- Article Title
- 新興国株式の重石となっていた資源価格に回復の兆し
2020年前半の新興国株式は下落し、先進国株式に対しても劣後する結果となりました。しかし、新興国株式は足元で下げ幅を縮小しています。この背景の一つには、中国をはじめ世界的な経済活動の再開などを背景に商品価格の底打ち・反発の兆しがみられることがあると考えられます。
2020年前半の新興国株式は下落、しかし足元で下げ幅を縮小
2020年前半(1~6月)の新興国株式は、円換算ベースで-10.3%の下落となりました。また、先進国株式(同-6.2%)に対しても劣後する結果となりました。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、世界経済や企業業績に対する懸念の高まりから、3月後半にかけて世界的な大幅株安となる中で、新興国株式市場も大きく下落したことが響きました。
しかし、足元では市場の動きに変化もみられています。年初から2020年7月7日までをみると、新興国株式は‐4.9%(円換算ベース、配当込み)と年初来からの下げ幅を縮小しています。
注:上記の新興国株式、先進国株式のパフォーマンスについて、新興国株式のパフォーマンスはMSCI新興国株価指数(配当込み)、先進国株式のパフォーマンスはMSCI世界株価指数(配当込み)を円換算して算出。
新興国株式・通貨の下落の背景の1つは、商品価格の下落
2020年年初来で新興国株式・通貨が下落した背景の一つには世界的な景気減速により需要減少が懸念された原油やその他の資源価格が大きく下落したことがあると考えられます。資源国の株式・通貨は全ての国ではないにしても、相対的に下落幅が大きくなりました。
過去の実績では、新興国株式と商品価格(≒資源価格)には連動性がみられてきました。新興国株式の代表的な株価指標であるMSCI新興国株価指数の構成国をみると、約10年前(2000年6月末)にはブラジルやロシア、南アフリカなどの資源国が全体の4割強を占めていましたが、近年は中国の構成比の拡大などの影響もあり、足元の資源国の構成比率は2割強と小さくなっています。
しかし、資源国の構成比率が小さくなっても、その他の国、例えば中国などの工業国は経済活動を行う上でこうした資源を大量に消費していることもあり、依然として新興国株式全体と商品価格にはある程度の連動性がみられます。
こうしたことから、商品価格の動向は新興国株式を見る上で重要な指標の一つと考えられます。
商品価格は底打ち、反転の兆し
年初来で下落している商品価格ですが、足元で底打ち・反転の兆しも見え始めています。この背景の一つには、新型コロナウイルスの感染が最初に拡大した中国が他国に先駆けて経済活動を再開し、資源需要が回復し始めていることなどがあると考えられます。
新型コロナウイルスの感染拡大が再び加速し、経済活動の再度停滞・停止の可能性も残されており、先行きについては十分注視していく必要があると考えられますが、現時点では概して欧米をはじめ世界的に経済活動の再開の動きがみられていることから、世界的な景気回復期待などもあり、商品価格の追い風となっているとみられます。
商品価格の回復の兆しを受けて、主要資源国の株式・通貨も反発しています。こうした動きは、新興国株式が足元で年初来からの下落幅を縮小していることの背景の一つと考えられます。
資源国株式のバリュエーション水準は魅力的な水準
また、資源国株式については新興国の中でも割安感が強いと考えられます。資源国株式市場の平均株価純資産倍率(PBR)をみると、過去平均(期間:1995年12月末~2020年6月末)から見て割安水準にあります。こうした割安感は今後も株価の下支え要因になると期待されます。
新興国株式全体のバリュエーション水準も依然として魅力的な水準
新興国株式全体の株価純資産倍率(PBR)も、足元の株式市場の反発を受けて上昇が見られますが、依然として過去平均(期間:1995年12月末~2020年6月末)近辺にあり魅力的な水準であるとみられます。
過去の実績では、低PBRを付けた後その後5年間の投資リターンは相対的に好リターンが得られました。
足元では依然として新型コロナウイルスの感染拡大状況が懸念されることに加えて、米中対立や地政学リスクなどの可能性も残されて懸念材料は尽きませんが、過去の実績を考慮すると、中長期的に見れば株価パフォーマンスの回復も期待できると考えます。
当資料をご利用にあたっての注意事項等
●当資料はピクテ・ジャパン株式会社が作成した販売用資料であり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。取得の申込みにあたっては、販売会社よりお渡しする最新の投資信託説明書(交付目論見書)等の内容を必ずご確認の上、ご自身でご判断ください。
●投資信託は、値動きのある有価証券等(外貨建資産に投資する場合は、為替変動リスクもあります)に投資いたしますので、基準価額は変動します。したがって、投資者の皆さまの投資元本が保証されているものではなく、基準価額の下落により、損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。
●当資料に記載された過去の実績は、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。
●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。
MSCI指数は、MSCIが開発した指数です。同指数に対する著作権、知的所有権その他一切の権利はMSCIに帰属します。またMSCIは、同指数の内容を変更する権利および公表を停止する権利を有しています。
お申込みにあたっては、交付目論見書等を必ずご確認の上、ご自身でご判断ください。
投資リスク、手続き・手数料等については以下の各ファンド詳細ページの投資信託説明書(交付目論見書)をご確認ください。
ピクテ新興国インカム株式ファンド(1年決算型)
関連記事
日付 | タイトル | タグ |
---|---|---|
日付
2023/09/27
|
タイトル 新興イン | 株式投資の次の一手は? ~割安な新興国高配当株式に注目 | タグ |
日付
2023/05/30
|
タイトル 新興イン | 新興国と先進国の経済成長率格差拡大は、 新興国株式に追い風か? | タグ |
日付
2022/12/22
|
タイトル 歴史的にも相対的にも割安な新興国高配当株式(2022年11月末アップデート) | タグ |
日付
2022/08/30
|
タイトル 新興イン | 相対的に割安な新興国高配当株式~PER水準別・投資期間別の株価騰落率に注目 | タグ |
日付
2021/12/07
|
タイトル 新興国金融市場の自由化 | タグ |
日付
2021/11/26
|
タイトル 物価上昇局面では新興国高配当株式に投資すべきか? | タグ |
日付
2021/10/29
|
タイトル 商品価格の上昇は新興国株式市場に追い風か? | タグ |
日付
2021/10/13
|
タイトル 中国の不動産リスクの新興国株式への影響は? | タグ |
日付
2021/08/04
|
タイトル 景気拡大かつ物価上昇局面での新興国株式市場 | タグ |
日付
2020/09/30
|
タイトル 米ドル相場から読み解く新興国株式の今後 | タグ |
日付
2020/09/17
|
タイトル 今、改めて新興国株式の投資魅力を考える➁ | タグ |
日付
2020/09/09
|
タイトル 新興国株式で今、起きていること 2020年9月 | タグ |
日付
2020/09/01
|
タイトル 今、改めて新興国株式の投資魅力を考える① | タグ |
日付
2020/06/08
|
タイトル 引き続き全体としては慎重な見方を継続 | タグ |
日付
2020/06/03
|
タイトル 景気回復への確信が高まる局面での「バリュー株」復活に期待 | タグ |
日付
2020/05/27
|
タイトル 2020年年初来の新興国株式市場と当ファンドのパフォーマンス | タグ |
日付
2020/05/22
|
タイトル 新興国企業の配当持続性に期待 | タグ |