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- グロイン1年の運用の振り返りと市場のポイント
●2022年1月~3月の当ファンドの基準価額は上昇
●ウクライナ侵攻と資源価格高騰で公益株式のインフレ耐性やディフェンシブ性が注目される
●引き続き「グリーンシフト」を目指す公益企業は中長期的な成長が期待される
■ 今後の見通し、運用方針
世界的に物価が上昇し、主力の発電源である天然ガスの価格や電力の市場価格も上昇しています。ウクライナ危機は天然ガス価格の更なる上昇要因となっています。こうした環境下ではクリーンエネルギーによる発電コストは変わらないため、クリーンエネルギー発電中心の発電事業者にとって、天然ガス価格の上昇は利益増加要因となります。一部の国では電力価格上昇に対して政治圧力がかかるリスクがあるため、その可能性の少ない国や事業地域の銘柄への投資を行っていく方針です。
ウクライナ危機を受けて将来的にロシアの天然ガスに依存したくないという欧州諸国の意向は、風力、太陽光、水力などのクリーンエネルギーの拡大をさらに加速させることにつながるでしょう。英国やドイツなどでは既に移行が進んでおり、なかでもクリーンエネルギーによる発電の割合が高い企業に注目しています。
今後物価や金利が上昇していく可能性が考えられ、金利の急上昇には注意が必要です。ただし、過去およそ12年間の長期金利の推移を米国10年国債利回りでみると、趨勢的に低下してきた状況のなかで、長期金利の反転上昇時にも世界公益株式は、その後の期間において上昇していました。金利上昇時は景気回復局面であることが多く、株式市場全体がその後堅調に推移したことに加え、物価が上昇するなか、タイムラグをおいて電力価格が上昇し、公益企業の収益が増加する傾向がみられ、公益企業の株価の上昇要因となったことも一因と考えられます。
公益セクターは引き続き業績の実績や見通しが相対的に安定しています。バリュエーション(投資価値評価)も魅力的な水準です。このため、長期金利の急上昇などによる株価の調整は中長期的な投資機会を提供する可能性があると考えます。
■ 中長期保有に当たってのポイント
中長期的には世界的に電力などの需要拡大が予想されており、公益セクターの事業環境は良好との見方には変わりありません。当ファンドでは、公益企業のESG(環境、社会、ガバナンス)への取り組みを重視し、公益企業にエンゲージメント(対話)を行い、クリーンエネルギーシフトを目指しています。主要国・地域のクリーンエネルギー政策の強化の動きは、「グリーンシフト」を目指す公益企業の株式にプラスになるものと期待されます。
■ パフォーマンスの変動要因
【2021年4月~2022年3月(過去1年間)】
当該期間でパフォーマンスにプラス寄与度の大きかった主な銘柄はセンプラ・エナジー(米国、総合公益事業)、SSE(英国、電力)、ナショナル・グリッド(英国、総合公益事業)、RWE(ドイツ、総合公益事業)などでした。センプラ・エナジーは新たな長期利益成長見通しの発表が好感されたことや自社株買いなどを背景に上昇しました。SSEやナショナル・グリッドは英国の物価に連動して認可される電力料金体系による増益期待などを背景に上昇しました。RWEはドイツの新連立政権がエネルギー政策で再生可能エネルギーによる発電の増強などの積極的なガイドラインを発表したことなどがプラスとなりました。
一方、マイナス寄与度の大きかった主な銘柄はオーステッド(デンマーク、電力)、イベルドローラ(スペイン、電力)、イタリア電力公社(イタリア、電力)などでした。 オーステッドは、洋上風力発電事業の競争激化懸念や風力発電資材価格の高騰、風力低下による発電量の減少などで第3四半期の業績が市場予想を下回ったことなどが株価にマイナスとなりました。イベルドローラはスペイン政府が水力や風力発電などから得られる利益に対して棚ぼた利益税を導入したことなどがマイナス要因となりました。イタリア電力公社も、同社の出資比率が高いエンデサ(スペイン、電力)への影響が懸念されたことから下落率が大きくなりました。
【2022年1月~3月(過去3ヵ月)】
当該期間でパフォーマンスにプラス寄与度の大きかった主な銘柄はセンプラ・エナジー、RWEなどでした。センプラ・エナジーは新たな長期利益成長見通しの発表が好感されたことや自社株買いなどを背景に上昇しました。RWEはドイツの新連立政権がエネルギー政策で再生可能エネルギーによる発電の増強などの積極的なガイドラインを発表したことなどがプラスとなりました。
一方、マイナス寄与度の大きかった主な銘柄は、イベルドローラ、イタリア電力公社、クラウン・キャッスル・インターナショナル(米国、エクイティ不動産投資信託(REIT))などでした。イベルドローラ、イタリア電力公社はスペイン政府の電力事業への規制圧力が和らいだことで株価が上昇していたことから、利益確定の売りなどを背景に下落しました。 ワイヤレス通信用のタワーなどを所有するクラウン・キャッスル・インターナショナルは足元の業績や見通し、設備投資計画などは良好ではあるものの米国の金利上昇懸念などが下落要因となりました。
■ 2022年1月~3月(過去3ヵ月)の投資行動
当該期間の売買に関しては、ネクステラ・エナジー(米国、電力)、オーステッドなどのクリーンエネルギーへのシフトによる恩恵が期待される銘柄の組入比率を引き上げました。一方、電力価格上昇で政治圧力に懸念が残るイベルドローラやイタリア電力公社などの銘柄の組入比率を引き下げました。ナショナル・グリッドや米国の電力銘柄など株価が上昇した銘柄を一部利益確定のため売却しました。
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