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新興国企業の配当持続性に期待
2020/05/22

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概要

世界経済や企業業績の先行き不透明感が高まる中で、企業の配当の支払い一時停止や中止などの懸念が高まっています。こうした中、現時点では、アジアを中心に新興国企業は配当の持続性が期待できる環境にあるとみています。「配当」収入は、株式投資におけるリターンを考える上で重要な要素であり、注目されます。



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困難な局面でも、新興国企業の配当持続性に期待

欧州のメディアでは、企業の配当について、支払いの一時停止や中止を懸念する報道が相次いでいます。確かに、過去の危機時において、公的な支援を受けた経験のある特定のセクター(特に、銀行セクターなど)は、こうした懸念が当てはまる可能性があるでしょう。ただし、例えば、中国の国有銀行の少数株主は、西側諸国の銀行の株主よりも、相対的に底堅い配当金の受け取りが可能であると考えられます。

リーマン・ショック後の世界的な金融危機時に、新興国の銀行セクターで政府の救済が必要になったケースはほぼありませんでした。加えて、新興国の銀行の多くが、元々国営企業で国との深いつながりがあり、政府がこれらの企業の株式を保有し、大株主である場合もあります。新興国の政府は、今回の新型コロナウイルスの感染拡大によって景気が低迷する中で、経済を下支えするための財政出動などの財源としても、こうした企業からの配当収入が必要になるでしょう。

しかし、新興国企業全体でみると、減配や配当停止のリスクが完全にゼロというわけにはいかないとみられます。例えば、ハンガリーではすべての企業の配当が禁止されました。また、トルコでは、配当性向25%までという制限が設けられ、メキシコでは、銀行セクターの配当支払い一時停止が強く求められています。

こうした状況ではあるものの、当ファンドが投資を行っている多くの企業においては、今回の危機の中でも、持続的な配当支払いが期待できるとみています。地域的には、中・東欧企業については、減配や配当停止といったリスクがあるものの、中国や台湾などのアジア新興国については、持続的な配当支払いが十分期待できるとみています。

相対的に配当余力があることにも注目

近年、新興国の企業部門の債務は増加傾向にあることや、経済や金融システム等の違いがあることは十分考慮すべきであると考えられるものの、現時点の純負債/総資本比率をみると、新興国企業は先進国企業に比べると相対的に低い水準にあります。


また、配当性向では、新興国企業が先進国企業に比べて低い水準にあります。 こうした点は、新興国企業が相対的に配当余力が残されており、困難な局面でも配当支払いが持続される可能性を示唆するものと注目しています。


株式投資の「セーフティ・ネット」としての「配当」

株式投資のリターンの源泉は大きく①株式の値上がり益、②配当収入に分けることができます。このうち、①株式の値上がり益については、株価の変動によって大きく左右されることになります。とかく、新興国株式への投資では、投資対象となる新興国は一般に先進国に比べると、政治・経済、社会情勢等が不安定である場合が多く、こうした不安定要因を背景に株式・為替など金融市場の値動きが相対的に大きくなるリスクがあると考えられています。こうした中で、①株式の値上がり益については、投資タイミングや投資期間によって大きく異なる可能性があります。

一方、②配当収入については、企業業績の悪化で減配の可能性はあるものの、株価の変動に比べると比較的安定して獲得できると考えられます。このため、株式投資をトータル・リターンで考えたとき、②配当収入はいわば「セーフティ・ネット(安全網)」のような役割を果たすことが期待されます。

2000年以降、足元(2020年4月末)までの約20年間の主要株式に投資を行った場合のトータル・リターンを①値上がり益と②配当収入(配当収入に再投資効果含めたもの)に分けてみると、いずれの場合も②配当収入が投資リターンを下支えしていることがわかります。

新興国株式の場合でも、相対的に高い成長期待などから、株式の値上がり期待に注目が集まりがちですが、実はトータル・リターンの約4割が配当収入から生み出されていました。

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて世界経済や企業業績の先行きに不透明感がある中で、企業の配当支払いの持続性に対する懸念も高まっていますが、新興国企業については特にアジア新興国企業を中心に、先進国企業に比べると、現時点では相対的に配当の支払いが持続される可能性が高いと期待されます。
さらに、当ファンドでは、魅力的な配当利回り水準にあり、かつ、財務・収益基盤の健全な新興国企業を選別して投資を行っています。銘柄選別の過程では、配当支払いが持続的に可能かという点は重点的な調査・分析項目としています。



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