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- セキュリティ|景気減速懸念が強まる中での、セキュリティ関連機器分野に対する見解
●セキュリティ関連企業の一角であるセキュリティ関連機器分野の企業は、景気減速によるマイナスの影響を受けやすい。
●景気減速懸念が強まる中、業績動向については慎重な見方にならざるを得ず、株価も上値が重い展開が予想される。
●同分野の中でも、景気減速の影響が相対的に小さいとみられる銘柄や、底堅い需要拡大が見込まれるライフサイエンス関連銘柄などを選好し、銘柄選別を強化する方針。
セキュリティ関連機器分野の企業業績と株価動向
当ファンドの投資対象であるセキュリティ関連企業は、業績動向に応じて3つの分野に分類できると考えられます(詳細は下記の「ご参考|ピクテによる企業業績の特徴別にみたセキュリティ関連企業の分類」をご参照ください)。
このうちの1つであるセキュリティ関連機器分野については、景気減速懸念が強まる中で、厳しい事業環境に直面しているとみています。
セキュリティ関連機器分野の多くは、住宅および商業用不動産市場の動向に左右されやすい入退室管理を手がける企業や、自動車や鉄道向けの各種安全装置を手がける企業、製造業や建設現場など様々な分野で使用される保護装備などを手がける企業などです。こうした企業の業績動向は、景気減速・後退局面では、マイナスの影響を受けやすい傾向があります。
各種の検査・分析装置を手がけるライフサイエンス関連企業も、セキュリティ関連機器分野の一角と考えています。このライフサイエンス関連企業については、前述の企業群とはやや特徴が異なり、バイオテクノロジーの進展や、環境・食品の安全性分析など、中長期的に持続したニーズの拡大が予想される分野との関連性が高いため、景気サイクルのどの局面においても相対的に底堅い需要拡大が見込まれるとみています。
このようにセキュリティ関連機器分野の中にも多様な企業が存在します。いずれも中長期的にみれば成長が期待できるとの見方には変わりがありません。しかし、足元では景気減速・後退により、需要が減速し減収となる懸念や、原材料価格の高騰やサプライチェーン(供給網)の混乱などによる影響、人手不足を受けた労働コストの上昇など、収益悪化を招く悪材料が散見されます。こうしたことから、セキュリティ関連機器分野全体でみると、今後の企業業績動向については、より慎重な見方にならざるを得えず、株価にとっても逆風が続く可能性があるとみています。
セキュリティ関連機器企業の今後の見通し
2022年はこれまでのところ、米国ISM製造業景況感指数や住宅販売・新築住宅着工件数などをはじめとしたマクロ経済指標からは、景気減速が示されている一方、企業側から発信された決算内容や今後の見通しについては、それほど悲観的な内容ではありません。マクロ経済の状況と企業業績には大きな乖離があるようにも感じられ、企業の業績見通しには景気減速・後退の影響が十分に織り込まれていない可能性が懸念されます。
とはいえ、当ファンドの運用チームは11月前半に多くのセキュリティ関連機器企業の経営陣とミーティングを持ち、その結果、セキュリティ関連機器企業の今後の見通しについて、以下のように考えています。
① 需要動向について
マクロ経済指標は景気減速を示唆しているにも関わらず、セキュリティ関連機器企業の多くで、引き続き需要動向は堅調です。一部、米国の住宅市場の減速によるマイナス影響が出ている企業はあるものの、商業用不動産や産業向けの機器を手がける企業については需要に減速の兆しはみられていません。しかし、多くの企業の経営陣は、2023年について明確な見通しを依然として持ち合わせていないようです。彼らの多くが、2023年には需要の減速に直面する可能性について認識していますが、いつ減速に転換するのか、そしてどの程度の減速になるのかについては、一致した見解を得るには至りませんでした。
➁受注残の動向について
当ファンドが投資を行うセキュリティ関連機器企業に関しては、受注残は高水準で、これが2023年以降、売上高に計上されていくと期待されます。また、値上げ後に積み上がった受注残が売上計上される際には、収益面の改善要因になると期待されます。
➂サプライチェーン(供給網)の問題
サプライチェーンの混乱については、今後徐々に正常化に向かうとみていますが、まだ時間はかかるでしょう。電子部品のみならず特殊塗料や反射材など様々な部材が、依然として供給不足に陥っています。しかしながら、多くの企業が2022年年初以降、本格的にサプライチェーンの確保に向けたアクション(部材調達先の多様化や設計変更による対応など)をとっており、それが奏功しはじめています。
④インフレと価格決定
当ファンドが投資を行うセキュリティ関連機器企業に関しては、その多くがある程度の価格決定力を有しており、インフレによるコスト増加分を最終価格に転嫁し、値上げを行うことができている模様です。しかし、こうした企業の経営陣は、2023年以降もインフレによるコスト増加圧力は続くとみています。
➄在庫調整など
住宅市場関連やセンサーなどを手がける複数の企業は、2022年第2四半期あたりから始まった在庫調整は、今後2~3四半期は続くとみています。幸いなことに、これらの企業の在庫水準は高くはないため、一掃されるまでにそれほど長い時間はかからないとみられます。
⑥キャッシュ・フローの動向
2022年下期には、在庫の積み上がりの影響などから運転資本(操業上必要となる資金)が増加し、キャッシュ・フローの減少に直面する企業もありましたが、在庫調整が進むにつれて、2023年はキャッシュ・フローの改善が予想されます。
銘柄選別を強化
2022年10月末時点、当ファンドにおけるセキュリティ関連機器企業の組入比率は約40%となっています。今後は、その中でも銘柄の選別を行っていく方針です。
※組入比率は、ファンドの主たる投資対象であるピクテ・セキュリティ・マザーファンドにおける状況です。
短期的な景気サイクルの影響を受けやすい銘柄については組入比率を引き下げ、景気減速局面でも底堅い業績が期待される銘柄を選好していきます。
例えば、アレジオン(米国)、ジョンソンコントロールズ・インターナショナル(米国)、アッサ・アブロイ(スウェーデン)などの入退室管理分野を手がける企業などは、景気減速局面でもマイナスの影響が相対的に小さいと考えています。その一方で、米国の住宅市場の減速に大きく影響されるような銘柄については売却を進める方針です。
また、自動車関連分野でもより慎重な銘柄選別が必要であると考えており、アプティブ(米国)などの一部の銘柄に投資を集中させる方針です。
一方、ライフサイエンス関連企業については、持続的に底堅い需要拡大が期待されることから、組入比率を維持していく方針です。
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