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- 日本国内でも高まるインフレの可能性
1月21日に発表された2021年12月の消費者物価統計では、生鮮食品を除くコア指数の上昇率が前年同月比0.4%に止まり、日銀の物価目標には届いていない。ただし、4月以降は大きな変化が想定される。通信料金引き下げの影響が解消されるからだ。結果として日本の実質金利が低下、円安が進むことにより、2022年はさらに物価上昇圧力の強まる可能性がある。
通信価格:4月以降は実質的な物価の押し上げ要因
12月の消費者物価統計を詳しく見ると、コア指数に対する寄与度はエネルギーが+1.2ポイント、通信は▲1.6ポイントだ(図表1)。通信は、菅義偉前首相が第2次安倍政権の官房長官時代から引き下げの必要性を強く主張、2021年3月より大手3社はデータ容量20GBの新たな料金プランを導入した。サービスの開始日は、ソフトバンクのLINEMOが3月17日、auのpovoが同23日、ドコモのahamoは同26日である。
消費者物価統計における通信価格は、昨年2月は前年同月比1.1%上昇したが、新プランが始まった3月は同0.7%の小幅下落となり、4月には同24.6%低下と大きく落ち込んだ。昨年12月の下落率は34.3%に達している。
今年4月以降、この新料金プランによる影響が解消され、2022年度については、通信価格の消費者物価全体への寄与度は概ねゼロになる見込みだ。つまり、通信部門は実質的に消費者物価を大きく押し上げる要因となるだろう。
2022年:日本国内でもインフレを意識する年へ
日銀は、1月18日に発表した『経済・物価情勢の展望』のなかで、今後、「エネルギー価格上昇による押し上げ寄与は減衰」するとした上で、2022、23年度に関してコア消費者物価は「1%程度の上昇率が続く」と説明した。
しかしながら、エネルギー価格のベンチマークである原油市況は、足下、むしろじり高歩調をたどり、2014年10月以来の高値圏で推移している。地球温暖化対策を受けた投資の削減、中東やウクライナにおける緊張の高まりなどから、化石燃料価格の上昇基調は継続する可能性が否定できない。
消費者物価統計におけるエネルギーのコア消費者物価への寄与度は、概ね原油市況と連動してきた(図表2)。今後、価格の上昇率は縮小しても、原油、石炭、天然ガス市況のじり高傾向が続けば、燃料コストの上昇により、エネルギーの物価全体への寄与度はプラス圏を維持するだろう。
その場合、エネルギー価格はコア消費者物価指数を引き続き押し上げることになる。他方、エネルギーや通信を除く広範な分野において、国内でも値上げの動きが顕在化してきた。国際的なインフレ圧力が企業物価に波及し、12月の上昇率は前年同月比8.5%に達したことから、企業のコスト削減努力では吸収し切れない状況と推測される。つまり、通信・エネルギー以外の分野のコア消費者物価に対する寄与度は、今後、プラスの幅を拡大する可能性が強い。
結果として、4月以降、コア消費者物価上昇率が日銀の安定的目標である2%を超える事態は十分に起こり得る。日本の物価上昇とFRBの利上げで日米の実質金利差が縮小すると、円安によりさらに日本国内のインフレ圧力が強まるだろう。物価を取り巻く環境は大きく変化し、2022年は日本でもインフレを意識する年になるのではないか。
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