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- グロイン | 運用の振り返りと市場のポイント
●2022年7月~9月のピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)(以下当ファンド)の基準価額は下落
●公益株式のインフレ耐性やディフェンシブ性を背景に底堅く推移するも、金利上昇が足枷に
●引き続き「グリーン・シフト」を目指す公益企業は中長期的な成長が期待される
■ 当ファンドのパフォーマンス
※当資料における実績は、税金控除前であり、実際の投資者利回りとは異なります。分配金は一部またはすべてが元本の一部払戻しに相当する場合があります。また、運用状況によっては、分配金額が変わる場合あるいは分配金が支払われない場合があります。※基準価額は、実質的な信託報酬等控除後。基準価額(分配金再投資後)は、購入時手数料等を考慮せず、税引前分配金を再投資した場合の評価額を表します。また、換金時の費用・税金等は考慮しておりません。 ※基準価額は1万口当たりで表示しています。※分配金再投資後の基準価額の計算は、分配金にかかる税金とファンドへの再投資にかかる手数料を考慮しておりません。 ※参考指数として世界株価指数(MSCI世界株価指数、税引後配当込、円換算、1営業日前ベース)を使用しています。なお、当参考指数は、当ファンドのベンチマークではありません。※(参考指数)世界株式および基準価額(分配金再投資後)は2021年9月30日=2,467円として指数化 ※コメント中に記載の世界の株式市場:MSCI世界株価指数 ※当ファンドの騰落率はすべて税引前です。出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ・ジャパン作成
【2021年10月~2022年9月(過去1年間)】
当該期間でパフォーマンスにプラス寄与度の大きかった主な銘柄はセンプラ・エナジー(米国、総合公益事業)、RWE(ドイツ、独立系発電・エネルギー販売)、 WECエナジー・グループ(米国、総合公益事業)などでした。センプラ・エナジーは新たな長期利益成長見通しの発表が好感されたことや自社株買いの発表などを背景に上昇しました。RWEはドイツの新連立政権が再生可能エネルギーによる発電の増強など、積極的なエネルギー政策を発表したこと、低コストの再生可能エネルギー発電への移行や、再生可能エネルギー事業の買収による成長期待などを背景に上昇しました。WECエナジー・グループは良好な四半期業績や通期利益見通しなどが、上昇要因となりました。
一方、マイナス寄与度の大きかった主な銘柄は、イタリア電力公社(イタリア、電力)、オーステッド(デンマーク、電力)、などでした。 オーステッドは、洋上風力発電事業の競争激化懸念や設備投資関連資材の高騰、供給問題などが株価にマイナスとなりました。イタリア電力公社は、スペイン政府が水力や風力発電などに対して超過利潤課税を導入し、スペインの事業への影響が懸念されたことから、下落率が大きくなりました。
【2022年7月~9月(過去3ヵ月)】
当該期間でパフォーマンスにプラス寄与度の大きかった主な銘柄は、PG&E(米国、電力)、ネクステラ・エナジー(米国、電力)などでした。 PG&Eは、送電線の地中化計画を合理化するカリフォルニア州法の承認、カリフォルニア州議会での原子力施設の稼働を延長する法案の可決、などを背景に上昇しました。さらに、S&P500指数への組み入れが支援材料となりました。ネクステラ・エナジーは、米国のインフレ抑制法案で、クリーン・エネルギーへシフト(グリーン・シフト)を進める企業が税制面などで恩恵を受けるとの期待や、設備投資拡大で電力料金算定の基礎となる資産規模の増加が予想を上回り、足元および中期の増益予想を継続したことなどが上昇要因となりました。
一方、マイナス寄与度の大きかった主な銘柄は、オーステッド、イタリア電力公社などでした。オーステッドやイタリア電力公社など、再生可能エネルギーに注力する銘柄は、欧州の電力価格の高騰への対策で、超過利潤課税が課されるなどの懸念がマイナスとなりました。
■ 2022年7月~9月(過去3ヵ月)の投資行動
当該期間の売買では、エバーソース・エナジー(米国、電力)、エクセロン(米国、電力)、サザン(米国、電力)など、ディフェンシブ性(業績が景気変動に左右されにくい特性)がより高い、規制下事業の比率が高い米国の公益銘柄や、米国のインフレ抑制法案の恩恵を受けるとみられる米国の公益銘柄の組入比率を引き上げました。欧州の銘柄では、イベルドローラ(スペイン、電力)やRWEなどクリーン・エネルギーへのシフト(グリーン・シフト)による利益成長が期待でき、バリュエーション(投資価値評価)面でも魅力的な銘柄の組入比率を引き上げました。
一方、ファースト・エナジー(米国、電力)、ネクステラ・エナジーなど、バリュエーション面での魅力が薄れた銘柄の利益を確定し、組入比率を引き下げました。また、ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点からガバナンスの評価を引き下げ、エンゲージメント(対話)による改善の可能性も乏しいと判断したブラジルの電力銘柄を全売却しました。
■ 今後の見通し、運用方針
世界的に物価が上昇し、主力の発電燃料である天然ガスの価格や電力の市場価格も高水準で推移しています。また、ウクライナ危機は天然ガス価格の上昇要因となっています。こうした環境下では、電力価格は上昇するものの、クリーン・エネルギーによる発電コストは変わらないため、クリーン・エネルギー発電中心の発電事業者にとって、天然ガス価格の上昇は利益増加要因となります。一部の国では電力価格上昇に対して政治圧力がかかるリスクがあるため、その可能性の少ない国や事業地域の銘柄への投資を行っていく方針です。ウクライナ危機を受けて将来的にロシアの天然ガスに依存したくないという欧州諸国の意向は、風力、太陽光、水力などのクリーン・エネルギーの拡大を更に加速させることにつながるでしょう。英国やドイツなどでは既にクリーン・エネルギーへの移行が進んでおり、そうした中でもクリーン・エネルギーによる発電の割合が高い企業に注目しています。
世界的なインフレの高進に伴い、金利も上昇傾向にある中、金利の急上昇には注意が必要です。ただし、金利上昇時は物価上昇を伴う局面であることが多く、過去の実績では物価が上昇する中、タイムラグをおいて電力価格が上昇し、公益企業の収益が増加する傾向がみられ、公益企業の株価の上昇要因となり、金利上昇局面では、期間を通しては世界公益株式は上昇しました。
公益セクターは引き続き業績の実績や見通しが相対的に安定しています。このため、長期金利の急上昇などによる株価の調整は、中長期的な投資機会を提供する可能性があると考えます。
■ 中長期保有に当たってのポイント
中長期的には世界的に電力などの需要拡大が予想されており、公益セクターの事業環境は良好との見方には変わりありません。当ファンドでは、公益企業のESG(環境、社会、ガバナンス)への取り組みを重視し、公益企業にエンゲージメント(対話)を行い、クリーン・エネルギーシフトを促していきます。主要国・地域のクリーン・エネルギー政策強化の動きは、「グリーン・シフト」を目指す公益企業の株式にプラスになるものと期待されます。
■ 金利上昇の影響は?~長期金利の急上昇局面では注意が必要だが、中長期的には投資機会を提供している可能性も
長期金利の急上昇局面では、配当利回りが高い株式や金利負担の大きい企業の株式などが下落する傾向がみられ、注意が必要です。ただし、過去の実績では、金利急上昇時の株価の調整は、その後の長期金利の落ち着きとともに、比較的、短期間で終わったことが多く(下図参照)、中長期的には投資機会を提供している可能性があると考えることもできます。
公益株式はディフェンシブ性(景気の変動に左右されにくい特性)が強く、株式のなかでも配当利回りが高い傾向があることから、債券の代替としての投資対象となる場合があります。このため、債券利回りが上昇すると、公益株式の配当利回りの魅力が相対的に低下します。金利の上昇は企業の将来の利益や配当の割引現在価値の低下要因にもなります。また、公益企業は他の業種に比べて設備投資が多く、負債比率が高いことから将来の利払いや資金調達への悪影響が想定されます。金利が急上昇する局面ではこれらの点が投資判断に影響を与えるため、株価の調整が一気に起こると考えられます。実際、過去の実績では米国10年国債利回りが急上昇した際には、短期的に世界公益株式が下落する傾向がみられました(下図参照)。
一方、金利上昇局面では、物価が上昇していることが多く、燃料費なども上昇している傾向にあります。また、利払い負担も増加します。しかし、規制下の公益事業では、通常、こうしたコストの上昇はタイムラグをおいて電力、ガス、水道などの公共料金に価格転嫁することになります。電力、ガス、水道などは日常に不可欠なことから、他の業種と比べて価格転嫁が容易です。また、米国では規制下の電力料金は長期金利の水準が料金決定基準の収益率のベースとなっています。このため、金利上昇はタイムラグをおいて公益企業の収益にプラス要因となると考えられます。実際、中長期でみると、金利が上昇する局面では世界公益株式は上昇しています(下図参照) 。
■ 金利上昇の影響は?~長期金利の急上昇局面では注意が必要だが、中長期的には投資機会を提供している可能性も
長期金利の急上昇局面では、配当利回りが高い株式や金利負担の大きい企業の株式などが下落する傾向がみられ、注意が必要です。ただし、過去の実績では、金利急上昇時の株価の調整は、その後の長期金利の落ち着きとともに、比較的、短期間で終わったことが多く(下図参照)、中長期的には投資機会を提供している可能性があると考えることもできます。
公益株式はディフェンシブ性(景気の変動に左右されにくい特性)が強く、株式のなかでも配当利回りが高い傾向があることから、債券の代替としての投資対象となる場合があります。このため、債券利回りが上昇すると、公益株式の配当利回りの魅力が相対的に低下します。金利の上昇は企業の将来の利益や配当の割引現在価値の低下要因にもなります。また、公益企業は他の業種に比べて設備投資が多く、負債比率が高いことから将来の利払いや資金調達への悪影響が想定されます。金利が急上昇する局面ではこれらの点が投資判断に影響を与えるため、株価の調整が一気に起こると考えられます。実際、過去の実績では米国10年国債利回りが急上昇した際には、短期的に世界公益株式が下落する傾向がみられました(下図参照)。
一方、金利上昇局面では、物価が上昇していることが多く、燃料費なども上昇している傾向にあります。また、利払い負担も増加します。しかし、規制下の公益事業では、通常、こうしたコストの上昇はタイムラグをおいて電力、ガス、水道などの公共料金に価格転嫁することになります。電力、ガス、水道などは日常に不可欠なことから、他の業種と比べて価格転嫁が容易です。また、米国では規制下の電力料金は長期金利の水準が料金決定基準の収益率のベースとなっています。このため、金利上昇はタイムラグをおいて公益企業の収益にプラス要因となると考えられます。実際、中長期でみると、金利が上昇する局面では世界公益株式は上昇しています(下図参照) 。
■ 物価上昇下での景気後退による世界公益株式への影響は?
公益セクターは、株式市場のなかで、相対的に物価高騰や景気の影響を受けにくいセクターのうちの一つです。当ファンドの組入れの中心である規制下事業の比率が高い公益銘柄に関しては、発電燃料コストや支払利息などの変動費の価格転嫁が容易にできるため、収益は物価高騰によるマイナスの影響を受けにくい傾向があります。特に、風力や太陽光発電などの再生可能エネルギーは燃料コストがかからないため、コスト優位性が高まります。また、電力、ガス、水道などは日常に不可欠であることから、景気後退時でも他の業種と比べて需要は大きく減少しないとみられます。このため物価上昇下での景気後退局面では、公益企業は他の業種よりも収益見通しが安定する傾向がみられます。
■ 電力価格高騰に対する政治介入リスクは?
欧州では、ロシアのウクライナ侵攻による天然ガス価格高騰による、電力価格の急騰に対して、価格上限設定や超過利潤課税などの政治介入の動きがみられます。こうした政策は、化石燃料による発電から太陽光・風力などのクリーン・エネルギー(再生可能エネルギー)による発電への移行、グリーン・シフトを目指す公益企業にはマイナスの影響は少ないとみています。こうした環境下では、国や地域、規制環境、事業形態などを厳選した銘柄選別が重要であると考えます。
米国の公益銘柄に関しては、運用チームでは当ファンドで組み入れている公益企業各社と、「金利上昇は現在のところ問題ではなく、電気料金等への政治的介入のリスクは低く、規制当局もグリーン・シフトの加速を強く支持しているていること、業績や設備投資計画などに対する見通しは底堅いこと」を確認しています。エネルギー安全保障の懸念に対応するために、米国インフレ抑制法案をはじめグリーン・シフトを促す政策が相次いでおり、グリーン・シフトが加速すると考えられます。当ファンドが注目するクリーン・エネルギーに注力する公益企業にとっては、より多くの設備投資をすることが容易になり、より大きな収益を得ることができるようになるとみられます。
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