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- 景気動向への懸念を深めた最近の主な指標
先週後半、欧米の国債利回りが大幅に低下しました。主な背景は経済指標の悪化を受けた景気後退懸念の台頭と見られますが、その背景として景気動向に先行する傾向がある景況指数の低下の発表が重なったことなどが挙げられます。雇用など堅調を維持するデータもあることから景気後退を懸念する段階と見られそうですが、景気への一層の注視が求められそうです。
欧米の7月総合PMI指数:景気拡大・縮小の分かれ目と見られる50を共に下回る
米S&Pグローバルが2022年7月22日に発表した7月のユーロ圏の総合購買担当者景気指数(PMI)は49.4と市場予想の51.0、前月の52.0を下回りました(図表1参照)。
同日に発表された7月の米国総合PMIは47.5と、市場予想の52.4、前月の52.3を下回りました(図表1参照)。米国では製造業PMIは52.3と前月の52.7から小幅の低下に留まった一方で、サービス業PMIは47.0と前月の52.7を大幅に下回り、7月の米総合PMIが景気の拡大・縮小の分かれ目となる50を下回る主な要因となりました。
どこに注目すべきか:PMI、景気拡大・縮小、ISM、Ifo、景気後退
先週(7月18日~22日)の経済指標を振り返ると、欧米で景気後退懸念が強まる指標が公表されました。特に米国、ユーロ圏共に7月のPMIは総合指数が50を下回ったことが象徴的でした。
ユーロ圏PMIの内訳を見ると製造業PMIが7月は49.6と50を下回っています。声明文でもユーロ圏の製造業は新規受注や、受注残の減少など先行きの不透明感が示唆されています。なお、細かな話ですが、総合PMIの算出に使用される生産指数が7月は46.1と前月の49.3を下回ったことがユーロ圏の7月の総合PMIを押し下げたと見ています。
ユーロ圏のサービス業PMIIは7月が50.6と前月から低下しており、製造業と共に悪化している面も見られます。
次に、米国の 総合PMI指数は47.5と前月から大幅に低下し、20年5月以来の低水準となりました。米国の総合PMIを押し下げた主な要因はサービス業PMIでした。声明文では、新型コロナウイルスの感染落ち着きを背景に、これまで消費に回復が見られたが、政策金利引き上げや、インフレ、景気先行きの不透明感から消費動向に慎重さが見られると指摘しています。米国景気を足元まで支えてきた消費に、変化の兆しが現れ始めたのかもしれません。
なお、先週はPMI以外にも欧米で気になる指標が公表されました。例えば、フィラデルフィア連銀製造業景況指数は7月がマイナス12.3と大幅に下落しました(図表2参照)。この指数は市場で注目度が高い米ISM製造業景況指数と連動する傾向があるだけに今後の動向に注意が必要です。なお、7月の米ISM製造業景況指数は8月月初に公表予定です。7月の米製造業PMIは52.3と底堅い数字でしたが、他の指標と比べて内容などを確認する必要があると見ています。
ユーロ圏の景況感指数は先週の発表は主にPMIでしたが、今週(7月25日)は7月の独Ifo企業景況感指数が公表予定です(図表3参照)。執筆時点では公表されていませんが、市場では期待指数が83程度と、6月の85.8から悪化することを見込んでいます。今回のIfoの数字は発表を待つだけですが、傾向として過去の景気後退局面に近づいているだけに市場は景気動向への注視を今後も続けると見られます。
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