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- グロインの運用の振り返りと市場のポイント
2021年10月~12月のピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)(グロイン、以下当ファンド)の基準価額は上昇となりました。新型コロナウイルス感染症の経口治療薬の使用が許可されたこと、米国の良好な経済指標の発表などが好感され世界の株式市場全体が上昇したことなどが寄与しました。市場動向に注視が必要ですが、引き続き「グリーンシフト」を目指す公益企業は中長期的な成長が期待できると考えます。
当ファンドのパフォーマンス~新型コロナウイルス感染症の経口治療薬の使用が許可されたこと、米国の良好な経済指標の発表などが好感され株式市場全体が上昇するなか堅調に推移
今後の見通し、運用方針
主力の発電源である天然ガスの価格上昇により、電力の市場価格が上昇しました。クリーンエネルギーによる発電コストは変わらないため、クリーンエネルギー発電中心の発電事業者にとって、天然ガス価格の上昇は利益増加要因となります。欧州ではこうした電力会社の利益に対して政治圧力がかかり、その影響が懸念されましたが、実際には想定されたほど厳しい規制にはなりませんでした。ただし、引き続き政治圧力の動向には注視が必要と考えています。一方、米国では上院でバイデン政権の「ビルド・バック・ベター(よりよき再建)」法案が審議されており、クリーンエネルギーに対する政策支援に引き続き期待が高まっています。
経済活動再開の動きを背景に景気の回復が期待されるとともに、今後物価や金利が上昇していく可能性が考えられます。金利の急上昇には注意が必要です。ただし、過去およそ12年間の長期金利の推移を米国10年国債利回りでみると、趨勢的に低下してきた状況のなかで、長期金利の反転上昇時にも世界公益株式は、その後の期間において上昇していました。金利上昇時は景気回復局面であることが多く、株式市場全体がその後堅調に推移したことに加え、物価が上昇するなか、タイムラグをおいて電力価格が上昇し、公益企業の収益が増加する傾向がみられ、公益企業の株価の上昇要因となったことも一因と考えられます。公益セクターは引き続き業績の実績や見通しが相対的に安定しています。バリュエーション(投資価値評価)も魅力的な水準です。このため、長期金利の急上昇などによる株価の調整は中長期的な投資機会を提供する可能性があると考えます。
中長期保有に当たってのポイント
中長期的には世界的に電力などの需要拡大が予想されており、公益セクターの事業環境は良好との見方には変わりありません。当ファンドでは、公益企業のESG(環境、社会、ガバナンス)への取り組みを重視し、公益企業にエンゲージメント(対話)を行い、クリーンエネルギーシフトを目指しています。主要国・地域のクリーンエネルギー政策の強化の動きは、「グリーンシフト」を目指す公益企業の株式にプラスになるものと期待されます。こうした環境下での長期金利急上昇による株価調整は、中長期的な投資機会を提供する可能性もあると考えます。
パフォーマンスの変動要因
2021年1月~2021年12月(過去1年間)
2021年1月~2021年12月(過去1年間)でパフォーマンスにプラス寄与度の大きかった主な銘柄はナショナル・グリッド(英国、総合公益事業)、ネクステラ・エナジー(米国、電力)、エクセロン(米国、電力)などでした。ナショナル・グリッドは英国の送電事業の良好な規制環境や好決算の発表に加え、物価上昇時に強い収益構造などが上昇要因となりました。ネクステラ・エナジー、エクセロンは米国バイデン政権のインフラ政策への期待や良好な業績などを背景に上昇しました。
一方、マイナス寄与度の大きかった主な銘柄はオーステッド(デンマーク、電力)、イベルドローラ(スペイン、電力)、イタリア電力公社(イタリア、電力)などでした。 オーステッドは、洋上風力発電事業の競争激化懸念や風力発電資材価格の高騰、市場予想を下回った四半期業績の発表などが株価にマイナスとなりました。イベルドローラはスペイン政府が水力や風力発電などから得られる利益に対して棚ぼた利益税を導入したことなどがマイナス要因となりました。イタリア電力公社も、同社の出資比率が高いエンデサ(スペイン、電力)への影響が懸念されたことから下落率が大きくなりました。
2021年10月~12月(過去3ヵ月)
2021年10月~12月(過去3ヵ月)でパフォーマンスにプラス寄与度の大きかった主な銘柄はナショナル・グリッド、ネクステラ・エナジー、RWE(ドイツ、総合公益事業)などでした。ナショナル・グリッドは好決算の発表に加え、物価に連動して認可される電力料金体系による増益期待などを背景に上昇しました。ネクステラ・エナジーは、電力料金値上げの承認や米国のクリーンエネルギー関連政策への期待などを背景に上昇しました。RWEはドイツの新連立政権がエネルギー政策で再生可能エネルギーによる発電の増強などの積極的なガイドラインを発表したことなどがプラスとなりました。
一方、マイナス寄与度の大きかった主な銘柄は、オーステッド、龍源電力(中国、独立系発電・エネルギー販売)、エクアトリアル・エネルギア(ブラジル、電力)などでした。オーステッドは風力低下による発電量の減少などで第3四半期の業績が市場予想を下回ったことなどがマイナスに寄与しました。龍源電力は石炭発電を理由にクリーンエネルギー関連のETFの組入れから除外されたことなどが下落要因となりました。エクアトリアル・エネルギアは水力発電中心のブラジルで干ばつの影響で上昇してきた電力価格が10月に入ってピークアウトしたことなどを背景に下落しました。
2021年10月~12月(過去3ヵ月)の投資行動
2021年10月~12月(過去3ヵ月)の売買に関しては、想定より高い水道料金の認可を背景に株価が上昇した米国の水道銘柄、物価に連動する収益への期待から上昇した英国の総合公益事業銘柄、株価が上昇した投資銘柄の中で比較的景気の影響を受けやすい鉄道銘柄などの組入比率を引き下げ利益を確定しました。一方、安定的な成長が見込まれ、バリュエーション(投資価値評価)面で魅力的な米国の電力銘柄や独立系発電・エネルギー販売銘柄、サウジアラビアの電力銘柄などの組入比率を引き上げました。
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