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- 木材価格が大きく上昇、今後の見通しは?
各国の金融緩和策や財政出動、景気回復期待の高まりなどを受けて資源価格が大きく上昇する中、木材価格もコロナ禍における住宅需要の高まりもあり大きく上昇しています。世界的に持続可能な社会実現の取り組みが活発化する中で、サステナブルな資源としての「木」が見直されていることも長期的に木材価格を支える要因となりそうです。
ウッドショックで木材価格は高騰
木材価格は過去1年で急上昇(図表1参照)し、ウッドショックと呼ばれる状況となっています。
米シカゴ市場の木材先物価格は、2020年3月末から4月のはじめにかけて300ドル(1000ボードフィートあたり)を割り込む水準まで下落しましたが、それ以降は上昇基調となり、2021年5月7日には1,686ドルまで上昇しました。
足元は急速に価格が上昇していた反動や、先物価格特有のロールオーバー(指標となる受け渡し時期の変更)もあり大きく反落し、5月18日には高値よりも25%下落の1,264ドルとなっていますが、年初来では+45%、過去1年間では+265%と大きく上昇しています。
図表1:シカゴ木材先物価格の推移
日次、期間:2016年5月18日~2021年5月18日
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
またすぐに入手することができる現物の木材価格は木材の需要が旺盛な一方、供給がひっ迫していることもあり高水準で推移しています。
商品市況全般が好調、木材は需要旺盛で価格上昇
2020年3月末以降、商品市況は全般的に好調で、木材以外にも銅や鉄鉱石など様々な資源の価格が上昇しています。
新型コロナウイルス感染拡大の経済的打撃への対応策として2020年に各国・地域の政府および中央銀行が積極的な財政政策や金融緩和策を実施したこと、2021年に入ると新型コロナウイルスのワクチン接種が進展したことに加え、米バイデン政権による追加的な大規模財政政策などを背景に世界的な景気回復期待が大きく高まったことなどが、資源価格上昇の背景にあります。また新型コロナウイルスの感染拡大により世界的なサプライチェーンの混乱なども資源価格上昇に拍車をかけました。
木材市場については、コロナ禍で在宅勤務の広がりなどにより住宅への需要が高まったことが木材価格高騰の要因となっています。米国の住宅市場は、足元では木材価格の上昇やサプライチェーンの逼迫などが影響し4月の住宅着工件数は前月比で減少していますが、住宅建設許可件数は小幅ながら前月から上昇しており、全体的にみると住宅への需要は高い水準で推移していると考えます(図表2参照)。
図表2:米国の住宅着工件数、住宅建設許可件数の推移
月次、期間:2016年4月~2021年4月
※住宅着工件数、住宅建設許可件数ともに年率、季調済
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
今後の見通し
木材価格については、過去の価格推移に比べかなり高い水準にありますが、米国などの住宅市場は好調なこともあり、今後、大きく下落する可能性は低いと思われます。
さらに欧州や米国など主要国は持続可能な社会実現のために環境政策を進めており、その中で化石由来の材料や燃料に代わる身近なサステナブルな資源として木材繊維の需要も今後増加していくものと考えられ、このことも木材価格を長期的に支える要因になる可能性があります。
また森林を所有・管理する企業の収益や評価に影響を与える木材販売価格の2021年の平均は、足元木材価格が大きく上昇していることもあり、過去と比べても非常に高い水準になることが予想されます。
足元、インフレ期待が高まりを見せる中、実物資産に注目が集まっています。森林を保有・管理する企業を中心に投資しているiTrustティンバーは実物資産の中でも木材への投資を考えている方にとって選択肢のひとつになるでしょう。
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