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景気回復への確信が高まる局面での「バリュー株」復活に期待
2020/06/03

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概要

2020年年初来の新興国株式のパフォーマンンスは足元まででマイナスとなっていますが、スタイル別に見ると、「グロース株」が優勢、「バリュー株」が劣勢となりました。ただし、バリュー株の実績利益水準は相対的に見ても底堅く推移しており、バリュエーション格差が拡大している状況です。世界経済の回復への確信度が高まれば、バリュー株の見直しが進む可能性もあると期待しています。



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年初来、「バリュー株」は劣勢となるが・・・

中国・武漢で最初に感染が確認された新型コロナウイルスは、2020年年初から3月後半にかけて世界的なパンデミック となり、世界経済や企業業績の先行きに懸念が強まったことから、新興国株式市場をはじめ世界の株式市場は大きく下 落しました。こうした中、新興国株式市場の中では、「グロース株」が「バリュー株」を上回るパフォーマンスを示しました。

先行き不透明感が強まる中では、「成長」は希少であり、それを求めていわゆるグロース株に投資資金が集まりやすい市場環境であると考えられます。一般に、グロース株は、景気サイクルの影響よりも、独自の成長ドライバーを有していることにより、構造的な成長が期待できると企業と考えられます。それに比べると、バリュー株に分類される企業の多くの利益動向は、構造的な成長要因より、景気サイクルの影響を相対的に受けやすいと考えられます。

不透明感が高まった2020年年初来の株式市場においても、独自の成長ドライバーを持つグロース株に注目が集まったと考えられます。新興国のグロース株として代表的なものには、アリババ・グループ・ホールディングスやテンセント・ホールディングスといった中国のインターネット関連企業があります。こうした企業は、新型コロナウイルスの感染拡大の中でも、中国国内におけるeコマース需要などは引き続き成長が期待できるとの見方などから、株価が相対的に底堅く推移し、グロース株をけん引しました。
一方で、世界経済は今年、マイナス成長に陥るとみられる中、新興国のバリュー株は相対的に劣勢を強いられるかたちとなりました。

しかし、利益水準は底堅く、バリュエーション格差が広がる

前述の通り、2020年年初来で新興国株式市場は下落し、その中でもバリュー株が相対的に大きく下落しましたが、この大部分は、バリュエーション(投資価値評価)の水準訂正で説明がつくとみています。というのも、実績1株あたり利益の相対水準をみると、バリュー株はグロース株に対して大きく劣勢な状況には至っていません。

新興国のバリュー株の足元の利益水準は他と比べてそれほど遜色がない一方で、バリュエーション水準の魅力は相対的にいっそう高まっています。過去10年間の予想PER水準の推移をみると、グロース株は足元で過去10年間の平均を大きく上回る水準に達しています。一方、バリュー株については、過去10年間の平均近辺に留まっており、バリュエーション格差が広がっています。

今後、世界経済の回復に投資家の確信度が増していく過程で、新興国のバリュー株に再び注目が集まるものと期待しています。

(注)当レポートの本文中における新興国のバリュー株はMSCI新興国バリュー株指数、新興国のグロース株はMSCI新興国グロース株指数におけるデータをもとにしています。



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