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- ECB、ユーロ圏景気下方シフトをにじませる
今日のヘッドライン19年1月23日号で想定した通り、今回の政策理事会でフォワードガイダンスの変更等は発表されませんでした。しかし景気のリスク判断は引き下げました。足元のユーロ圏経済指標もECBの景気判断を支持する内容で、3月の理事会では(正式に)経済予想値の下方修正や、場合によっては新たな政策方針が示される可能性もゼロではないと思われます。
ECB政策理事会:市場予想通り政策金利等を据え置くも、経済見通しは下向き
欧州中央銀行(ECB)は2019年1月24日、政策理事会の結果を公表し、市場予想通り主要政策金利を据え置くと共に、政策金利を少なくとも夏にかけて現在の水準にとどめるフォワードガイダンス(将来の金融政策方針を示唆)を維持しました。
一方でECBのドラギ総裁はユーロ圏の経済成長のリスクを中立から下方にシフトさせたことなどから、ECBのトーンはハト派(金融緩和を選好)的と見られます。
どこに注目すべきか:ユーロ圏PMI、自動車生産、貸し出し、TLTRO
今日のヘッドライン19年1月23日号で想定した通り、今回の政策理事会でフォワードガイダンスの変更等は発表されませんでした。しかし景気のリスク判断は引き下げました。足元のユーロ圏経済指標もECBの景気判断を支持する内容で、3月の理事会では(正式に)経済予想値の下方修正や、場合によっては新たな政策方針が示される可能性もゼロではないと思われます。
ECBの景気判断引き下げを裏付けるように1月のユーロ圏の製造業購買担当者景気指数(PMI)等が公表され、全般に前月から低下しました(図表1参照)。例えば、ドイツの製造業PMIは1月が49.9と、景気拡大・縮小の分かれ目である50を下回りました。ドイツの主力産業である自動車は排ガス規制等の影響で昨年9月頃に生産が低下しました。この影響は一時的と見られていましたが、足元の自動車生産も回復が見られません。恐らく、中国向け輸出の不振などが背景と考えられます。ドイツ製造業の先行指標と見られる新規受注は45.3と、18年12月の47.7から低下しています。
フランスの製造業は前月を上回りましたが、サービス業は1月が47.5と50を大幅に下回りました。「黄色いベスト」運動とその背後にあるフランスの社会保障、財政問題がサービス業に悪影響を与えたものと見られます。
ECBの19年のユーロ圏成長率予測は年率1.7%ですが、今回のPMIの水準であれば3月の次回のECB経済予想では成長率予想値の引き下げが見込まれます。
ユーロ圏経済の回復に伴い改善を示していた貸出ですが、やや気になる点が、足元の数字に見られます。銀行の貸出姿勢が18年7-9月期の-6から、10-12月期は-1と貸出意欲が若干低下しています。ただ、国ごとに見ると、ドイツやフランスでは変化無く、イタリアと小幅ながらスペインで貸出に慎重となるなど、リスク回避姿勢が見られます。
これらの経済指標からユーロ圏の金融政策を考えると、ユーロ圏総合PMIは減速傾向ではあっても水準は50を上回っており、フォワードガイダンスの変更を、慎重ながら着実に進めると見られます。英国の欧州連合(EU)離脱や米中貿易戦争の動向を判断しながらの展開と見るからです。
貸出データからイタリアのように不良債権問題等で貸出に消極的な国もあります。3月のECB理事会では的を絞った資金供給オペ(TLTRO)導入が前進すると見られます。
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