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- 米ドル相場から読み解く新興国株式の今後
新興国株式の重石となっていた米ドル高基調は足元で、変化の兆しがみられています。一段の米ドル高懸念の後退・ドル安方向への転換は新興国株式全体にとって概ねプラス材料となると期待されます。引き続き新型コロナウイルスの感染拡大による経済へのマイナスの影響懸念はあるものの、新興国株式は、世界の株式市場の上昇を大きくけん引している先進国IT株式などと比べて、相対的なバリュエーション水準に魅力があり、株価の下支えとなると期待されます。
過去の米ドル安局面では、相対的に新興国株式が優勢に
過去の実績では、米ドル高の進行は、新興国株式市場にとって逆風となり、新興国株式の対先進国株式相対株価パフォーマンスは、米ドルと逆相関の関係がみられてきました。近年、新興国株式が先進国株式に対して劣後してきた背景の一つには、米ドル高の進行がありました。
しかし足元では、米ドル相場の方向性に変化の兆しもみられはじめ、一段の米ドル高懸念が後退しつつあり、米ドル安方向に進む可能性がでてきています。このことは、新興国株式にとって追い風となるでしょう。過去を振り返っても、米ドル安局面では、相対的に新興国株式は優勢となりました。
※米ドル相場と新興国株式の関係については、巻末の「まとめ」を合わせてご参照ください。
米ドル安方向への転換とみる要因① 米国の金融緩和継続
2020年6月の米FOMC(連邦公開市場委員会)で、新型コロナウイルスによる景気悪化に対応するために導入した、ゼロ金利政策などの大規模な金融緩和策を維持することを決定すると同時に、ゼロ金利政策を2022年まで継続する見通しを示しました。その後も、金融緩和の継続を裏付ける連銀関係者の発言が相次いでいます。
米国の金融政策は現在の緩和トレンドが継続する可能性が高く、このことは米ドル安要因となると考えられます。
米ドル安方向への転換とみる要因② 米国の経常収支・財政収支の悪化
米国の経済ファンダメンタルズ(基礎的条件)の動向も米ドル相場に影響を与えると考えられます。
米国の経常収支と財政収支を合わせた対GDP比の変化の状況をみると、悪化傾向にあることが示されています。
さらに、2020年以降は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、経済の下支えのため新型コロナウイルス関連法に基づいて拡張的な財政政策がとられているほか、経済見通しも不透明な状況であり、今後も当面は財政悪化が懸念されます。加えて、経常収支についても、9月に発表された2020年第2四半期の経常収支は、新型コロナウイルスの世界的な大流行を受けてモノ・サービスの輸出が大きく減少したことなどが響き、世界金融危機のさなかの2008年第3四半期以来のおよそ12年ぶりとなる大幅な赤字となりました。
米国の経済ファンダメンタルズの悪化もまた、米ドル安方向への転換となる可能性を示唆していると考えます。
米ドル安は資源価格にもプラス
原油などの資源などを含む代表的な国際商品価格の指標であるCRB指数と、米ドル相場の動きをみると、米ドル高局面でCRB指数は低調となった一方、米ドル安局面でCRB指数は上昇する傾向がみられました。こうした背景のひとつには、主な資源や商品は米ドル建てで取引されるため、他通貨からみた割安感・割高感が影響する場合があることがあります。
近年、米ドル高基調が続いたことは、資源価格についてマイナス材料となっていましたが、足元で米ドル安方向への転換の兆しもみられ、また、中国などで経済活動が回復していることなどから、需要の面でも少しずつ回復していることも、資源価格の下支えとなると期待されます。この点は新興国の中でも資源国にとって追い風となると考えられます。
依然リスクも残るが、相対的なバリュエーション水準の魅力も新興国株式の下支えに
新型コロナウイルスの感染拡大が欧米などで再び加速しており、欧州などでは再びロックダウン(都市封鎖)などの可能性も示されており、世界経済の回復期待が腰折れになる可能性も残されています。
また、各国の政治情勢や景気支援策などを巡る動きなどによって株価が大きく変動する可能性もあります。
こうしたリスクはありますが、前述の通り、米ドル高懸念の後退・米ドル安方向への転換の可能性は新興国株式にとってプラス材料となると考えられます。
さらに足元で新興国株式と世界の株式市場の上昇をけん引している先進国IT株式のバリュエーション(投資価値評価)格差はさらに広がっています。新興国株式についてはバリュエーション面での相対的な魅力があることは、株価の下支えとなると期待されます。
世界的に低金利が続く中、配当利回りが魅力の当ファンド
当ファンドは新興国株式の中でも、配当利回りに魅力があり、かつ、健全な財務基盤・収益構造を有する企業を選別して投資を行っています。世界的に低金利の状況が続く中で、当ファンドの2020年8月末時点の組入銘柄の平均予想配当利回りは4.4%と相対的な魅力があると考えられます(当ファンドの主たる投資対象であるPGSF-新興国ハイインカム株式ファンドの状況)。
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