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運用の振り返りと市場のポイント
2021/04/23

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概要

2020年秋以降、世界公益株式は米国長期金利急上昇の影響がありながらも上昇し、当ファンドの基準価額も上昇となりました。長期金利の急上昇局面では注意が必要ですが、過去およそ12年間の実績でみると、長期金利が短期的に上昇しても世界の公益株式の株価は上昇してきました。金利急上昇による株価の調整は中長期的な投資機会を提供すると考えることもできます。



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ファンドのパフォーマンス、市場環境と運用状況~金利急上昇はマイナス要因となるも上昇

 

市場環境と運用状況

【2020年4月~6月】 当ファンド:3.8%

世界の株式市場は、新型コロナウイルスの第2波への警戒感から下落する局面もありましたが、主要国の経済対策や経済活動再開の動き、新型コロナウイルスのワクチン開発期待などに加えて、長期金利の歴史的にみた水準の低さなどを背景に成長株を中心に大きく上昇しました。当ファンドの投資対象である世界公益株式などの景気に左右されにくい(ディフェンシブ)セクターは小幅な上昇となり、当ファンドの基準価額も小幅な上昇となりました。

【2020年7月~9月】当ファンド:2.4%

世界の株式市場は新型コロナウイルスの感染者数増加が下落要因となる局面もありましたが、当期間を通しては主要国の政策への期待や経済指標の改善などを背景に、景気敏感株を中心に上昇しました。こうしたなか、世界公益株式は小幅な上昇となり、当ファンドの基準価額も小幅な上昇となりました。

【2020年10月~12月】当ファンド:4.9%

世界の株式市場は11月には米国民主党バイデン大統領候補の勝利が確実となり、選挙後の景気刺激策への期待、新型コロナウイルスワクチンの早期承認・接種開始期待などから当期間を通しては上昇となりました。こうしたなか、世界公益株式は米国長期金利の急上昇などが足かせとなりましたが、上昇し、当ファンドの基準価額も上昇となりました。


【2021年1月~3月】当ファンド:6.4%

世界の株式市場は、米国長期金利の急上昇で下落する局面もありましたが、米上院でも民主党が過半数を獲得し、経済・財政政策への期待が高まったことや良好な企業決算や経済指標の発表、ECBの債券購入ペース加速の発表などを背景に大きく上昇しました。世界公益株式は米国長期金利急上昇の影響がありながらも上昇し、当ファンドの基準価額も上昇となりました。

 

今後の見通し、運用方針

経済活動再開の動きを背景に景気の回復が期待される一方、長期金利が上昇し、インフレや金利上昇懸念が台頭してきています。過去の実績では、長期金利急上昇は当ファンドの投資対象である公益株式にはマイナス要因となっているため、今後も金利の急上昇には注意が必要です。

米国バイデン政権のクリーンエネルギー政策をはじめ主要国・地域の脱炭素に向けたクリーンエネルギー政策の強化の動きは、グリーン・シフトを目指す公益企業の株式にプラスになるものと期待されます。また、公益セクターは引き続き業績の実績や見通しが相対的に安定しています。また、バリュエーション(投資価値評価)も魅力的な水準です。


当ファンドでは風力、太陽光などのクリーンエネルギーへのシフトによる恩恵を受けると期待される企業に引き続き注目しています。またESG(環境、社会、ガバナンス)への取り組みの重要性が高まっており、当ファンドでも銘柄選別において重視しています。当ファンドでは、公益企業にエンゲージメント(対話)を行い、「グリーン・シフト」を目指しています。

中長期保有に当たってのポイント


中長期的には世界的に電力などの需要拡大が予想されており、公益セクターの事業環境は良好との見方には変わりありません。主要国・地域のクリーンエネルギー政策の強化の動きは、「グリーン・シフト」を目指す公益企業の株式にプラスになるものと期待されます。こうした環境下での長期金利急上昇による株価調整は、中長期的な投資機会を提供する可能性もあると考えます。

 

パフォーマンスの変動要因

2020年4月~2021年3月(過去1年間)でパフォーマンスにプラス寄与度の大きかった主な銘柄はRWE(ドイツ、総合公益事業)、センプラ・エナジー(米国、総合公益事業)、SSE(英国、電力)などでした。再生可能エネルギーに注力するRWEは欧州グリーンディールの恩恵を受けるとの期待などを背景に上昇しました。センプラ・エナジーは、LNG事業再編への期待などが好感されました。SSEは英国の送電網事業の良好な規制環境や英国と欧州連合(EU)の通商協議が合意に至ったことなどが好感されました。

一方、マイナス寄与度の大きかった主な銘柄はオーステッド(デンマーク、電力)、ファーストエナジー(米国、電力)、龍源電力(中国、独立系発電・エネルギー販売)などでした。オーステッドは、洋上風力発電事業の競争激化懸念などが株価にマイナスとなりました。ファーストエナジーは、原子力発電補助金に関するオハイオ州下院議長の贈収賄疑惑などがマイナス要因となりました。 龍源電力は中国の再生可能エネルギー政策の不透明感の高まりなどが下落要因となりました。

【2021年1-3月期の投資行動】

2021年1-3月期の売買に関しては、米国の金融取引所銘柄、米国の陸運・鉄道銘柄など、公益関連企業のなかでもより景気の影響を受けやすい銘柄でかつバリュエーション(投資価値評価)面での魅力が薄れた銘柄などの組入比率を引き下げました。

一方、株価の調整を機に、デンマークの再生可能エネルギーに強みを持つ電力銘柄やスぺインの再生可能エネルギー関連事業を行う独立系発電・エネルギー販売銘柄をはじめ再生可能エネルギー事業の拡大が期待される銘柄などを中心に組入比率を引き上げました。

 

世界公益株市場の足元のポイント~長期金利の急上昇局面では注意が必要だが、中長期的には投資機会を提供している可能性

長期金利の急上昇局面では、債券の代替としての高配当利回りの株式や金利負担の大きい企業の株式などにマイナスの影響が大きく注意が必要です。

ただし、2009年3月以降の長期金利の推移を米国10年国債利回りでみると、4%程度を上限に上下しながら昨年0.5%まで趨勢的に低下してきた状況のなかで、長期金利の反転上昇時にも世界公益株式は、その後の期間において上昇していました。金利上昇時は景気回復局面であることが多く、株式市場全体がその後堅調に推移したことに加え、タイムラグをおいて電力価格が上昇し、公益企業の収益が増加する傾向がみられ、公益企業の株価の上昇要因となったことも一因と考えられます。

このため、金利急上昇による株価の調整は、中長期的な投資機会を提供すると考えることもできます。



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