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- 不透明な環境下、世界公益株式は底堅く推移
1)ウクライナ情勢の悪化で欧州の天然ガス価格が上昇。 2)当ファンドのロシアおよびウクライナ株式の組入れはなし。 3)天然ガス価格の上昇がリスクとなる電力会社は既に売却済み。 4)市場が不透明ななかでは電力会社の収益の可視性と安定性は、相対的に魅力的。 5)株価下落を投資機会と捉え、バリュエーションと成長性が魅力的な銘柄の組入れを引き上げ。
市場では何が起こったか?
2022年2月21日、ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ東部のドネツク、ルガンスクの2州のうち、親ロシア派が事実上支配している地域について、独立国家として承認し、西側諸国との対立を深めました。同日のロシア株式は、ウクライナ情勢の緊迫化や欧米による経済制裁への懸念から急落し、関連国の株式市場や関連銘柄なども大きく下落しました。
欧州のガスはおよそ3割がロシアからの輸入です。ここ数ヵ月、ロシアはこのガス供給を制限したため、欧州の天然ガス価格は大幅に上昇しました。足元の欧州の天然ガス価格(TTF)は1週間余りで20%以上上昇したものの、昨年2021年12月の高値を大きく下回っています。こうした状況下、ドイツでは昨年2021年9月に完成したロシアからドイツを結ぶ天然ガスのパイプライン「Nordstream2」の最終承認プロセスが保留されており、ガス価格は高い水準で推移するものとみられます。
ファンドへの影響は?
2022年2月22日現在、ファンドのロシアおよびウクライナ株式の組入れはありません。ロシアに資産を持つフォータム(スウェーデン、電力)やユニパー(ドイツ、独立系発電・エネルギー販売銘柄)など関連銘柄の株価は大きく下落しましたが、当ファンドは、これらの銘柄には投資していません。
一方、現在発電源の主力となっている天然ガス価格の上昇に伴い、欧州の電力料金は上昇しています。電力価格の上昇は電力会社の利益につながります。RWE(ドイツ、総合公益事業)などの企業の業績も天然ガス価格の上昇による利益増が反映されて良好です。
しかし、一部の国では、政治家がこうした価格上昇の電力価格への転嫁を制限しようと動いており、影響を受ける電力会社にとっては逆風になる可能性があります。昨年、2021年には当ファンドはこの影響をうけるとみられるフランス電力会社(EDF)(フランス、電力)などを売却し、イタリア電力公社(イタリア、電力)の組入れを引き下げるなど、政治・規制リスクが高い地域で事業を行う関連銘柄の組入れを既に引き下げています。
ウクライナ情勢について留意しながらも投資機会を探る
現時点では、ガス価格の高騰が当ファンドの組入銘柄に大きなリスクをもたらすとは考えていません。
ウクライナ情勢、ガス価格の上昇、そして将来的にロシアのガスに依存したくないという欧州諸国の意向は、欧州での風力、太陽光、水力などの再生可能エネルギーの拡大をさらに加速させることにつながるでしょう。代替エネルギー源として英国やドイツなどではすでに移行が進んでおり、RWE、イベルドローラ(スペイン、電力)、SSE(英国、電力)、オーステッド(デンマーク、電力)などの欧州の電力会社では、再生可能エネルギーによる発電の割合が高くなっています。
地政学的な不確実性は、主に商品価格からの物価上昇圧力を通じて少なからず影響を及ぼしています。2022年の株式市場の変動は、主に米連邦準備制度理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)双方の金融政策スタンスの変更と、その結果生じうる経済成長へのマイナスの影響に対する懸念によってもたらされており、従って、バリュエーション(投資価値評価)の高い成長株が最も大きなマイナスの影響を受けると考えます。
このような市場環境において、公益セクターの収益の可視性と予測可能性は非常に魅力的であり、昨年2021年11月以降世界公益株式と当ファンドは、世界株式をアウトパフォームしています。
また、世界の電力会社の多くは規制されており、グリーンシフト(化石燃料からクリーンエネルギーによる発電への移行)によって長期的な構造的な成長が見込まれることから、公益企業の収益やキャッシュフローの成長見通しに大きなリスクはないと考えられ、公益セクターへの投資を行うには魅力的な時期であると判断しています。
公益セクターでは、成長株とバリュー株のローテーションが進み、再生可能エネルギーに焦点を当てたクリーンエネルギー銘柄に魅力的な株価で取引されています。
当ファンドは、こうした調整の機会に、利益の成長性が高く、今後の開発計画も充実しているものの、株価が下落している銘柄を追加購入しています。
特に、年初来ではグリーンシフトをリードするオーステッド、ネクステラ・エナジー(米国、電力)などを買い増しています。
※世界公益株式:MSCI世界公益株価指数、世界株式:MSCI世界株価指数
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