- Article Title
- 2024年に向けた見通しとポートフォリオの状況
2023年7-9月期の決算で予想を下回る内容の発表があったことなどが響き、2023年10月のセキュリティ関連株式の株価は大きく下落しましたが、足元で反発しています(2023年12月7日時点)。技術革新や社会情勢が大きく変化する中で、さまざまなセキュリティ関連ニーズの高まりを受けて、セキュリティ関連企業は今後も相対的に高い利益成長が期待できると考えます。
2023年7-9月期決算動向|確かに低調な決算発表もあったが、良好な決算を発表した分野も存在
(予想を下回る決算を発表した主な分野)
特に、弱い内容を発表したのは、ライフサイエンス関連や輸送関連の企業(投資セグメントではいずれも「セキュリティ関連機器」)、信用情報サービスを手がける企業(同、「セキュリティ関連サービス」)などでした。
ライフサイエンス関連の企業については、引き続き顧客であるバイオ医薬品企業などが設備投資に慎重になっているほか、中国市場における需要減少や在庫調整などが、マイナス材料となりました。ただし、緩やかながら改善の兆しもみられています。
また、輸送関連の企業については、全米自動車労働組合のストライキによる影響などがマイナス材料となりました。
信用情報サービスを手がける企業については、米国における住宅ローン金利上昇を受けて、住宅ローン申し込み件数の減少などが響きました。
(良好な決算を発表した主な分野)
一方で、良好な決算を発表したセキュリティ関連企業も存在しています。
投資セグメントでいうと、「ITセキュリティ製品」については、概ね良好な決算内容となりました。特に、サイバーセキュリティ分野では、ニーズが高まっている統合プラットフォームやIDセキュリティ、特権アクセス管理、データ保護などを手がける企業が、景気サイクルに大きな影響を受けず、堅調な需要が続いていることを示しました。また、ハードウェアセキュリティ分野では、半導体検査装置大手のKLAが、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)の普及や回路設計の複雑化・高度化の流れを受けて半導体検査装置企業が予想を上回る決算を発表し、来年度(2024年)についても安定した需要が予想できるとの見通しを示しました。
「セキュリティ関連サービス」でも、データセンター運営企業は、AIの発展を受けて需要が拡大していることなどが、プラスに寄与しました。また、害虫駆除・衛生管理関連サービスを手がける企業は、顧客との継続的な契約をベースに安定的に収益を得られるため、景気減速懸念が高まる中でも底堅い業績を維持することができました。
「セキュリティ関連機器」では、入退室管理を手がける企業が、米国の非住宅および住宅市場が低調である中でも、値上げなどが奏功し、底堅い決算を発表しました。
今後の見通し|各投資セグメントのポイントとポートフォリオの状況
1.投資セグメント:「ITセキュリティ製品」における見通し
サイバーセキュリティ分野については、今後数四半期にわたって良好な業績動向が期待できるとみています。サイバー攻撃の脅威が高まっているほか、サイバーセキュリティに係る規制強化の動き(例えば、2023年7月26日、米国証券取引委員会(SEC)は、セキュリティインシデントの情報開示に関する規則として、SEC登録者に対して「サイバーセキュリティのインシデントが重要であると判断してから、4営業日内」に報告することを義務化)などを受けて、サイバーセキュリティに関するIT投資は引き続き堅調に推移するとみられ、この恩恵を受けるサイバーセキュリティ企業は多いとみています。
半導体関連などをはじめとするハードウェアセキュリティの分野では、電気自動車(EV)や先進運転支援システム(ADAS)の普及拡大によって恩恵を受けると予想されるほか、製造拠点の「リショアリング(海外から自国への回帰)」や「ニアショアリング(地理的に近い近隣国・地域への移転)」の流れなども、需要拡大のきっかけになると期待しています。
2.投資セグメント:「セキュリティ関連サービス」における見通し
データセンター運営企業については、AIの発展によりデータセンターの需要はいっそう拡大すると予想され、その恩恵を受けると予想されます。
害虫駆除・衛生管理関連サービスを手がける企業や検査受託サービスなどの専門的なセキュリティ関連サービスを提供する企業にも引き続き注目しています。これらの企業は、顧客との継続的な契約をベースにサービスを提供しており、顧客との契約がいったん成立すれば、解約されない限り継続して収入を得ることができます。一般に、顧客との契約期間は比較的長く、安定した契約関係を築いています。そのため、相対的に安定した業績推移が期待できると考えています。
3.投資セグメント:「セキュリティ関連機器」における見通し
ライフサイエンス関連の分野は、足元では厳しい事業環境が続いていますが、2024年後半以降は前年同期のハードルが低いことなどから、受注モメンタムは緩やかに回復していくものと予想しています。
こうした見通しに基づき、足元では、「ITセキュリティ製品」の組入比率を相対的に高めています。一方、「セキュリティ関連機器」については、組入比率を相対的に低位としています。
都市化の進展、グローバル化の進展、技術革新などを受けて、我々の生活を取り巻く環境は複雑化し、大きく変化しています。こうした中、我々が心身共に豊かで快適な生活を送るため、「安全・安心」に関わる製品やサービスへの需要はますます高まると考えられ、セキュリティ関連企業の中長期的な成長期待には変わりがないと考えます。
一方で、足元のバリュエーション(投資価値評価)水準は、当ファンドの組入銘柄における予想株価収益率(PER)でみると過去5年間の平均を下回る水準にあります。
※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。
当資料をご利用にあたっての注意事項等
●当資料はピクテ・ジャパン株式会社が作成した販売用資料であり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。取得の申込みにあたっては、販売会社よりお渡しする最新の投資信託説明書(交付目論見書)等の内容を必ずご確認の上、ご自身でご判断ください。
●投資信託は、値動きのある有価証券等(外貨建資産に投資する場合は、為替変動リスクもあります)に投資いたしますので、基準価額は変動します。したがって、投資者の皆さまの投資元本が保証されているものではなく、基準価額の下落により、損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。
●当資料に記載された過去の実績は、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。
●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。