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- iTrustバイオ|バイオ医薬品企業の注目の治療薬候補(パイプライン)の2023年の開発と承認の動向
●注目のアルツハイマー病治療薬が承認、非オピオイドの鎮痛剤にも注目
●希少疾患の領域では、複数の遺伝子治療薬が承認
●肥満症、非アルコール性脂肪肝(NASH)の治療薬候補の開発動向に注目
当ファンドが投資対象とするバイオ医薬品企業は、いまだ治療法が確立されていない病気の治療薬の開発を積極的に進めており、株価は治療薬の開発状況や承認状況に大きく影響を受けることになります。
本レポートでは、バイオ医薬品企業による2023年の注目の治療薬の開発および承認状況について紹介します。
中枢神経系ではバイオジェン/エーザイのアルツハイマー病治療薬レカネマブが承認、非オピオイドの鎮痛剤も注目
2023年最も注目されていた治療薬候補といえるのは、バイオジェン(米国)/エーザイ(日本)のアルツハイマー病治療薬レカネマブ(商品名:レケンビ)です。
レケンビは2023年1月7日に米食品医薬品局(FDA)から迅速承認を受けた後、2023年7月6日にフル承認を取得しました。同治療薬は、アルツハイマー病の進行を抑制し、認知機能と日常生活機能の低下を遅らせることが確認されていることに加え、米国の公的医療保険であるメディケア(65歳以上の高齢者など対象)や退役軍人保健局(VHA)などの公的機関も保険適用としています。そのため2021年6月に米FDAから迅速承認を受けた後、有効性の疑義などから低迷していたアルツハイマー病治療薬アデュカヌマブ(商品名:アデュヘルム、バイオジェン/エーザイが開発)とは対照的に今後の使用拡大が期待されています。
そのほか中枢神経系では、バーテックス・ファーマシューティカルズ(米国)の急性疼痛の鎮痛剤候補VX-548も注目されています。同剤は2023年8月にフェーズ2治験で術後の疼痛を減らす効果が認められたことが発表され、現在、フェーズ3の治験が進められています。米国では1990年代後半から鎮痛剤オピオイドへの依存症(オピオイド問題)が大きな社会問題となっていますが、非オピオイドの鎮痛剤であるVX-548は、オピオイド問題解決の一助となる可能性もあり、社会的にも今後の動向が注目されている治療薬候補のひとつと言えます。
希少疾患の領域では、複数の遺伝子治療薬が承認
希少疾患は、患者数が極めて少ない病気で、生活に重大な支障がでる難病が多いのが特徴です。また、遺伝性の疾患が多いといわれており、遺伝子治療への期待が高い領域でもあります。
2023年は、このような希少疾患の領域において、表皮水疱症の遺伝子治療薬ビジュベク(クリスタル・バイオテック、5月19日承認)、4~5歳を対象としたデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の遺伝子治療薬エレビディス(サレプタ・セラピューティクス、6月22日承認)、血友病Aの遺伝子治療薬ロクタビアン(バイオマリン・ファーマシューティカル、6月29日承認)などが次々と承認されました。
肥満症、非アルコール性脂肪肝(NASH)の治療薬候補の開発動向に注目、地図状萎縮(GA)治療薬は承認を得る
その他の領域では、肥満治療薬候補が注目されています。肥満は、高血圧や脂質異常、糖尿病、心臓病など多くの病気と関連があるといわれており、肥満の解消は重要な社会的課題となっています。現在、肥満治療薬はノボ・ノルディスク(デンマーク)のウゴービやオゼンピックが売り上げを拡大して先行していますが、イーライリリーも「ゼプバウンド」(一般名チルゼパチド)が11月8日にFDAより承認を受けるなど、複数の医薬品企業が研究開発を進めています。バイオ医薬品企業ではアムジェンが肥満治療薬候補の開発をフェーズ2治験まで進めており、今後の動向が期待されています。
また、現時点で有効な治療薬が存在しない非アルコール性脂肪肝(NASH)についてマドリガル・ファーマシューティカル(米国)が2022年12月に良好な治験結果を発表、2023年9月には米FDAに優先審査扱いで承認申請が受理されたことや、アペリス・ファーマシューティカルズ(米国)とアイベリック・バイオ(米国、アステラス製薬が買収)の地図状萎縮(GA)の治療薬が2月17日(アペリス・ファーマシューティカルズ)と8月4日(アイベリック・バイオ)にそれぞれ米FDAから承認を受けたことなどが注目されました。
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