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- 2020年9月の基準価額動向と運用方針
2020年9月のノアリザーブ1年の基準価額は下落しました。これまで株式市場をけん引してきたハイテク株の下落や、欧州での新型コロナウイルスの感染再拡大への懸念などから株式市場は下落しました。資産配分では、株式と債券の組入れを引き下げ、キャッシュの組入れ比率を引き上げました。
2020年9月の基準価額は下落
2020年9月30日のノアリザーブ1年の基準価額は、前月末比で-140円の11,796円となりました。同期間の主な変動要因は株式が-88円、債券が+23円、金が-62円、為替が-1円となりました。基準価額は前月末比-1.17%の下落となっています(図表①参照)。
なお、円資産の比率は、前月末より低下し63.2%となりました。
運用方針:株式、債券を引き下げ、キャッシュを引き上げ
当月の投資行動は、資産配分では株式や債券、金の組入れを引下げ、キャッシュの組入れを引き上げました。
株式部分では、米大統領選挙に向けて市場価格変動が大きくなることが予想されることなどから、デジタル・コミュニケーション関連企業株式やセキュリティ関連企業株式などの組み入れを引き下げ、一部を世界生活必需品関連株式やヘルス関連株式、スイス株などのディフェンシブ性の高い銘柄にシフトしました。また米大統領選挙後の対中政策を巡る不透明感があることから、中国株式についても組入れを引き下げました。
債券部分では、米連邦準備制度理事会(FRB)によるインフレ目標の上振れ容認姿勢などが長期金利の上昇圧力となっていることなどから、米国超長期国債を一部削減し、世界インフレ連動債を新たに組み入れました。また、新興国米ドル建て国債を一部売却し、相対的に高い利回りと分散効果が期待できる中国人民元建て債券を買い増しました。
また、金については利益確定の為、一部売却しました。
ファンドのリスク(価格変動)は新型コロナウイルス感染拡大前よりも高い水準
ノアリザーブ1年の設定来のリスクは、株式等と比較すると相対的に低位に推移してきました。当ファンドのリスク(価格変動)水準は、新型コロナウイルスの影響で金融市場の価格変動が大きくなった3月よりも大幅に低下しましたが、新型コロナウイルス感染拡大前よりも高い水準での推移となっています。(図表②参照)
ノアリザーブ1年と主要資産の騰落率
2020年9月は、世界の株式市場が概ね下落しましたが、日本は上昇しました。日本国債、世界国債は小幅に上昇、金は下落しました。
このような状況下、ノアリザーブ1年の基準価額は下落しました。(図表③参照)
これまで株式市場を牽引してきたハイテク株を中心に軟調な動きとなったことや、欧州における新型コロナウイルスの感染再拡大への懸念などが株式市場のマイナス要因となりました。
今後の運用方針~中立なリスク量を維持
今後の運用方針については、概ね現状の中立的なリスク量を維持しつつ、銘柄入替えを中心にポートフォリオを見直す方針です。
製造業受注などが急速に持ち直しており、今後設備投資の拡大も期待される一方で、雇用や消費については依然として政策頼みの側面が残っており、不安定な状況が継続しています。その為、金融緩和効果がほぼ一巡する中、各国政府が切れ目なく財政政策を打ち出せるかが今後の株式市場の動向を左右することになると思われます。また、来る米大統領選挙の結果次第では、米国経済が財政の崖に落ちる可能性は否定できず、動向を注視していきます。
その為、米大統領選挙に向けて、銘柄入れ替えを中心としたポートフォリオの調整を行っていく方針です。具体的には、中国株式に利益確定売りを入れる一方、政策変更リスクを反映して割安感が出てきたヘルスケア関連株式の比率を引上げることなどを検討します。金は、資産保全としての役割に変化はありませんが、多くの投資家が一気に買いを入れた反動で上値が抑えられる可能性がある為、組入比率は現状程度に留める方針です。
当面の変動については注意が必要
ノアリザーブ1年は、市場環境の見通しに変化がある場合、「円安、インフレに備える局面」、「円高に備える局面」、「金利上昇に備える局面」など市場の様々な局面に応じて資産配分の変更を行います。
新型コロナウイルスの感染拡大の動向や世界経済などについて依然として先行きに不透明感が見られる中、株式や為替市場の変動率が大きくなる可能性があります。市場の動きに配慮しつつ、引き続きバランスの取れたファンド運営を心がける方針です。
株式:米大統領選の結果と中央銀行ならびに政府の追加の景気対策に注目
初秋の株式市場は大荒れの展開となりました。新型コロナウイルスの世界的な流行(パンデミック)を嫌気した市場の暴落後の強い上昇相場は、割高感の強まった銘柄を調整の危機に晒しました。
とはいえ、もともと割高な水準で推移していたハイテクセクター等、一部のセクターのバリュエーションは、下落局面を経ても、なお、割高だと判断しています。こうした状況が、業種別組入れについては慎重な姿勢を継続します。3月以降の株価収益率(PER)の大幅上昇で、PERは通常の水準を遥かに上回っているからです。
米国株式は、とりわけ割高に思われます。足元のバリュエーションは、予想利益ベースのPERが約25倍に達しています。こうした割高なバリュエーションの一部は、ディフェンシブ銘柄に対する景気循環株の極端な評価に反映されています。こうした状況は、(シティグループが算出する)エコノミック・サプライズ指数が100以上の数値を維持してきたことで支えられてきましたが、同指数は、横ばいに転じ始めているように思われます。
今後の市場動向は、2つの主要な要因、即ち、米大統領選の結果と、中央銀行ならびに政府に追加の景気対策を講じる余裕がどれだけあるか、また、そのような意向があるかどうかにかかっています。状況を複雑にしているのは、景気回復が自律性のものかどうかということです。経済が比較的良好な状況にあることを示唆する指標は、多数、散見されます。鉱工業生産は改善基調にあり、貿易量は世界各地で回復傾向にあります。また、米国と中国の小売売上高は、景況感指数に反映された一部の回答者の悲観的見方と整合性がないと考えています。
こうしたことの全てが示唆しているのは、新型コロナウイルス第2波の影響が想定していたよりも軽微に留まった場合、過度の景気対策で経済の回復を損なってしまう状況を懸念して、追加の刺激策がどれだけ必要か、或いは、そもそも必要があるのかどうかを中央銀行が注視していくだろうということです。
株式市場は、実質債券利回りの低下と経済成長の勢いが加速する状況を支えに上昇してきましたが、こうした良好な状況は徐々に薄れ始めています。
債券・為替:米国投資適格債の魅力
世界経済の回復は確実さを増しているように思われ、企業業績予想は、総じて、上方修正されつつあるようです。一見したところ、企業や社債市場には朗報です。一方、こうした状況の恩恵は、特に米国では、公平に享受されているとは思われません。
投資適格企業は、恐らく、当初から相対的に有利な位置にあり、景気回復の恩恵を受け続けると思われます。また、低格付け企業に比べて追加的な資金調達を確保しやすいと考えます。更に、夏以降、投資適格社債の買入を開始したFRBから大型の追加支援が得られる可能性もあります。このため、米国投資適格社債には注目しています。
一方、米国ハイイールド債には、引き続き、慎重な見方が必要と考えています。ハイイールド債は、経済成長の目覚ましい改善に大きく依存しますが、そうした状況は未だ確認されません。更に、米国ハイイールド債市場は、コロナ禍の打撃が大きく、先行きが不透明なエネルギー・セクターの組入れが大きいことにも注意が必要です。
欧州では、ハイイールド債に関して米国よりも景気敏感セクターやエネルギー・セクターへの偏りがないことを背景に、投資適格社債とハイイールド債の見通しが近いものとなっています。投資適格社債は、米国と同様、欧州中央銀行(ECB)の資産買入に支えられていますが、相違点は、ECBがFRBよりも遥かに長期間にわたって買入を続けているため、中銀の介入の効果がほぼ全て市場に織り込まれていることだと考えます。マクロ経済指標は、ユーロ圏経済の先行きにニュートラルな見方を取っていることも踏まえ、域内の社債市場全般についてニュートラルな姿勢を維持します。
世界経済の回復は確実さを増しているように思われ、新型コロナウイルス感染拡大の抑え込みに成功した中国は、グローバル経済の回復をけん引し続けています。こうした環境下、人民元建て10年物中国国債の利回りは約3%と、同年限の米国国債に対するスプレッド(上乗せ利回り)が過去最高の約250ベーシスポイント(2.5%)前後に拡がり、投資妙味が強まっています。また、対ドルの人民元高予想が、魅力を一層際立たせています。
世界の主要な債券指数に中国債券が組入れられる動きが拡がりつつあることから、海外投資家の注目が増していますが、9月には、FTSEラッセル世界国債指数が2021年からの中国国債組入れを発表しています。
米国の財政の崖や大統領選、新型コロナウイルス感染再拡大の可能性等、多くのリスクに直面する環境では、ディフェンシブ特性を有する資産がポートフォリオ全体の重要な構成要素となります。従って、米国国債やゴールドなどに注目しています。
米ドルについては、投資期間が5年の場合には弱気の見方を取る一方で、短期的には大統領選の結果に左右される公算が大きいと考えます。民主党が勝利した場合、国内の景気刺激対策に加えて企業に国内回帰を促すことが予想されるため、ドル高要因になる可能性があると見ています。
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