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2020年7月の基準価額動向と運用方針
2020/08/25

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概要

2020年7月のノアリザーブ1年の基準価額は上昇しました。米国などによる金融緩和策の継続や新型コロナウイルスのワクチン開発への期待などを背景に株式に資金が流入しました。また金価格も大きく上昇しました。資産配分では、債券と金の組入れを引き上げ、キャッシュの組入れ比率を引き下げました。



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2020年7月の基準価額は上昇

2020年7月31日のノアリザーブ1年の基準価額は、前月末比で+424円の11,796円となりました。同期間の主な変動要因は、株式が+298円、債券が+65円、金が+122円、為替が‐49円となりました。基準価額は前月末比+3.73%の上昇となっています(図表①参照)。

なお、円資産の比率は、前月末より上昇し60.9%となりました。

債券、金を引き上げ、キャッシュを引き下げ

当月の投資行動は、資産配分では債券や金の組入れを引き上げました。

株式の組入れは前月の水準を維持しましたが、一部投資対象の入れ替えなどを実施しました。具体的には、ディフェンシブ性の高い銘柄の分散度合を高める、コア・エクイティ・ファンドを通じてディフェンシブ企業株式を一部売却し、世界生活必需品関連株式を新規に購入しました。また、世界ウォーター関連株式のポジションを一部解消し、長期的な成長が期待される世界環境関連株式を買い増しました。

加えて、安全需要が高まる中、金が騰勢を強めていることなどから世界金鉱関連株式を新規に購入しました。

債券部分では、相対的に高い利回りや分散効果が期待されることなどから中国人民元建て債券への投資を開始しました。

ファンドのリスク(価格変動)は新型コロナウイルス感染拡大前よりも小幅に高い水準

ノアリザーブ1年の設定来のリスクは、株式等と比較すると相対的に低位に推移してきました。当ファンドのリスク(価格変動)水準は、新型コロナウイルスの影響で金融市場の価格変動が大きくなった3月よりも大幅に低下、新型コロナウイルス感染拡大前よりも小幅に高い水準での推移となっています。(図表②参照)  

ノアリザーブ1年と主要資産の騰落率

2020年7月は、金や日本を除く世界の株式市場が堅調となった一方、日本株式は下落しました。このような状況下、ノアリザーブ1年の基準価額は上昇しました。(図表③参照)

新型コロナウイルスの感染再拡大への懸念は残るものの、新型コロナウイルスのワクチン開発期待、金融緩和や財政支出などによる景気支援などが株式市場のプラス要因となりました。また金価格も大幅に上昇しました。

今後の運用方針~リスク水準を高位に保つ

今後の運用方針については、下値リスクを警戒しながらも、現状のリスク水準を維持する方針です。

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため制約を受けていた経済活動が徐々に緩和されており、それに従って製造業の生産活動や雇用環境も回復傾向にあります。また、主要国の中央銀行が大規模な信用供給を継続しており、株式やクレジット債券などのリスク資産の上昇を牽引するものと見られています。さらに、欧米ではワクチン開発が臨床試験の最終段階に入ったとの報道もあり、経済活動の正常化に向けた期待感が高まっています。一方で、企業業績の下方修正リスクが株式市場の重石になる可能性や、ここに来て各国で再び新規感染者数が増大傾向にあることなど、リスク要因が完全に払拭されたわけではなく、引き続き警戒が必要だと思われます。この為、株式に対してはディフェンシブ性の高い戦略や長期的に高い成長が期待される戦略に分散投資をする、現状の投資方針を継続します。為替に関してはドル安圧力が強まっていることから、円ヘッジの比率をやや引上げることも検討していきます。

当面の変動については注意が必要

ノアリザーブ1年は、市場環境の見通しに変化がある場合、「円安、インフレに備える局面」、「円高に備える局面」、「金利上昇に備える局面」など市場の様々な局面に応じて資産配分の変更を行います。

新型コロナウイルスの感染拡大の動向や世界経済などについて依然として先行きに不透明感が見られる中、株式や為替市場の変動率が大きくなる可能性があります。市場の動きに配慮しつつ、引き続きバランスの取れたファンド運営を心がける方針です。

株式:欧州株式の相対的な魅力が高まる

経済であれ、政局であれ、新型コロナウイルスの感染拡大状況のいずれの観点からも、欧州市場は、米国市場と比較して魅力的だと考えられます。独仏両国が主導した総額7,500億ユーロの「欧州復興基金」の創設にEU加盟国が合意したことに加えて、欧州中央銀行(ECB)が景気刺激策を継続していることから、域内経済は従来以上に堅固な基盤の上に置かれています。従って、2021年のユーロ圏実質GDP成長率予想を約1%上方修正し、約7%としました(図表2参照)。
投資家にとって極めて重要なのは、ユーロ圏経済の、特に米国経済と比較した改善の見通しが、株式市場に織り込まれていないことです。足元の株価純資産倍率(PBR)は、米国の約3.7倍に対して欧州は約1.7倍と格差が拡がっており、米国企業の自己資本比率(ROE)が欧州企業のROEを上回る状況が続くこと、また、両者の格差が、足元の約5%から10%以上に拡大することを示唆していますが、格差がこれほど拡がる状況が実現する公算は極めて小さいと考えます。

米国株式は、とにかく、極めて割高と考えられ、約24倍に達した足元の株価収益率(PER)を維持するには、企業の利鞘の安定が求められますが、新型コロナウイルスの抑え込みが果たせず、また、シリコンバレーを拠点とするハイテク大手に対する規制当局の監視強化や11月の大統領選の結果を巡る不確実性が払拭されない状況を考えると、課題の実現は難しいと考えます。

業種別では、個人消費の増加を背景に、一部の地域で景気回復基調が定着し始めていることから、生活必需品セクターに注目しています。景気敏感株が主導する上昇相場に追随できず、グローバル市場全体に対する上乗せ率(プレミアム)は約10%と、3月時点の20%、過去10年平均の25%をいずれも下回ります。生活必需品企業の利益成長率の改善から示唆されるのは、株価の上昇が正当化されるということです。

債券・為替・その他:引き続き米投資適格社債や金は魅力的

社債は、利回りが低下しているとはいえ、幾分かの価値を提供していると考えます。低コストの資金調達を可能にすることで企業を支援するとの米国当局の決意が、近い将来、変わる公算は小さいと思われます。したがって、米国の投資適格社債は引き続き魅力があるとみています。
また、先進国債券の利回りが超低位に張り付き、新興国通貨の割安感が解消されないことから、現地通貨建て新興国債券のオーバーウェイトの度合いを債券セクター中、最も高くしています。新興国通貨は、弊社のモデルで測定すると、過去20年超で最も割安な水準に留まります。
米ドル安の根拠は幾つも挙げられます。先ず、米国の経済成長見通しが、もはや、他の先進国を大きく上回る状況にはないことと、金利差が縮小していることです。また、財政赤字と経常赤字を指す「双子の赤字」が先行きを懸念させる水準にまで拡大していることです。ピクテでは、両方の赤字を併せると1970年代以降最悪の水準に達すると試算しています。
11月の大統領選に関連する政治リスクも懸念材料です。最近の世論調査では、バイデン前副大統領がトランプ大統領を破る可能性が増す状況が示唆されており、これが現実となれば、恐らく、企業寄りとはいえない政権が4年間続くことを意味します。いずれの状況も、既に割高感の強まった米ドルを選好しない根拠です。

金は引き続き魅力がある資産であると考えます。中銀各行による大量の流動性供給に伴うインフレ・リスク、ドル安進行の見通し、地政学リスクの強まり、今年下期の新型コロナウイルスの感染再拡大状況を巡る懸念等を勘案すると、ディフェンシブ資産の中でも最も投資妙味が強い状況は変わらず、いずれも、今後一段の上昇を示唆すると考えるからです。
ピクテのテクニカル指標は金が買われ過ぎの領域にあることを示唆していますが、機関投資家の過度に投機的なポジションが構築された兆しは殆ど見られません。これまでの買いの大半は、上場投資信託(ETF)を通じた個人投資家の買いです。インフレ調整後の金価格が40年以上前に付けた過去の高値に近付くにつれてニュースで大きく取り上げられる回数が増えていますが、インフレ調整前のベースでは、未だに過去最高水準を約30%程度下回ります。「金融抑圧」の状況が債券の分散効果を削ぐ中、金はバランス型ポートフォリオにおいて重要な役割を果たし続けると考えます。



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