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- 新興国市場を取り巻く環境とポートフォリオ戦略
・不透明な投資環境でも詳細な分析と銘柄選択によるリターンの獲得を目指す
■ 不透明な投資環境でも詳細な分析と銘柄選択によるリターンの獲得を目指す
当ファンドの運用チームの新興国経済および株式市場の見通しについては、今後も中長期的に高い成長が期待できるとの見方に変更はありません。一方で、短期的には米国のトランプ政権による政策の影響などが株式市場において不安材料視される可能性があります。そのような投資環境においては、国や地域、業種等の側面から状況に応じた投資判断を行うことが相対的に高いリターンの獲得を目指すうえで重要と考えています。当ファンドでは、新興国株式市場の銘柄について詳細な分析を行うことで、見通しが不透明な環境においても持続的な配当の支払いや中長期的な業績成長が期待される銘柄を選別し、組入れています。
本レポートでは、当ファンドの運用チームが注目している主な国・地域別のポイントについてご紹介します。
■ 中国:景気刺激策による恩恵が期待される内需関連株を中心とした銘柄選択
中国は、米国の大統領選挙でトランプ大統領が公約した関税強化の方針の中で標的となっていることなどから、新興国の中でもトランプ政権の動向による影響を大きく受け、外需を取り巻く環境が悪化する可能性があります。
中国国内については、不動産市場や個人消費の低迷などが景気回復の足かせとなっているため、中国政府による一段の景気刺激策の実施が期待されます。当面の中国経済は政策頼みの成長となることが見込まれ、持続的な回復の兆候が示されるまでには時間を要すると考えられますが、足元の株式市場においては業績の底打ちが期待される銘柄に投資する機会が多く見られます。そうした中で、当ファンドの運用チームでは中国株式への投資について、米中貿易戦争が激化した場合の影響について考慮したうえ、景気回復による業績成長が期待される内需関連株を中心とした銘柄に投資しています。
■ インドネシア:堅実な経済成長による恩恵が期待される銀行株などに投資
インドネシアは近年、コロナ禍の一時期を除いて概ね年5%程度の経済成長を続けており、国際通貨基金(IMF)などの推計では、2024年10月に発足したプラボウォ政権下での積極的な財政支出などを背景として、今後も同水準の成長が続くと見込まれています。
また、インドネシア中央銀行はインフレが落ち着きを示す中で、景気の下支えなどを目的に2025年1月に追加利下げを実施しました。米国の政策方針など外部要因の不確実性が強まる中で、利下げの実施により経済成長を重視する姿勢が示された格好です。インドネシア中央銀行が発表した声明では、零細・中小企業やグリーン経済注に関する分野への融資を銀行に促すことで、雇用の創出を図るなどの方針が示されました。
当ファンドでは、配当利回りが高く、経済成長と融資の拡大を背景に堅調な業績成長が期待される大手銀行株を中心とした銘柄に投資しています。
注:環境問題に伴うリスクと生態系の破壊等を軽減しつつ、人間の福利や不平等を改善する経済のあり方
■ アラブ首長国連邦:海外資本の誘致や人口増に伴う不動産市場の成長に注目
アラブ首長国連邦は、ドバイやアブダビなどの首長国からなる連邦国家です。産油国であり潤沢なオイルマネーがこれまでの経済発展を支えてきた一方で、近年では石油依存の経済構造からの脱却に向けた取り組みを加速させています。外国資本100%の会社設立や法人税の免除などのインセンティブが提供される「フリーゾーン」の整備などにより海外(対内)直接投資の推進が図られているほか、10年の在留資格が得られるゴールデンビザの積極的な発給など、高度な知識や技能を有している外国の人材や高所得者、投資家層の獲得のための制度改革が実施されていることなどから、人口の増加や安定した経済成長が期待されています。
当ファンドでは、消費や観光業の拡大などを背景とする中長期的な業績成長が期待され、安定的な配当が期待される不動産企業などの複数の銘柄に投資を行っています。
■ 韓国:配当利回りの高さなどを評価し優先株式に投資
韓国株式市場での長期的なテーマとして韓国政府による「バリューアップ・プログラム」に注目しています。これは、コーポレート・ガバナンスの改善などを通じて韓国企業の企業価値の向上や株主還元策の改善を促し、長年に亘り株価が割安なまま放置されてきた「韓国ディスカウント」と呼ばれる状況から脱却することを目指すものです。今後、「バリューアップ・プログラム」の一環として、韓国の企業が自己資本利益率(ROE)などの資本収益性指標の向上などを目的として自社株買いを実施する可能性があります。自社株買いには株価が割安であるとの経営陣の判断をアナウンスする効果が期待されることから、株価の上昇要因になる可能性があると考えています。
これに関連して、当ファンドでは韓国の銘柄の一部で優先株式に投資しています。優先株式は企業が発行する株式の一種で、議決権が無いなどの制限が付されることが多いほか、普通株式と比較して発行株式数が少なく流動性に劣る傾向があります。一方で、普通株式よりも優先的に配当を受ける権利などを持ち、配当利回りが相対的に高い傾向にあることから、当ファンドでは戦略的に優先株式を選択しています。
■ メキシコ:米国の経済政策の影響に留意しつつ業績見通しの良好な銘柄に投資
メキシコでは、米トランプ政権の関税政策などによる影響や、年金改革に伴う財政悪化懸念などが株価下落の要因となってきました。今後の見通しについても、株式市場全体では企業業績予想が下方修正される傾向にあるなど、依然として警戒感が残る状況にあることから、当ファンドでは業績見通しの良好な不動産や生活必需品の小売りに関する企業などへの投資を中心とした慎重な運用を行っています。ただし、これまでの下落に伴い株価は割安な水準にあると考えられるほか、インフレの鈍化などを背景に中央銀行には追加利下げを継続する余地があると見られ、景気の下支え効果が期待されることなどから、外部環境の見通しが改善するにつれ、魅力的な投資機会が増加すると見込んでいます。
■ 台湾:株価バリュエーションの水準に留意しつつ高成長が期待される銘柄を選別
台湾では、今後も人工知能(AI)に関するテーマが株式市場をけん引することを見込んでいます。株価バリュエーション面では割高な水準にある銘柄が多いことに留意しつつ、業績や配当の成長が見込まれる企業を選別し、組入比率を高めています。
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