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- 足元の基準価額動向とディープシークの影響
2025年年初来、当ファンドの基準価額は下落。市場全体の流れの中でセキュリティ関連企業の株価も下落。低コスト・高性能AIの登場で、市場は動揺したものの、中長期的にみれば、AIの発展を促進することなどにもつながるため、恩恵を受けるセキュリティ関連企業も多い。
2025年年初来の当ファンドの基準価額動向
2025年年初来、3月11日までのピクテ・セキュリティ・ファンド(為替ヘッジあり)の基準価額は約-6%の下落、ピクテ・セキュリティ・ファンド(為替ヘッジなし)の基準価額は約-12%の下落となりました。
2025年年初来の当ファンドのマザーファンドの基準価額動向
また、2025年年初来のピクテ・セキュリティ・ファンド(為替ヘッジあり)/(為替ヘッジなし)(以下、当ファンド)のマザーファンドの基準価額(円ベース)は、-12%の下落となりました。為替相場において一転して円高が進行したことがマイナス寄与となったことに加えて、株式要因もマイナス寄与となりました。
2025年年初来の世界の株式市場は、1月後半に、中国のディープシーク社が低コスト・高性能生成人工知能(AI)を発表したことを受けて、これまでのAI分野における米国企業の優位性に対する見方が揺らいだことから一時大幅安となりました。さらに、2月半ば以降は米国の景気減速懸念の高まりや、米トランプ政権による関税政策への警戒感などから、投資家のリスク回避の動きが強まり、これまで株価が大きく上昇し、バリュエーション(投資価値評価)水準に割高感があるハイテク関連銘柄などを中心に下落基調となっています(3月11日時点)。こうした市場全体の流れを受けて、当ファンドの投資先であるセキュリティ関連企業の株価も下落しました。
幅広い分野のセキュリティ関連企業に投資
株式要因の中でも、特に、AI関連として注目され、株価が大きく上昇していたデータセンター運営企業や半導体製造企業、デジタル・インフラ向け装置製造企業などの株価下落の影響が大きくなりました。これらの企業の株価が下落した背景には、低コスト・高性能生成AIの登場により、需要が当初の想定を下回るのではないかとの懸念や、バリュエーション水準の割高感などがあるとみられます。
ただし、当ファンドでは、AI関連企業だけでなく、幅広い分野のセキュリティ関連企業に投資を行っています。引き続き、運用に際しては、各分野の「セキュリティ」に関する長期的なトレンドを考慮し、良好なファンダメンタルズ(基礎的条件)を有するセキュリティ関連企業を選別した上で、分散投資を行っていく方針です。
低コスト・高性能AIの登場による、セキュリティ関連企業への影響は?~総じていえば、AIのさらなる発展で、恩恵を受ける企業は多い~
中国の人工知能開発スタートアップ企業であるディープシーク社は、誰でもダウンロードし、利用・改変できるオープンな大規模言語モデル(LLM)を開発しています。同社が2025年1月に発表したモデル「ディープシークR1」は、従来に比べ少ないデータ量で複雑な推論を行うことに成功し、先行する米企業がリリースしたモデルと同程度に高性能であるといわれています。
サイバーセキュリティへのニーズ
同社が提供するのはオープンソース・ソフトウェアであるため、イノベーションや活用の促進が期待できるといった利点がある一方で、DDoS攻撃(複数のコンピューターから同時にアクセスすることで、Webサイトやサーバーへ負荷をかけてサービス提供を妨げる攻撃)、データの不正持ち出し、認証情報の悪用、サプライチェーンリスクなどのシステム的な脆弱性をもたらすといった懸念もあります。こうした脅威を考慮すると、オープンソース化やAIモデルのコモディティ化の流れは、サイバーセキュリティ対策のための投資を増加させるとみられます。特に、エッジAI(ネットワーク上のエッジ(外縁部)にあたるライブカメラや各種センサーなどの端末機器に直接搭載されたAI)に対するセキュリティや、AIシステムに使用されるデータに対するセキュリティおよび管理・運用の体系的なガバナンス、マシンID(企業のシステムなどにひも付くID)などの重要性は高まると予想され、こうした領域に強みを持つサイバーセキュリティ企業は恩恵を受けると期待されます。
データセンター関連需要は、引き続き増加
さらに、ハイパースケーラー(巨大なサーバーリソースを保有し、世界中でクラウドサービスを展開している企業)にとって、効率的なAIモデルはメリットがあります。より効率的にインフラを活用し、より多くの需要に対応できるようになるためです。こうした企業にとって、AIの採用は依然として初期段階であり、今後の設備投資計画を下方修正する可能性は小さいとみられます。
また、AIの発展により「推論」の必要性はいっそう高まるため、データセンターなどのデジタル・インフラ需要は引き続き拡大していくと予想されます。デジタル・インフラの最適化のためには温度調整が重要であることから、冷却システム関連企業は引き続き恩恵を受けると期待されます。
ASIC関連も、その優位性から、長期的には恩恵が期待される
また、低コスト・高性能生成人工知能(AI)の発表を受けて、株価が大きく下落したAI処理専用チップ(ASIC)関連企業についても長期的には有望であるとの見方に変わりはありません。ASICは画像処理半導体(GPU)と比較して、①高い効率性(特定のAIアルゴリズムに最適化されているため、同じタスクを処理する際にGPUよりも高い効率性を発揮)、➁低消費電力(必要最小限の機能のみを搭載しているため、GPUと比較して消費電力が抑えられる)、➂高速処理(特定のAIタスクに特化しているため、そのタスクにおいては非常に高速な処理が可能)、といった点で優位性があり、長期的にみればASICに対する需要は大きいとみられます。
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