上昇しましたが、新興国株式は米国の金利上昇などがマイナス要因となり下落しました。また金も米国金利の上昇などが影響し下落しました。為替は主要通貨に対して円が下落しました。
今後の運用方針~現状のリスク水準を維持しつつ、徐々に保守的なスタンスに
今後の運用方針については、現状のリスク水準を維持しつつも、徐々に保守的なスタンスを強める方針です。好調なマクロ経済とそれに伴う業績の伸びが株式市場を下支えすると見られる一方、バイデン政権の大型経済対策などを背景に米国の需給ギャップが一段と縮小すれば、年央にもFRBがテーパリングを示唆する可能性があります。また、金融市場はいずれ業績回復期待を先取りする景気回復サイクルの初期から、金融緩和の修正を伴う中期へと移行すると見られます。そうなれば米金利や米ドルが更に上振れ、これまで好調を維持してきた株式市場にも調整圧力が強まる可能性も高まってくると見ています。こうした認識に基づき、現時点ではリスク資産に対してやや強気のスタンスを維持するものの、今後の景気動向次第では、債券のデュレーション長期化やディフェンシブな株式戦略を引上げるなど、より保守的な運用スタンスへの段階的な移行を検討します。
当面の変動には注意が必要
ノアリザーブ1年は、市場環境の見通しに変化がある場合、「円安、インフレに備える局面」、「円高に備える局面」、「金利上昇に備える局面」など市場の様々な局面に応じて資産配分の変更を行います。
ワクチンの接種は広がっているものの新型コロナウイルスの感染動向などについては依然として先行きに不透明感があります。また、マクロ経済が堅調に推移する中、米国金利などの動向が株式や債券、金、為替に大きな影響を与える可能性があります。市場の動きに配慮しつつ、引き続きバランスの取れたファンド運営を心がける方針です。
株式:新興国市場の組入れを抑え、景気敏感セクターに注目
債券の実質利回りの上昇は、割安株式(バリュー株式)や日本株式が相対的に堅調に推移する要因になり得ると考えています。
従って、(景気変動の恩恵を相対的に大きく享受するとされる)景気敏感株式を選好し、資本財、素材、一般消費財セクターに注目します。実質金利が長期平均を大きく下回る水準に留まりつつ、上昇基調にあることを勘案すると、割安株式(バリュー株式)は成長株式(グロース株式)よりも優位な状況にあるように思われます。中でも、金融セクターがとりわけ注目されます。現地通貨建てで、2020年10月以降、世界株式を約17%上回るパフォーマンスを記録するなど好調に推移し、今後も上昇が期待される金融セクターに引き続き注目しています。
地域別では、複数の要因が新興国株式市場にとっての向かい風になると考え、新興国株式に対する警戒姿勢を強めました。
新興国株式は、2020年の最安値から約+70%と大きく上昇していることから、もはや割安な水準にないと考えています。世界の株式市場の上昇のけん引役は中国市場から米国市場に移っていると考えられることに加え、新興国市場を取り巻く環境には、米ドル高と米国国債の実質金利の上昇という逆風が吹いています。米国の景気回復が加速するに連れて、米国長期金利の上昇とドル高の進行が、低金利のドル資金調達に依存してきた新興国にとっての懸念材料になっていることには留意が必要だと考えます。
また、先進国の中央銀行による流動性供給の縮小から、どのような影響を新興国株式市場が受けるかどうかは定かではありませんが、(FRBが資産購入の縮小計画に言及したことが市場の急落をもたらした)2013年のテーパー・タントラムに先立つ時期と比べれば、新興国の経常収支は、総じて、改善されていると考えています。ただし、新興国の株式市場から、資金が流出していることにも留意する必要があると考えます。
債券:社債回避の継続
インフレ懸念が世界の債券市場に波紋を広げています。景気回復の勢いが増し、企業、消費者ともに、消費や投資に向かう可能性のある資金をため込んでいる状況を勘案すると、将来、いずれかの時点で、物価上昇圧力が増すことを予想しています。
また、債券市場の中でも、社債市場は、経済が高い成長を遂げ、インフレ率が上昇する局面で最も脆弱な資産クラスだと考えています。例えば、米国の投資適格社債の利回りは低水準で推移しており、インカム収益によるバッファーがないに等しい状況です。利回りは約2.3%と、期待インフレ率(米国インフレ連動国債(TIPS)を用いて算出した10年国債ブレークイーブン・インフレ率)の約2.4%を僅かに下回る水準にあります。
米国ハイイールド債は、更に脆弱だと考えています。株式に対するイールド・プレミアム(リスクの対価としての上乗せ利回り、ハイイールド債の利回り-株式の益利回りで算出)は僅か1%に留まっています。
人民元建ての中国債券市場は、インフレ上昇局面を切り抜ける態勢を整えていると考えます。実際に、足元の債券市場の下落局面においても、年初来リターンがプラス圏を維持しているなど、強い耐性を示しています。3%を上回る魅力的な利回りに加えて、先進国債券やその他の主要資産クラスとのリターンの相関が低いことから、分散効果が得られることも注目されます。
バリュエーション面での魅力が増しつつある米国国債も、先行きが期待されます。米国10年国債利回りは2021年1~3月期中に約80ベーシス・ポイント(0.8%)上昇し、過去の市場で上昇相場に転じた状況に近付いています。更に、市場に織り込まれた金利水準は、エコノミストのコンセンサス予想やFRBの予想水準とほぼ一致しています。従って、10年国債利回りは、1.75%を大きく上回らないと考えており、これ以上の利回り上昇の可能性は低いと考えています。米国国債利回りは、安定して推移するにしても、低下に転じるにしても、他の主要国の国債利回りを上回って推移するものと思われ、利回り格差が殆どの通貨に対するドル高に繋がると考えています。一方で、中長期的にはドル安が進行するとの見方は変わりません。
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