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今、改めて新興国株式の投資魅力を考える➁
2020/09/17

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概要

新興国の経済規模は既に世界経済の半分以上を占めるまでに成長しています。また、世界(先進国)の名だたる企業と肩を並べる、あるいはそれを凌ぐ時価総額を誇る新興国企業も登場し、高い経済成長を背景に新興国の存在感は増しています。値動きが大きいといったリスクがあることも事実ですが、資産設計を考える上では、上手に新興国株式と付き合っていくことが、未来を考えたときに重要だと考えます。



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「新興国」はもはや見過ごせない存在

世界最大の経済大国というと、まずは米国が思い浮かぶのではないでしょうか。確かに、単純に現在の米ドルレートで算出した経済規模では米国が世界最大の経済大国です。
一方、「購買力平価」(ある国の通貨建ての資金の購買力が、他の国でも等しい水準となるように、為替レートが決定されるという考え方で、より経済活動や生活水準の実際に近いとされる)ベースで経済規模を算出すると、世界最大の経済大国は中国になります。
この購買力平価ベースで、世界経済を新興国、先進国の別に見たとき(IMF区分による)、新興国経済は既に世界の半分以上を占める規模にまで拡大しています。

新興国には豊富な人口(労働・消費の担い手)が存在し、また国によっては各国の特性を生かして、技術力を高めることなどにより、高い付加価値を生み出せる経済構造となっている国、また、さらなる成長に向けて成長の阻害要因を取り除くための構造改革等を進める国も多くあり、今後も中長期的に先進国を上回る成長が期待できるとみられます。世界経済に占める新興国の比率は、さらに拡大する可能性も高いと考えられます。

※2020年9月1日発行 ピクテ・ファンド・ウォッチ 新興イン「今、改めて新興国株式の投資魅力を考える①」も合わせてご覧ください。

一方、世界の株式市場における「新興国」はどのような位置づけにあるでしょうか。

代表的な世界全体の株価指数であるMSCI全世界株価指数の構成比率(MSCIによる区分)をみると、2020年8月末時点で、先進国が約88%(うち、米国が約59%)に対して新興国は約12%に留まります。

新興国の「経済規模」という観点からみると、株式市場において、新興国は依然として過小評価されていると考えられます。今後、株式市場において、新興国の過小評価が解消される過程で株価の上昇が期待されます。

既に世界規模の企業も存在

また、個別企業の時価総額という観点からは、新興国企業の中には既に先進国のライバル企業に肩を並べる、あるいは、それを凌ぐ大きさの企業も存在しています。

世界の時価総額ランキング上位50企業(2020年8月末時点)をみると、新興国企業では、サウジアラビアの国有石油会社であるサウジ・アラビアン・オイル(サウジアラムコ)が第2位となっています。また、中国では、これまでも上位にランクインしていた銀行セクターだけでなく、アリババ・グループ・ホールディングスをはじめとしたネット関連企業や高級酒の貴州茅台酒など消費関連企業などの台頭も著しく、上位50位に複数企業がランクインしています。また、台湾の台湾セミコンダクターや韓国のサムスン電子は高い技術力などを背景に、世界の様々なテクノロジー機器を支える欠かせない存在となっています。

もちろん、依然として新興国の中には事業規模が小さく、発展途上の企業が多くありますが、こうした中には、自国経済の成長による市場拡大の恩恵を受けることが期待できる企業も存在しています。また、コスト競争力や独自技術などを武器に世界進出することによって、一段の成長を遂げる企業が誕生する可能性もあるでしょう。

現時点での世界の時価総額上位は米国のハイテク関連企業が多くみられます。日本企業では上位50社にランクインしたのはトヨタ自動車のみとなりました。10年後、20年後にはさらに多くの新興国企業が台頭し、上位企業ががらっと変わっている可能性もあるのではないでしょうか。

「新興国株式」とどう付き合うか

これまで述べてきた通り、新興国には今後も中長期的に先進国を上回る経済成長力があると考えられます。また、新興国の購買力平価ベースの経済規模では、既に先進国を上回っています。さらに、個別企業でみても、世界(先進国)の名だたる企業と肩を並べる、あるはそれを凌ぐ時価総額を誇る新興国企業も登場しています。

世界経済や株式市場を語る上で、新興国経済、あるいは新興国企業の存在を無視できないほどの存在感を増している一方、現時点の世界の株式市場においては、新興国株式は世界の株式市場において、今の実力そして潜在的な成長余力が十分に評価されていないと考えられます。

もちろん、新興国は先進国に比べると、政治・社会体制や金融市場・経済情勢など未成熟なところもあることから、一般に政治・経済・社会情勢の変動が先進国と比較して大きくなる場合があります。政治不安、経済不況、社会不安が新興国の株式市場や為替相場に大きな影響を与え値動きが大きくなる傾向があることも事実です。

こうしたリスクはありながらも、10年以上先の未来を考えたときに、「成長」の可能性が大きく、また、現時点でその成長力が十分に株式市場で評価されていないとしたら、新興国株式への投資を考えるよい機会かもしれません。

資産設計を考える中で、新興国株式に投資をする場合には「スパイス」的な投資と位置づけられるでしょう。資産全体のバランスを考え、長期的(例えば、15年以上)な投資が可能な一部の余剰資金を投資するというイメージです。


個別の銘柄・企業については、あくまでも参考であり、その銘柄・企業の売買を推奨するものではありません。


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