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- 米中対立や地政学リスクの高まりで、 メキシコ、ブラジル株式に投資機会到来か
●中南米の労働人口は主要国を大幅に上回るペースで増加、経済成長への寄与が見込まれる
●安い賃金や豊富な労働力、地理的優位性が注目され、ニアショアリングの浸透で、メキシコやブラジルへの投資が増加、株価のプラス要因に
■ 新興国のなかで労働人口が増加している国に注目
当ファンドは新興国のなかでも労働人口が増加している国の株式に投資するファンドです。今回は、労働人口が増加している国のなかで、中南米の中心国であるメキシコとブラジルの注目点について、ご紹介します。
一般的に、新興国のなかで労働人口が増える国では、平均年齢が低く、労働供給に余力があり、賃金が相対的に安い傾向があります。安い賃金は、海外からの投資を引き寄せる要因の一つとなり、雇用が拡大することで、国内消費も増加し、中長期的な経済成長に貢献すると期待されています。メキシコやブラジルはこれらに加え、資源も豊富で、地理的に米国に近く、貿易協定等により、生産コスト、輸送、関税面などでも優位性が高いため、主要企業の投資先として注目が高まっています。
実際に米中貿易摩擦や、地政学リスクの高まり、コロナショック時のサプライチェーン問題をきっかけに、消費地の近くに生産拠点を置く「ニアショアリング」が浸透し、地理的な優位性、安い賃金や豊富な労働力が注目され、メキシコやブラジルなどの中南米諸国への投資が増加しています。また、今回の米国の大統領選挙では、民主・共和両党とも中国に対する関税強化を示しており、これが中南米経済にプラスの影響を与える可能性があると期待されています。
こうした注目度の高まりも相まって、メキシコ株式、ブラジル株式は、コロナショック以降、新興国株式の株価平均を大きく上回って上昇しています。
■ 中南米の労働人口は主要国を大幅に上回るペースで増加、経済成長への寄与が見込まれる
過去の実績では、メキシコやブラジルでは、労働人口の増加とともに、GDPや株価が上昇してきました。今後も2035年に向けて、両国とも労働人口は増加すると予想されています(世界銀行予想)。
メキシコ、ブラジルを中心とした、中南米の労働人口は10年後の2033年までに6.4%増加すると予想されています(世界銀行予想)。メキシコやブラジルなどの主要国の経済の進展は、中南米域内のメルコス―ル(南米南部共同市場)注1などの貿易協定や域内での労働力の供給などを通じて域内経済全体に恩恵を与えるとみられます。中南米では、スペイン語が多く話され、ブラジルもスペイン語と共通性の高いポルトガル語が使われており、文化面でも共通点が多いことなども今後の発展にプラスに寄与するとみられます。
■ メキシコ
<労働人口>8,657万人→10年後増加率予測+7.8%(2023年)
<平均年齢>29.2歳 (ご参考)日本:48.6歳(2020年推定値)
<名目GDP>1兆8,115億米ドル(2023年)
<面積>196万 km²(日本の約5倍)
●天然塩田の広さで世界1位。石油(世界6位、中南米諸国中最大)、銀(世界2位)などの産地。
●世界遺産数で世界第7位、GDP約15%が観光収入。
●1994年のNAFTA(北米自由貿易協定)締結以降、輸出産業によって発展。資源が豊富で低コスト、立地が良い、輸出先を多角化しやすいといった背景から国外企業の進出が増加。
●米国の国別輸入額では、中国を抜いて1位に浮上。
※国旗と地図は外務省ホームページから引用 ※写真はイメージです。 ※労働人口:生産年齢(15-64歳)人口 ※労働人口は世界銀行、名目GDPはIMFの推定値 ※平均年齢:中位年齢国際連合(UN)推定値 出所:外務省、世界銀行、国際通貨基金(IMF)、ブルームバーグ、国際連合(UN)、各種資料・報道のデータを基にピクテ・ジャパン作成
■ メキシコの銘柄例:
グルポ・アエロポルチュアリオ・デル・パシフィコ(メキシコ、運送インフラ)
メキシコ最大の空港運営会社。利用客の多いグアダラハラやティフアナなどの主要都市、ロスカボス、プエルト・バジャルタなどの観光地など、メキシコとジャマイカで14の空港を運営。空港の駐車場や商業施設、複合ビルの賃貸などの事業も展開。主要空港は米国や国内の主要都市に就航する路線を有し、自動車関連をはじめとした航空貨物も取り扱う。
メキシコでは、ニアショアリングやレジャー市場の拡大による経済成長が期待される。メキシコのGDPと旅客数との相関が高く、旅客数は2009年〜2023年でGDPの3.8倍の増加率。同社はメキシコでニアショアリングによる恩恵を最も受けている上位10州のうちの半分でサービスを提供。同社の空港に就航する航空各社は航空機の発注を増やしており、利用拡大により同社の利益成長が期待される。
■ ブラジル
<労働人口>1億5,103万人→10年後増加率予測+2.3%(2023年)
<平均年齢>33.5歳 (ご参考)日本:48.6歳(2020年推定値)
<名目GDP>2兆1,268億米ドル(2023年)
<面積>851万km2 南米大陸の約半分、日本の約23倍、世界第5位の広さ
●鉄鉱石、石油、農産物など様々な資源を有する世界有数の資源大国。
●南米最大の経済規模を誇る。過去に巨額の対外債務に苦しんだが、2007年以降は対外債権が対外債務を上回り、純債権国となっている。
●2020年には米国と貿易・経済協力協定に署名。メルコスール・シンガポール自由貿易協定(FTA)を2022年7月に合意。ASEAN諸国と初のFTAとなり、貿易の拡大が期待される。韓国、日本などとも交渉が進展。
※国旗と地図は外務省ホームページから引用 ※写真はイメージです。 ※労働人口:生産年齢(15-64歳)人口 ※労働人口は世界銀行、名目GDPはIMFの推定値 ※平均年齢:中位年齢国際連合(UN)推定値 出所:外務省、世界銀行、国際通貨基金(IMF)、ブルームバーグ、国際連合(UN)、各種資料・報道のデータを基にピクテ・ジャパン作成
■ ブラジルの銘柄例: マルコポーロ(ブラジル、機械)
1949年設立の自動車メーカー。トラック、高級長距離バス、シティバス車体などを製造・販売。バス車体部品、車体フレームをはじめ、自動車部品とアクセサリーなども製造。アルゼンチン、コロンビア、メキシコ、ポルトガル、南アフリカなど国内外で車両を生産。車両はマルコポーロ、モネオ、ヴォラーレなどのブランドで販売。
主力の商用車ボディと車体フレームはブラジル、中南米、米国、アフリカ中心に60カ国以上で販売。同社の技術は中国などにも輸出。フォルクスワーゲン・ド・ブラジル社との提携により、フォルクスワーゲン製のシャーシにマルコポーロ社製のボディを合わせたバスなども販売。
2023年の売上高は前年比+23%、純利益は同+86%。地域別売上高では、メキシコ事業は同+45%と堅調に推移。
■ (ご参考)安い賃金や豊富な労働力、地理的優位性が注目され、ニアショアリングの浸透で、メキシコやブラジルへの投資が増加
【ニアショアリングが浸透し、メキシコやブラジルの投資額の伸びは、近年、アジア諸国を上回る】
消費地の近くに生産拠点を置くニアショアリングが浸透し、中国の景気低迷などでアジアの地域での投資が振るわないなか、メキシコやブラジルの投資額の伸びは、アジア諸国を上回るペースで増加しています。
【人件費高騰や人手不足が、中国よりも労働賃金の安いメキシコやブラジルへの投資需要を喚起】
特に米国では、米自動車3社をはじめ、米国に進出するトヨタ自動車やホンダ、日産自動車、そして多くの部品サプライヤーなどでは、人手不足で賃上げが目立っています。こうしたなか、労働人口が豊富で中国などよりも人件費が低く、資源も豊富で、輸送や生産コストでも優位性が高いメキシコやブラジルなどが、生産の受け皿になっているようです。
【共和党の候補指名が濃厚なトランプ前大統領は中国からの輸入関税大幅増加の発言】
米国の大統領選挙では、両党とも中国に対する関税強化を示しています。民主党のバイデン政権は米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)では厳しい原産地規定により中国製のEVや鉄鋼・アルミなどへの制裁関税を引き上げることを明らかにしています。共和党の候補指名が濃厚になったトランプ前大統領は、中国からの輸入に6割超の関税をかけると発言しています。
【関税協定が優位性を高める】
こうしたなか、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わり発効した「米国・メキシコ・カナダ協定」(USMCA)でメキシコ製乗用車の関税が免除されることや、メキシコ側の税制優遇措置なども追い風に、電気自動車(EV)関連の投資の増加が期待されています。米国EV大手テスラ、独フォルクスワーゲン(VW)、中国のEV大手、比亜迪(BYD)、独BMWなどが相次いで、メキシコでのEV生産に十億~数十億ドル規模の投資計画を発表しています。中国企業も生産拠点を対中国関税の影響の少ない地域に移し、関税障壁を回避する動きが以前にも増して進んでいます。メキシコだけでなく、周辺国でも、EVにとどまらず他の産業にも同様な動きが起こっており、ブラジルや他の中南米諸国でも投資が拡大しています。
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