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- 歴史的にも相対的にも割安な新興国高配当株式
●新興国高配当株式のPERは他の株式やREITと比べて低い水準で、かつ過去平均を下回る
●過去の実績ではPERの水準が低いほど、その後の株価上昇率が高い傾向
●一段のPER縮小のリスクは比較的小さく、中長期的な投資機会となる可能性もあるとみる
■ 新興国高配当株式の株価収益率(PER)は過去平均を大きく下回る
10月の新興国株式市場(現地通貨ベース)は、米国が中国に対する半導体および関連製造装置の輸出制限を強化したこと、米国の好調な雇用統計の発表などを受けて米長期金利が上昇したこと、中国の新指導部が発足し、習近平国家主席への権力集中が鮮明となり、政治リスクが大きく意識されことなどがマイナス要因となり、月間では下落となりました。一方、新興国高配当株式は、エネルギー価格の上昇を背景に、高配当利回りのエネルギーセクターやブラジル株式が上昇したことなどが寄与し、現地通貨ベースで上昇したうえ、円ベースでも、円安の進行が寄与し、上昇しました。
こうしたなか、新興国高配当株式のPERは、過去平均(1995年12月末~2022年10月末)を大きく下回っています。新興国高配当株式は、堅調な利益動向が継続する一方、株式市場では米国のテクノロジーセクターなどの成長株が注目を集めるなかで、見過ごされたことなどが、PERが低水準となった背景だと考えられます。過去の実績では、新興国高配当株式のPERは、地政学リスクの高まりや金融市場の危機時に大きく低下し、その後株価は上昇する傾向が見られました。
■ 新興国高配当株式のPERは対先進国成長株式でみても過去平均を大きく下回る
新興国高配当株式のPERは先進国成長株式に対する相対PERでみても過去平均を大きく下回っています。
■ 新興国高配当株式のPERは、他の株式やREITと比べて低い水準
新興国高配当株式のPERは、7.3倍(2022年10月末)と他の株式やREITと比べて低い水準です。
■ PERの水準が低いほど、その後の株価上昇率が高い傾向
新興国高配当株式のPERの水準別にその後の株価騰落率をみると、過去の実績ではPERの水準が、低いほど、その後の株価上昇率が高くなっています。2022年10月末の新興国高配当株式のPERは7.3倍です。過去の実績(1995年12月末~2022年10月末)で9倍未満をつけたときには、株価は1年後の平均で44%、3年後で70%、5年後で142%上昇しています。
新興国の株式市場については、1)新興国の経済成長、2)世界貿易の回復、3)高水準の資源価格、4)米ドルに対して割安な新興国通貨などが、今後の株価上昇のポイントになるとみています。
今後もウクライナ情勢のいっそうの緊迫化、米国の金融政策動向などが金融市場のボラティリティ(価格変動)を高める要因となることには留意する必要があります。市場全体が大きく調整し、リスク回避の動きが強まる局面では、新興国高配当株式も大きく調整する可能性も考えられます。
ただし、市場の調整局面でも、新興国高配当株式の一段のPER縮小のリスクは比較的小さいとみており、中長期的な投資機会となる可能性も考えられます。
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