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- グロイン | イタリア新首相、最大96億ユーロの景気支援策検討~公益企業への影響と投資戦略
●イタリア新首相、最大96億ユーロの景気支援策検討~主にエネルギー支援策になる模様。
●支援策の公共料金滞納猶予が公的資金で賄えれば、公益企業への影響は相殺される。
●政策の影響を相対的に受けにくく、再生可能エネルギーの成長期待が高い銘柄に投資。
■ イタリア新首相、最大96億ユーロの景気支援策検討~主にエネルギー支援
イタリアの極右政党の党首、ジョルジャ・メローニ氏が10月22日に同国の首相に就任しました。メローニ新首相は、年末年始に生活費高騰に直面する家計や企業を支援するため、最大96億ユーロ(約1.4兆円)の新たな景気支援策を検討しています。この支援策の予算は、主にエネルギー支援策に費やされると予想されます。また、メローニ首相が率いる極右政党「イタリアの同胞(FDI)」は減税を公約に掲げています。来年には減税を実施しながら、景気押し上げと家計支援を目指すことになり、政府債務増大が見込まれます。ただし、イタリアの政府債務残高は対GDP比で既に150%を超えており、財政に余裕がないのが現状です。
同様の問題を抱える英国では、10月20日に、先月就任したばかりの英国のトラス首相が、財政悪化への懸念から市場の混乱を招いたと指摘されて減税をはじめとした経済政策を相次いで撤回し、辞任しています。2023年にはイタリアのGDPの伸びは鈍化すると予想され、欧州連合(EU)の財政規則下での財政赤字と政府債務の制限の見直しが行われます。こうした環境下での支援策はメローニ首相にとって、大きな挑戦になるとみられます。
■ 公益事業関連政策は?~公共料金の滞納を猶予する対策が検討
景気支援策では、現在行われている法人向け税額控除と、9月に発表された収入2万ユーロ以下の世帯に対する150ユーロの支援金に加えて、公益事業関連では、公共料金の滞納者の契約解除を6カ月間猶予する対策が検討されています。支援の規模は、前政権の予算の未使用分の一部が財源となる模様で、財政状況を勘案して決定されるとみられます。
■ 公益企業への影響は?~滞納猶予が公的資金で賄えれば影響は相殺
問題は、検討されているすべての施策の資金を調達するために、財源が十分かどうかということです。一般に、公共料金の滞納の猶予は、公益企業の運転資金にマイナスの影響を及ぼすため、公益企業の小売事業にとってはリスクです。契約者の料金滞納を公的資金で補えれば、マイナスの影響は相殺されますが、そのためには政府の検討している96億ユーロを超える財源が必要となるとみられ、実現しない可能性があります。このため、イタリアで電力やガスの小売事業を行う企業への投資のリスクは、現時点では高いままです。
■ 当ファンドの投資戦略
~政策のマイナスの影響を相対的に受けにくい銘柄を選別、支援策の動向次第では投資機会になるとみる
この政策の影響を受ける、イタリアで公益関連の小売事業を展開する関連銘柄は、イタリア電力公社[エネル](イタリア、電力)、A2A(イタリア、総合公益事業)、エラ(イタリア、総合公益事業)、ACEA(イタリア、総合公益事業)などです。当ファンドは、イタリアの電力やガスの小売事業関連銘柄については、慎重な見方をしており、関連銘柄のなかでは政策のマイナスの影響を相対的に受けにくいイタリア電力公社のみ組入れています。
イタリア電力公社はグローバルで様々な公益事業を展開しており、そのなかでイタリアでの小売事業は同社の売上高の約22%と相対的に低い比率です。当ファンドの運用チームは、同社の事業モデルと、引き続き高成長が期待されるクリーン・エネルギー分野に注力していることを評価しています。
電力価格上限の設定に関しては、上限を超えた部分を補うための資金を欧州連合(EU)は共同で調達することを検討しています。決定されれば、同社をはじめとした公益企業の株価にもプラスに寄与すると期待されます。
~欧州の組入比率は銘柄を厳選し24%、注目の米国は70%と高位に
当ファンドでは、欧州の公益銘柄の組入比率は2022年9月末現在24%としています。発電源である天然ガス価格高騰のマイナスの影響を受けやすく、財政基盤がぜい弱で政治介入リスクの高い国で事業展開する銘柄が多いため、こうした銘柄を避け、業績が政策の影響を相対的に受けにくい銘柄を厳選して投資しています。今後も、公益企業に関連する政策の推移を注視し、株価の調整などによる投資機会を捉えていきます。
一方、規制下事業が中心で、グリーン・シフト(太陽光・風力などのクリーン・エネルギーに移行)に注力する銘柄を中心に米国の組入比率を2022年9月末現在70%と高位にしています。米国の規制下の公益事業は規制により、燃料価格高騰の影響を受けにくく、よりインフレに強い収益構造となっています。このため、インフレ、景気後退下でも収益は相対的に安定して推移するとみられます。米国は欧州と比べて政治介入リスクが小さく、太陽光や風力発電に注力する企業は、税額控除などで米国のインフレ抑制法案の恩恵を受けるとみています。
※当ファンドの米国および欧州の組入比率は、ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型/1年決算型)の主要投資対象であるPGSF-グローバル・ユーティリティーズ・エクイティ・ファンドの状況。四捨五入で表示。
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