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- 運用の振り返りと市場のポイント
2021年4月~6月にかけては、世界の株式市場は、ワクチン接種の拡大や世界経済の順調な回復などを背景に成長株中心に上昇するなか、世界公益株式のパフォーマンスは小幅上昇となり、当ファンドの基準価額も小幅な上昇となりました。世界景気回復期待と共に物価が上昇傾向にあり、利上げが視野に入ってきています。1998年以降でこのような局面では世界公益株式は株式市場全体とともに上昇する傾向が見られました。
ファンドのパフォーマンス
~成長株中心に上昇するなか、当ファンドの基準価額は小幅に上昇
今後の見通し、運用方針
経済活動再開の動きを背景に景気の回復が期待される一方、長期金利が上昇し、インフレや金利上昇懸念が台頭してきています。過去の実績では、長期金利急上昇は当ファンドの投資対象である公益株式にはマイナス要因となっているため、今後も金利の急上昇には注意が必要です。
米国バイデン政権のクリーンエネルギー政策をはじめ主要国・地域の脱炭素に向けたクリーンエネルギー政策の強化の動きは、グリーン・シフトを目指す公益企業の株式にプラスになるものと期待されます。また、公益セクターは引き続き業績の実績や見通しが相対的に安定しています。世界の公益株式の配当利回りと世界の国債利回りの差は過去25年間の平均を上回っており、世界の公益株式は安定した業績を継続するなか、株価収益率(PER)(実績ベース)は、世界の株式の平均を大きく下回るなど、バリュエーション(投資価値評価)も魅力的な水準です。
当ファンドでは風力、太陽光などのクリーンエネルギーへのシフトによる恩恵を受けると期待される企業に引き続き注目しています。また、ESG(環境、社会、ガバナンス)への取り組みの重要性が高まっており、当ファンドでも銘柄選別において重視しています。当ファンドでは、公益企業にエンゲージメント(対話)を行い、「グリーン・シフト」を目指しています。
中長期保有に当たってのポイント
中長期的には世界的に電力などの需要拡大が予想されており、公益セクターの事業環境は良好との見方には変わりありません。主要国・地域のクリーンエネルギー政策の強化の動きは、「グリーン・シフト」を目指す公益企業の業績にプラスになるものと期待されます。こうした環境下での長期金利急上昇による株価調整は、中長期的な投資機会を提供する可能性もあると考えます。
パフォーマンスの変動要因
2020年7月~2021年6月(過去1年間)
過去1年間でパフォーマンスにプラス寄与度の大きかった主な銘柄はSSE(英国、電力)、センプラ・エナジー(米国、総合公益事業)、RWE(ドイツ、総合公益事業)などでした。SSEは英国の送電網事業の良好な規制環境や英国と欧州連合(EU)の通商協議が合意に至ったことなどが好感されました。センプラ・エナジーは、LNG事業再編への期待などが好感されました。クリーンエネルギーに注力するRWEは欧州グリーンディールの恩恵を受けるとの期待などを背景に上昇しました。
一方、マイナス寄与度の大きかった主な銘柄はオーステッド(デンマーク、電力)、ネクステラ・エナジー(米国、電力)、ファーストエナジー(米国、電力)、イベルドローラ(スペイン、電力)などでした。オーステッドは、洋上風力発電事業の競争激化懸念などが株価にマイナスとなりました。ネクステラ・エナジーは良好な財務状況や決算にもかかわらず、これまで上昇率の大きかったクリーンエネルギー関連銘柄の株価調整などの影響を受けました。ファーストエナジーは、原子力発電補助金に関するオハイオ州下院議長の贈収賄疑惑などがマイナス要因となりました。イベルドローラは経営陣の不正疑惑などが下落要因となりました。
2021年4~6月(過去3ヵ月)
前四半期でパフォーマンスにプラス寄与度の大きかった主な銘柄はSSE(英国、電力)、ナショナル・グリッド(英国、総合公益事業)などでした。SSE、ナショナル・グリッドは欧州の規制下の送電事業の事業価値が評価され、クリーンエネルギー発電事業に強みを持つ銘柄に比べて割安感があることなどが上昇要因となりました。
一方、マイナス寄与度の大きかった主な銘柄はオーステッド(デンマーク、電力)、CMSエナジー(米国、総合公益事業)などでした。オーステッドは引き続き欧州の風力発電事業の競争激化による同事業への不透明感の高まりなどが株価にマイナスとなりました。 CMSエナジーは非中核事業を売却しましたが、この売却が短期的に収益減少要因となるとの懸念などもあり下落しました。
2021年4~6月(過去3ヵ月)の投資行動
前四半期の売買に関しては、フランスの総合公益事業銘柄やスペインの電力銘柄を売却し、株価の調整を機に、デンマークやポルトガルの電力銘柄、スぺインの再生可能エネルギー関連事業を行う独立系発電・エネルギー販売銘柄など、公益銘柄のなかでもよりクリーンエネルギー事業の拡大が期待される銘柄などを中心に組入比率を引き上げました。
米国物価上昇率と世界公益株式パフォーマンス
コロナショック後の経済の正常化とともに、米国では物価が上昇し、金融政策変更の可能性が議論されています。1998年以降の実績では世界公益株式は金利が急上昇する局面では一時的に調整しましたが、米国政策金利が据え置きあるいは引き上げられている景気底入れや景気回復の場面では、物価が上昇するなか、株式市場全体とともに世界の公益株式は上昇する傾向が見られました。
米国の例でみると、1930年以降の実績では1970年代のオイルショック時を除いてみると、金融緩和による流動性供給の拡大は物価上昇圧力となり、物価が上昇しています。現在、金融緩和策により、流動性供給は1943年8月以来の最高水準に達しており、貨幣面からは潜在的な物価上昇圧力が高い状況にあると考えられます。
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