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- 年初来のパフォーマンスと注目ポイント~大規模森林火災や大型台風の発生などを受けて環境問題への注目が高まる
新型コロナウイルスの感染拡大と世界経済の先行きに対する懸念を背景に世界の株式市場は大きく変動しています。当ファンドも同様に基準価額の変動が大きくなっていますが、年初来の騰落率は世界株式に比べ小幅な下落にとどまっています。
環境関連企業に投資する当ファンドの投資テーマは超長期的な視点に基づいたものであり、今回のコロナウイルス感染拡大を受けてより環境負荷の少ないビデオ会議や在宅勤務を増やす動きなどにより加速することもあり、引き続き魅力的な投資テーマとして注目を集めるものと考えます。
株式市場とともにiTrustエコイノベーションの基準価額も大きく変動
新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)を受けて、世界経済、企業業績の先行きに対する不透明感が高い状況が続く中、世界の株式市場は大きく変動しています。
このような中、当ファンドが投資対象とする世界の環境関連企業の株式も同様な動きとなっています(図表1参照)。
2020年5月15 日時点の基準価額(マザーファンド)は年初来で11%の下落となった一方、世界株式(円換算)は同16%下落しており、iTrustエコイノベーションの下落率は相対的に小幅となりました。
なお、「iTrustエコイノベーション」の基準価額の騰落率は同-12%でした。
図表1:年初来の基準価額(マザーファンド)と世界株式(円換算)の推移
日次、期間:2019年12月30日~2020年5月15日
※マザーファンドの基準価額算出と合わせるため世界株式は1営業日前を使用
※世界株式:MSCI世界株価指数、円換算
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
防衛的なポートフォリオ:ディフェンシブ性の高い公益セクターの比率を引き上げ
市場の変動が大きく、世界経済および企業業績の先行きが不透明な中、当ファンドではこれまでに比べ防衛的な運用を行っています。
業種別構成比(マザーファンド・ベース)をみると、ディフェンシブ性(業績が景気変動の影響を受けにくい特性)の高い再生可能エネルギー関連への投資を増やしたことで2020年4月末時点の公益事業の比率は26.2%(2019年末時点:14.3%)まで高まっています。また不動産については世界各国で外出が減る中、データセンターへの需要の高まりを背景にデータセンター事業者などの組入比率を引き上げています。ソフトウェアについては業務効率化に必要なことに加え、期間契約で収益が相対的に安定している特性があることから組入比率を引き上げました。
一方、自動車・自動車部品については2019年末の10.5%から2020年4月末には1.9%と大幅に投資比率を引き下げています。新型コロナウイルスの感染拡大の影響を自動車セクターが大きく受ける可能性に加え、組入上位で保有していた電気自動車(EV)メーカー大手のテスラ(米国)について、市場予想を上回る決算などを背景に同社の株価が2019年9月末の240.87ドルから2020年2月末には2.8倍の667.99ドルまで上昇したことを受けて2020年2月に保有の一部を売却し利益確定したことなどが自動車・自動車部品の比率の構成比が低下した背景です。その他、景気変動の影響を受けやすい半導体・半導体製造装置についても組入比率を引き下げていますが、依然として比率自体は高位を保っています。
今後の投資環境
当ファンドの投資テーマであるエネルギー業界における再生可能エネルギーへの発電源のシフト、自動車の電気自動車(EV)化、製造の現場におけるソフトウェアを用いた効率化の推進、生活スタイルの変化に伴うデータセンターや半導体に対する需要の増大といった動きは長期的な視点に基づいたものですが、移動を減らして、より環境負荷の少ないビデオ会議や在宅勤務を増やすなど、今回のコロナウイルス感染拡大により加速することもあります。そのため引き続き魅力的な投資テーマとして注目を集めるものと考えます。
ただし短期的には、新型コロナウイルスの動向については予想が難しく、実体経済への影響も不透明な状況にあり、引き続き株価が大きく変動するリスクには注意が必要と考えます。
環境問題に対する危機感の高まりと政府や企業の取り組み
2019年は気候変動をはじめとする環境問題に対して世界的に認識が高まった年となりました。
2019年9月から2020年初めにかけてオーストラリアでは焼失面積が1000万ヘクタール(北海道を超える広さ)を超える大規模な森林火災が発生、多くの野生動物に被害が発生しました。同時期に米国やブラジル、インドネシアなどでも大規模火災が発生しました。
日本では大型台風が襲来し、関東地方や東北地方を中心に強風や洪水などによる大きな被害が発生しました。
また2019年は「ミレニアム世代」や「Z世代」と呼ばれる若い世代による環境問題への取り組みも世界で大きな注目を集める結果となりました。
このような中、各国政府も環境問題への取り組みを積極化しようとしています。2019年12月に欧州委員会が、2050年の温室効果ガスの排出量実質ゼロを目標とする「欧州グリーン・ディール」を発表したことが話題となりました。
企業側でもアップル(米国)やグーグル(米国)、マイクロソフト(米国)、ネスレ(スイス)など世界を代表する企業も加盟するCO2削減の取り組みである「RE100」の動きが注目されています。
電力需要が増加する中、2050年までに何が起こる?
欧州が打ち出している2050年の温室効果ガスの排出量実質ゼロの達成は非常に挑戦的な目標です。
世界のエネルギー需要は中国やインドなどの新興国における増加を背景に大幅に増加すると見込まれています。特に電力の需要はエネルギー需要全体を上回って増加すると予測されています。
増加する電力需要を満たしながら、2050年に温室効果ガスの排出量実質ゼロを達成するためには、「エネルギーの電力化」、「クリーンな電源による発電の増加」、「エネルギー効率化の推進」といった3点が進むと考えます(図表2参照)。
図表2:2050年までにおこるエネルギーを巡る変化
「エネルギーの電力化」については、自動車などの移動手段や暖房、産業用のエネルギー源として使用されている原油や石炭などの化石燃料の大部分が電力に置き換えられるものと予想されています。「クリーンな電源による発電の増加」については風力および太陽光などを中心に再生可能エネルギーを電源とした発電が電力需要の増加の多くをカバーするとみられます。そしてエネルギーのロスを少なくするようなテクノロジーの進化に伴い「エネルギー効率化の推進」が図られるものと考えます。
これらの3点が進むにはテクノロジーの進化が欠かせず、共通の基盤技術として半導体や蓄電池、ネットワークなどの分野が重要になります。また、「エネルギーの電力化」や「エネルギー効率化の推進」では自動車やトラック、列車などの電化や燃費の効率化、オフィスビルや商業施設などのグリーンビルディング化、AI(人工知能)やセンサー/カメラなどを駆使したより高度な製造の自動化が、「クリーンな電源による発電の増加」については風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギー関連設備の建設がすすめられることになります。
※グリーンビルディング:エネルギーや水、照明、空調設備などが効率的で環境性能の高い建物
iTrustエコイノベーションの投資テーマは、上に挙げたように超長期的な社会の変化に注目して設定されたものです。新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済への影響が長引き、当ファンドの投資対象企業も影響を受ける可能性がありますが、当ファンドの投資テーマの中長期的な魅力は継続するものと考えます。
ご参考:基準価額の推移(iTrustエコイノベーション)
日次、期間:2017年9月15日~2020年5月15日
※基準価額は信託報酬等控除後です。基準価額(分配金再投資後)は、購入時手数料等を考慮せず、税引前分配金を再投資した場合の評価額を表します。
ご参考:基準価額(マザーファンド)と世界株式(円換算)の推移
日次、期間:2015年4月30日~2020年5月15日
※マザーファンドの基準価額算出と合わせるため世界株式は1営業日前を使用
※世界株式:MSCI世界株価指数、円換算
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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